📚 「私なんかが」で止まっている人へ。物語で学ぶ女性起業の始め方┃ 「私なんかが」で始まった女性起業家物語 ┃起業を成功させる24の気づき┃【第1話無料】
「私なんかが」で始まった女性起業家物語
起業を成功させる24の気づき
【第1話無料】
「私なんかが」で止まっている人へ。
物語で学ぶ女性起業の始め方
「好きなことで起業したい。でも、私なんかが。」
そう思ったことがある人に、この物語を届けます。
焼き菓子を作る主人公・柚葉が、小さな起業の壁を乗り越えていく全24話の物語です。
物語を読むだけで、起業の考え方が自然と身につきます。
こんな人に届けたい
・「いつか起業したい」がずっと「いつか」のまま
・好きなことはあるのに、ビジネスにする方法が分からない
・ビジネス書を読んでも、自分に当てはめられない
第1話:どこで買えますか?
真帆の結婚式が終わった。
帰りの電車で、まだ手が震えていた。
「どこで買えますか?」
あの言葉が、まだ耳に残っている。
前日の夜から、柚葉のキッチンは戦場だった。
フィナンシェの型を4回転させて、60個。真帆に「お願い、柚葉のフィナンシェをプチギフトにしたいの」と言われたのは3週間前。断れなかった。断る理由がなかった。正確に言えば、断りたくなかった。
焦がしバターを作る。4回目ともなると手が慣れてくる。ただ、慣れとは違う緊張が指先にある。これを人が食べる。知らない人が食べる。それだけで、いつもと同じ動作が、いつもと違う。
60個分のラッピング。白い紙袋に一つずつ入れる。口をリボンで結ぶ。結んで、ほどいて、結び直す。ほどいたのは3個だけだった。わずかに曲がっていた。誰も気づかない程度に。自分だけが気づいてしまった。
日付が変わる前に全部終わった。紙袋が60個、テーブルの上に並んでいる。
壮観だった。そして、怖かった。

真帆は白いドレスを着ていた。
10月の日差しが窓から入る会場で、真帆は笑っていた。いつもの笑い方だった。結婚式なのに、カフェで会ったときと同じ顔で笑う。それが真帆だった。
柚葉は受付のそばの小さなテーブルに、フィナンシェを並べた。白い紙袋が60個。「Maho & Kenji」と印刷されたカードを横に添えた。真帆が用意したカードだった。その隅に、手書きで「焼き菓子:柚葉」と小さく書いてあった。柚葉は知らなかった。
ゲストが一人、また一人と手に取っていく。柚葉は3メートルほど離れた場所に立って、グラスを持つふりをしながら見ていた。シャンパンの泡が静かに上がっていく。会場には白い花の匂いと、隣のテーブルから聞こえる笑い声。

紙袋を開ける音が聞こえた。
一人の女性が、その場でフィナンシェを一口かじった。咀嚼して、目を閉じて、それから紙袋をもう一度覗き込んだ。
柚葉の心臓が跳ねた。
*
その女性が歩いてきた。30代くらい。ベージュのワンピース。
「これ、すごくおいしいんですけど、どこで買えますか?」
柚葉は一瞬、自分に話しかけられていると思わなかった。隣を見た。誰もいなかった。
「あ……どこでも売ってないんです。私が、焼いたので」
「え、売ってないんですか?」
女性は驚いた顔をした。それから笑った。
「もったいない。売ればいいのに」
「はは、ありがとうございます」
笑って返した。笑えた。声が震えた。ばれなかっただろうか。
女性はもう一つ紙袋を取って、「友達にも渡したいので」と言って戻っていった。
柚葉はグラスを持ったまま、しばらく動けなかった。

*
帰りの電車は空いていた。
窓に映る自分の顔を見ていた。ご祝儀を包んだ袱紗がバッグの中でかさばっている。足がじんと痛い。慣れないヒールを履いたせいだ。
「売ればいいのに」
電車の揺れと一緒に、その言葉が頭の中を行ったり来たりする。
嬉しいのか、怖いのか、わからない。あの人はお世辞で言ったのか。結婚式のテンションで言っただけなのか。でも友達の分も持っていった。お世辞で二つ取らないだろう。たぶん。

