【読書記録】教授のパン屋さん
この本を読みました。
著者は、近江泉美氏。
図書館の新着コーナーに置いてあった本書の、「パン屋さん」の文字に目がとまった。手に取ると、「ほっこり日常系ミステリー!」と書いてあり、試しに読んでみようと思った。
本書には、パンの食べ歩きを趣味とする青年と、パンを愛するあまり副業でパン屋を営む工学部教授が登場する。著者の作品を読むのが初めてだったこともあり、今回は筆致に馴染むところまではいかなかった。それでも、これまで知らなかった工学関連の新たな発見(ネイピア数だとか、AMラジオとクレーン車の関係など)があったり、美味しいパンの歴史について知ることができた。
印象に残ったのは、パンを愛する教授のセリフ。
何事も一度で成功とはいきませんよ。就職も同じです。今いる場所が息苦しく感じるなら、離れる勇気も必要でしょう。挑戦することは失敗ではないのです。あなたは、あなたを幸せにする権利がある。
働くことは生きることです。
同時に、糧を得ることだけが人生ではありません。
小説の本筋とは違うだろうけれど、最も「ほっこり」したのは以下だった。
おれ、子どもの頃さ、怒られたり嫌なことがあったりすると、ばあちゃんちに逃げ込んだんだ。ばあちゃんちはパン屋で、どのパンもすごいうまいんだ。でもピカイチはあんパン。
こしあんがぎゅうぎゅうに詰まってて、甘いんだけど、くどくなくて。パンと合わさると無限に食べらさるんだわ。
ばあちゃんのパンには勇気が詰まってる。
うん。腹が減ってると、悪い方にばっかり考えがいくだろ。でもばあちゃんのパンを食べると、がんばろう,次は負けないぞって思えるんだ。
祖父のことを思い出した。
祖父の部屋の、タバコとストーブの匂いも思い出した。
美味しいあんパンを食べたくなった。
そして、求めていた形とは異なるけれど「ほっこり」を得た1冊だった。
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