「子日」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~
隠岐後鳥羽院和歌大賞にて古事記編纂千三百年記念大賞を頂いたのを機に、梶間和歌、冷泉家時雨亭文庫に入会いたしました。
(大賞関係の記事はこちらに連載しております)
そちらの年4回の会報に、題詠の和歌を投稿するコーナーがございます。
2回目の投稿歌も無事掲載されましたので、
掲載歌、投稿歌、その形に至るまでの推敲の様子などをnoteにて公開いたします。
ご自身で和歌をお詠みになる方の参考や刺激としてはもちろん、
歌詠みさんでなくとも、いち歌人が歌を詠み、推敲する過程に触れてみたいという方はぜひお楽しみくださいませ。
「子日」詠の出来るまで ~和歌の推敲記~
会報「志くれてい」掲載歌
生ひそむるふた葉の松をひく野辺に出ててそ祈る君か千とせを 梶間和歌
「志くれてい」読者投稿のお歌は濁点を付さずに表記するようですので、私もそのようにしております。
参考歌
おひそむるはつねの松をひきつればけふこそ千世の始なりけれ 源国信 堀河百首19
おおまかな推敲過程
・題の発表とあわせて付された、冷泉貴実子先生の解説を読み込む
・「堀河百首」を中心に「子日」の先例を読み込む
・「子日」題で用いるべき語や頻出する掛詞などを把握する
・完成度を気にせず歌を詠む、詠みまくる
・推敲と削除を繰り返す
第1段階
君が代のちとせをのべに子日して祝ふまとゐにうぐひすぞ鳴く
姫小松おひゆくすゑもかぎりなくひくまの野辺に祝ふなりけり
春霞たなびく野辺に子日して千代のはじめを祝ふなりけり
よろづよを祝ふはじめに姫小松ひくまの野辺に祈りをぞする
春日野にうち出でゝみれば姫小松千代のはじめと引くべかりける
野辺に引くふた葉の松を門にうゑて千代よろづよを数へつくさむ
ゆく末を小松が原に子日してちとせを野辺の祈りをぞする
「子日/延び」「野辺/延べ」「引馬野/引く」あたりがよく使われる掛詞と見えます。
第2段階
君が代のちとせをのべに子日して祝ふまとゐにうぐひすぞ鳴く
姫小松おひゆくすゑもかぎりなくひくまの野辺に祝ふなりけり
春霞たなびく野辺に子日して千代のはじめを祝ふなりけり
よろづよを祝ふはじめに姫小松ひくまの野辺に祈りをぞする
野辺に引くふた葉の松を門にうゑて千代よろづよを数へつくさむ
ゆく末を小松が原に子日してちとせを野辺の祈りをぞする
春さればはつねの小松引きわびて齢を野辺に旅寝をぞする
1首削り、1首追加しました。
第3段階
姫小松おひゆくすゑもかぎりなくひくまの野辺に祝ふなりけり
春霞たなびく野辺に子の日して千代のはじめを祝ふなりけり
よろづよを祝ふはじめに姫小松ひくまの野辺に祈りをぞする
野辺に引くふた葉の松を門にうゑて千代よろづよを数へつくさむ
ゆく末を小松が原に子の日してちとせを野辺の祈りをぞする
春さればはつねの小松引きわびて齢を野べに旅寝をぞする
ほとんど変化がありません。1首削り、表記を変化させた程度。
第4段階
姫小松おひゆくすゑもかぎりなくひくまの野辺に祝ふなりけり
春霞たなびく野辺に子の日して千代のはじめを祝ふなりけり
よろづよを祝ふはじめに姫小松ひくまの野辺に祈りをぞする
野辺に引くふた葉の松を門にうゑて千代よろづよを数へつくさむ
ゆく末を小松が原に子の日して齢を野辺に祈りをぞする
春さればはつねの小松引きわびて齢を野べに旅寝をぞする
生ひそむるふた葉の松をひくま野に出でてぞ祈る君が千とせを
君が代をねのひの小松門に植ゑて行く末とほく思ひやる哉
2首詠み足しました。
第5段階
春霞たなびく野辺に子の日して千代のはじめを祝ふなりけり
野辺に引くふた葉の松を門にうゑて千代よろづよを数へつくさむ
ゆく末を小松が原に子の日して齢を野辺に祈りをぞする
春さればはつねの小松引きわびて齢を野べに旅寝をぞする
生ひそむるふた葉の松をひくま野に出でてぞ祈る君が千とせを
君が代をねのびの小松ひき植ゑて行く末とほく思ひやる哉
2首削り、細かなところを修正しました。そろそろ絞りたい。
ということで……
会報「志くれてい」投稿歌
生ひそむるふた葉の松をひくま野に出ててそ祈る君か千とせを
君か代をねのひの小松ひき植ゑて行く末とほく思ひやる哉
もう一度、会報「志くれてい」掲載歌
生ひそむるふた葉の松をひくま野に出ててそ祈る君か千とせを 梶間和歌
2022年4月の「子日」詠
いつしかと初音をまつと引かれける野べにかひなき春にこそあれ 梶間和歌
「堀河百首」チャレンジで2022年に詠んだものです。
ここ3年間の成長が見えますね。ご参考までに。
和歌をお詠みになる方の参考になりましたら幸いです。

和歌の推敲記
和歌物語に参加する
和歌にフルベットして生きる梶間和歌がつつがなく和歌創作、勉強、発信を続けるため、余裕のあります方にお気持ちを分けていただけますと、
私はもちろん喜びますし、それは日本や世界の未来のためにも喜ばしいことであろうと確信しております。
「この無茶苦茶な生き方を見ていると勇気がもらえる」
「こういうまっすぐな人が健康に安全に生きられる未来って、希望がある」
「この人を応援することで、人文知の明るい未来が実現しそう」
なんて思ってくださいます方で、余裕のあります方に、ぜひともご支援をお願いしたく存じます。
noteでのチップ、メンバーシップ、その他様々な形で読者の皆様にご支援いただき、こんにちの梶間和歌があります。ありがとうございます。
特に2023年、令和5年隠岐後鳥羽院和歌大賞で古事記編纂1300年記念大賞を受賞し、表彰式を含む大会のツアーに申し込んだため、ツアー代金(9万円弱)と交通費を生活費と別に工面することになりました。
皆様のご支援のおかげでそちらのツアーに無事参加。
また翌年、城南宮・鳥羽殿賞を頂きまして、こちらの表彰式ツアーにも参りました。
すべて皆様の金銭的なご支援があってこそ叶ったことです。あらためて、心より感謝申し上げます。もちろん、お気持ちでの応援も大変うれしく思っております。
こうした応援のひとつひとつが私の器を広げ、より良い和歌仕事を世界にお返しすることにつながっております。
令和5年、6年分ともに、ツアーの様子はこのマガジンに連載しております。更新をどうぞお楽しみに。
今後とも、それぞれの領分において世界を美しくしてゆく営みを、楽しんで参りましょう。
この記事を書いた人


いいなと思ったら応援しよう!
応援ありがとうございます。頂いたサポートは、書籍代等、より充実した創作や勉強のために使わせていただきます!