マンションのドアを開ける。靴を脱ぐ。ヒールを揃えるのに手間取る。洗面所で手を洗いながら、鏡を見た。化粧が少し崩れていた。
ソファに座って、スマホを開いた。
ChatGPTの画面を出した。指が動いた。
「起業するには何から始めればいいですか」
数秒で返ってきた。
「起業を始めるためのステップをお伝えします。1. 事業計画を立てましょう。2. ターゲット顧客を定義しましょう。3. 資金計画を作成しましょう。4. 法的手続きを確認しましょう。」
正しいのだろう。たぶん正しい。
でも、この画面の中に自分がいない。
「事業計画」という文字を見て、柚葉はスマホを伏せた。
*
テーブルに座って、ノートを開いた。
いつものノート。いつものペン。ChatGPTの画面より、こっちの方が考えられる気がした。
何を書けばいいかわからなくて、しばらくペンを持ったまま止まっていた。
ページの真ん中に、三つの言葉を書いた。
「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」
誰に教わったわけでもない。自分の中を整理したくて、自然に出てきた言葉だった。
「やりたいこと」。
焼き菓子を焼くこと。新しいレシピを考えること。誰かに食べてもらうこと。ペンが止まらなかった。半ページ埋まった。
「できること」。
フィナンシェ。マドレーヌ。サブレ。ラングドシャ。母に教わったフロランタン。レシピを見なくても焼ける。焦がしバターの色を見れば火を止めるタイミングがわかる。ラッピングも、たぶん、きれいにできる。
「やるべきこと」。
ペンが止まった。
何も書けなかった。
やりたいことはある。できることもある。でも「やるべきこと」が空っぽだった。
ノートの端に、丸を三つ描いた。三つの丸が重なるところ。そこが空白だった。
でも、と思った。
今日、あの人が言った。「どこで買えますか?」と。
あれは、もしかしたら、「やるべきこと」の最初の一文字なのかもしれない。

<実践ワーク>
ノートを開いて、三つの言葉を書いてみてください。
「やりたいこと」「できること」「やるべきこと」
全部埋まらなくて大丈夫です。
空っぽの欄があることに気づくことが、最初の一歩です。
柚葉が書いた三つの言葉は、ビジネスでは Will / Can / Must と呼ばれます。この三つが重なる場所に、あなたの事業の核があります。
<第1話の気づき>
「やりたいこと」と「できること」は、自分の中にある。
でも「やるべきこと」は、自分の外からやってくる。
「どこで買えますか?」——その一言が、最初の手がかりになる。
三つの丸を描いた。真ん中は空っぽだった。
でも「どこで買えますか?」は、確かに言われた。
あの人は、お世辞で言ったのだろうか。
わからない。でも、ノートに書いた。書いてしまった。

誰かの「欲しい」が、好きなことを現実に変える!
如何でした。
ビジネス書やAIに質問するよりも、実感できたでしょうか?
次回予告
「あなたのフィナンシェ、誰のために焼くの?」
真帆の一言が、柚葉の背中を押す。
「みんなに届けたい」は、実は誰にも届かない。
たった一人を思い浮かべたとき、届く人が見えてくる。
第2話「誰のために焼くの?」に続く。
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この連載について
「私なんかが」で始まった女性起業家物語は、焼き菓子を作る主人公・柚葉の物語を通じて、小さな起業の始め方を24話で学べるストーリー型コンテンツです。
自分を知る → 顧客を知る → 商品を作る → 届ける → 数字で見る → 仕組みにする。24話で起業の全体像を物語として体験できます。
予定では第1話は有料記事でしたが、この女性起業家物語の世界観をお伝えしたくて、無料記事といたしました。
第2話より有料記事となります。
どうぞよろしくお願いいたします。
第0話
\ 「私なんかが」で始まった女性起業家物語 /
起業を成功させる24の気づき
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