野瀬泰申『天ぷらにソースをかけますか?』

日経新聞HPのコンテンツの一つ「食べ物 新日本奇行」をまとめたもので、簡単に言いますと、日本の各地域の身近な食習慣の違いを「食の方言」としてレポート、考察されいます。
著者は日経の記者出身で、今もHPで連載が続いています。
例えば、
○天ぷらにソースをかけるか
○紅しょうがの天ぷらを食べるか
○「ちらし寿司」と「ばら寿司」
○「ぜんざい」と「お汁粉」
○「肉まん」と「豚まん」
○「メロンパン」と「サンライズ」
○「肉」といえば、牛か豚か
○卵焼きは甘いか甘くないか
○カレーライスにのせる卵は生卵かゆで卵か
○「冷やし中華」(「冷麺」)にマヨネーズはかけるか
などなど。

いかがです?
当たり前だと思ってることもありませんか。
とにかく日本全国どこにお住まいの方も是非ご一読を!
ネットの双方向性を活かして全国からメールが集まってきます。
最終章ではなんと、旧東海道を歩いて、ご自身の足で、味噌(米=白と豆=赤)やウナギの蒲焼き(江戸風と上方風)、ネギ(白と青)、ポリタンク(赤と青)の境界線、イルカ食や「サンマーメン」(あんかけもやしラーメン)などの存在地域を確かめていきます。
境界と境界には必ず混合地域もあります。

この本に好感が持てるのは、食文化の多様性を認めた寛容の精神に貫かれているところです。
というのは、単なる事例報告集ではなく、また擬似科学的なトンデモ本やあやしい県民性本でもなく、様々な条件-例えば、自然環境、技術の進展、交通機関、人の往来、歴史的事件などを踏まえつつ、歴史的な経緯や社会学的な考察や仮説が加えられています。
その考察全てが妥当か否かは別としても、慎重かつ冷静な姿勢自体は評価できるものです。

小難しくまとめてしまいましたが、軽妙なユーモア溢れる本ですし、自分自身の思い込みがひっくり返り、誰かと語り合いたくなること請け合いです。
私の紹介文なんかよりは絶対に面白いです(^-^;


2009年08月記


※現在は決定版がちくま文庫から。続編『納豆に砂糖を入れますか?』が新潮文庫から出ています。



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