【ギリシア哲学】『ソクラテス』②
【はじめに】
人は「知っている」と思うとき、
本当に知っているのでしょうか。
ソクラテスは言いました。
『自分が知らないことを知っている』
一見すると矛盾のような言葉です。
しかしここに哲学の出発点があります。
本記事では
ソクラテス思想の核心である
『無知の知』
を解説していきます。

※ソクラテスに関する神託が告げられた聖地
デルポイのアポロン神殿には「汝自身を知れ」
(ギリシア語 Γνῶθι σεαυτόν)と結びつく格言が刻まれていた
① 無知の知とは何か
ソクラテスの立場は次の通りです。
• 人間は完全には知らない
• しかし無知を自覚できる
• その自覚が知への出発点
つまり
本当に賢い人は
『自分の無知を知っている人』
という意味です。

② なぜ無知を重視したのか
当時のアテネでは
ソフィストが活躍してました。
特徴
• 弁論術の教育
• 説得の技術
• 相対的真理
つまり
「議論に勝つ知」が重視された時代です。
ソクラテスは疑問を持ちます。
• 本当に善とは何か
• 正義とは何か
• 徳とは何か
これらは技術ではなく
真に理解すべき内容だと考えました。
そのためまず
『自分は知らない』
と認めるところから
哲学を始めたのです。
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③ 知徳一致
無知の知とは
「自分が知らないことを自覚する知」です。
ソクラテスはさらに主張します。
人は本当に善を知れば悪を行わない
これを
『知徳一致』と呼びます。
意味
• 悪は無知から生じる
• 善は知から生じる
• 真に知れば悪はできない
例えるなら、
火が熱いと本当に理解した人は
自ら触れないのと同じです。
善悪も同様に
理解の問題だと考えました。

弟子のアリスティッポスが徳を売ることにより、金を送っても受け取らなかったという逸話があります。そのような行為を
「徳の売春婦」と呼び痛烈に批判しました。
④ 無知の知と問答法
無知の知は態度であると同時に
方法の出発点でもあります。
流れ
1 相手が知っていると主張
2 定義を求める
3 矛盾が現れる
4 無知に気づく
この対話法を
『問答法』と呼びます。
ここで重要なのは
無知の自覚が哲学の入口
という点です。
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⑤ なぜ哲学の出発点なのか
無知を自覚すると、
• 思い込みが崩れる
• 真理探求が始まる
• 徳の理解へ向かう
つまり
知の謙虚さが哲学を可能にする
という構造です。
ソクラテスはこの姿勢を
人間の最も重要な知的態度と考えました。
【まとめ】
無知の知とは
• 人は知らないと自覚できる
• 真の知は徳に結びつく
• 無知の自覚が哲学の出発点
というソクラテス哲学の核心です。

神託は「ソクラテスが最も賢い」という内容でした。
【豆知識】
デルポイ神殿の神託は
古代ギリシア社会で非常に重視されていました。
戦争や政策の判断前にも
神託を求めることが珍しくありませんでした。
そのため
「最も賢いのはソクラテス」という神託は
当時としては大きな意味を持つ宣言でした。
※国家的判断でも神託が参照される文化がありました。
(神は全知全能なので確定事項となる考え方)

