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「春曙」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~

隠岐後鳥羽院和歌大賞にて古事記編纂1300年記念大賞を頂いたのを機に、梶間和歌、冷泉家時雨亭しぐれてい文庫に入会いたしました。
(大賞関係の記事はこちらに連載しております

そちらの年4回の会報に、題詠の和歌を投稿するコーナーがございます。
6回目の投稿歌もこのたび無事撰を通過し、掲載されましたので、
掲載歌、投稿歌、またその形に至るまでの推敲の様子などをnoteにて公開いたします。

ご自身で和歌をお詠みになる方の参考や刺激としてはもちろん、
歌詠みさんでなくとも、いち歌人が歌を詠み、推敲する過程に触れてみたいという方はぜひお楽しみくださいませ。




「春曙」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~

会報「志くれてい」掲載歌

鶯の木伝ふ声も霞むなり松のとほその春のあけほの 梶間和歌

「志くれてい」読者投稿のお歌は濁点を付さずに表記するようですので、私も濁点なしで表記、投稿しております。


おおまかな推敲過程

・題の発表とあわせて付された、冷泉貴実子先生の解説を読み込む
・各種定数歌などで「春曙」詠の先例を読み込む
・「春曙」題で用いるべき語や頻出する掛詞などを把握する
・完成度を気にせず歌を詠む、詠みまくる
・推敲と削除を繰り返す


こちらもご参照ください。


第1段階

鶯の木伝こづたふ声も霞むなり松のとぼその春のあけぼの
山の端もそれとは見えぬ霞にて鐘の消えゆく春のあけぼの
早瀬ゆく宇治の柴舟ながむれば霞に消ゆる春のあけぼの
霞こき志賀の浦路をながむれば舟の消えゆく春のあけぼの
横雲もいろ濃き峰に知られけり吉野の山の春のあけぼの
春ふかき花のふるさと分け入れば雲も霞も匂ふあけぼの
桜いろに雲も霞も匂ふより山の端しろき春のあけぼの
波たかき八十宇治川に霞たち柴舟消ゆる春のあけぼの
鐘のおとも霞める春のあけぼのに山の端しろきみ吉野の里
難波江の御津の霞にまよひきて心もあらず春のあけぼの
雁のなく声も霞に落ち消えてかへるさ見えぬ春のあけぼの
松浦まつら潟漕ぎ行く舟も消えなりて霞の底の春のあけぼの
ひと夜なる浦の友舟はるかなりよその霞の春のあけぼの

「春曙」を詠んだ歌にはある程度触れてきたため、先例リサーチもそこそこに、とにかく詠みました。


第2段階

鶯の木伝ふ声も霞むなり松のとぼその春のあけぼの
春ふかき花のふるさと分け入れば雲もひとつに匂ふあけぼの
桜いろに雲も霞も匂ふより山の端しろき春のあけぼの
波たかき八十宇治川に霞たち柴舟消ゆる春のあけぼの
鐘のおとも霞める春のあけぼのに山の端しろきみ吉野の里
難波江の御津の霞にまよひきて心もあらず春のあけぼの
雁のなく声も霞に落ち消えてかへるさ見えぬ春のあけぼの
松浦潟漕ぎ行く舟も消えなりて霞の底の春のあけぼの
ひと夜なる浦の友舟はるかなりよその霞の春のあけぼの
うぐひすのさへづる庭の梅が香も霞にくもる春のあけぼの
ひとり寝の枕にかよふ梅が香も霞に匂ふ春のあけぼの
心なしに霞たちぬと見ゆるかな雪気の峯の春のあけぼの

4首削除、3首詠み加え、その他微調整しました。


第3段階

鶯の木伝ふ声も霞むなり松のとぼその春のあけぼの
春ふかき花のふるさと分け入れば雲もひとつに匂ふあけぼの
波たかき八十宇治川に霞たち柴舟消ゆる春のあけぼの
雁のなく声も霞に落ち消えてかへるさ見えぬ春のあけぼの
うぐひすのさへづる庭の梅が香も霞にくもる春のあけぼの
ひとり寝の枕にかよふ梅が香も霞に匂ふ春のあけぼの
心なしに霞たちぬとみ吉野の雪気の峯の春のあけぼの

「消えなりて」など、京極派色の強い歌を中心に削り、微調整しました。


第4段階

鶯の木伝ふ声も霞むなり松のとぼその春のあけぼの
雁のなく声も霞に落ち消えてかへるさ見えぬ春のあけぼの
うぐひすのさへづる庭の梅が香も霞にくもる春のあけぼの
ひとり寝の枕にかよふ梅が香も霞に匂ふ春のあけぼの
心なしに霞たちぬとみ吉野の雪げの峯の春のあけぼの

「心なしに」も京極派色が強く、説明的と見られそう……などいろいろ考え、最後、絞りにかかりました。


会報「志くれてい」投稿歌

鶯の木伝ふ声も霞むなり松のとほその春のあけほの
鶯のさへつる庭の梅か香も霞にくもる春のあけほの

濁点を消し、こちらの2首を投稿しました。
そして、無事撰を通過したのが、


もう一度、会報「志くれてい」掲載歌

鶯の木伝ふ声も霞むなり松のとほその春のあけほの 梶間和歌


和歌をお詠みになる方の参考になりましたら幸いです。


和歌の推敲記


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この記事を書いた人

photo by ミカアンドロイド

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