ポジションが変わると、世界の見え方は変わる #107
地図は土地ではない
「ポジション(position)」とは、物事全体の中での自分の位置や役割のことを指します。
そして、この“位置”は、単なる立場以上に、私たちの「見え方・感じ方・考え方」に大きな影響を与えています。
「The map is NOT the territory(地図は土地ではない)」
という言葉があります。
地図は、現実の土地をもとにしながらも、目的に応じて人それぞれが作るものです。
つまり、同じ現実を見ていても、
どのポジションにいるかによって、
世界の捉え方はまったく変わってしまうのです。

ポジションが変わると理解が深まる
例えば、誰もが最初は「子供」というポジションにいます。
反抗期には「大人は自分の気持ちなんて分かってくれない」と感じることもあるでしょう。
しかし、自分が大人になり、親というポジションに立ったとき、
かつての親の気持ちが、少しずつ理解できるようになります。
これは、ポジションの変化によって、見える景色が変わった例です。
仕事でも同じことが起きます。
営業には営業の論理があり、
現場や工場には、また別の論理があります。
どちらも間違っているわけではありません。
それでも、互いの主張がぶつかり合い、
平行線のままでは、良いコミュニケーションは生まれません。
さらに主張が過激になると、
本来の目的を見失い、対話そのものが崩れてしまいます。
だからこそ重要になるのが、
「自分も相手も尊重しながら伝える力」──アサーションです。
主観と客観を行き来する力
ここで重要になるのが、2つの視点です。
• アソシエイト(主観的に見る)
• ディソシエイト(客観的に見る)
私たちは普段、無意識に主観(アソシエイト)に偏りがちです。
しかし、コミュニケーションを円滑にするためには、
意識的に客観(ディソシエイト)の視点を持つことが欠かせません。
いわゆる「メタ認知」の力です。
ポジション・チェンジという実践
その力を養うための方法のひとつが「ポジション・チェンジ」です。
これは、立場を意図的に切り替えながら、物事を捉え直すトレーニングです。
代表的な3つのポジションがあります。
1. 第①のポジション:自分の視点
2. 第②のポジション:相手の視点
3. 第③のポジション:第三者の視点(客観)

まず、自分の立場(第①)から相手に意見を伝えます。
次に、相手の立場(第②)に立ち、
「その言葉をどう受け取るか」を考えてみます。
さらに、第三者の視点(第③)に移動し、
全体を俯瞰してみる。
このプロセスを実際に椅子を使って体験すると、
頭の中だけでは気づけなかった新しい視点に出会うことがあります。
正論だけでは、人は動かない
コミュニケーションがうまくいかないとき、
私たちはつい「問題は相手にある」と考えがちです。
いわゆるアウトサイド・インの思考です。
もちろん、正論は正しい。
しかし、
正論をどう使うかは別の問題です。
正論は、正しい。
だが、正論を武器にする奴は正しくない。
ーこれは、ある小説の一節です。
大切なのは、まず自分に目を向けること。
インサイド・アウトの視点に切り替えることで、
コミュニケーションは大きく変わり始めます。
視点を変えれば、関係も変わる
ポジションを変えることは、
単に見方を変えるだけではありません。
それは、相手との関係性そのものを変える力を持っています。
後から振り返ったとき、
「あのときはお互いに誤解していただけだった」と
笑い合える関係になれるかもしれません。
視点を変えることは、自分を変えること。
そしてそれは、世界の見え方を変える第一歩です。
