『源氏物語』学習ノート2026年第4回 ~國學院大學オープンカレッジ~
國學院大學オープンカレッジで受講している、文法学者小田勝先生の『源氏物語』講座の学習記録です。
文法の観点から『源氏物語』を学ぶ、そんな積み重ねを残してゆけたらと思います。
『源氏物語』学習ノート2026年第4回 ~國學院大學オープンカレッジ~
昨日は、國學院大學オープンカレッジ『源氏物語』の今年4回目の講義でした。
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
やたらと文法構造に目が行ってしまう私にとり、文法学者小田勝先生の講義は、あらためて、ぴったりだったようです。
和歌創作や指導にもたいへん役立ちそうです……。
まずは助動詞「き」について。 pic.twitter.com/jQJulDQHoD
過去の助動詞「き」は、
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
少なくとも中古では「発話当日中の過去を表さない」。
鎌倉時代初期の六百番歌合でも
「昨日のことを言うなら『かかりし』と言え」
「今朝までもと言うなら『かかりつる』と言え」
と記録されている。
→「夕顔」巻の童の「御随身どももありしなにがしくれがし」は
「御随身どももありしなにがしくれがし」は
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
「御随身どももありし。なにがし、くれがし」ではなく
「御随身どもも、ありしなにがし、くれがし」と読むべき。
そもそも行列があったのに「御随身もありました」と言うわけがない。
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
「車が通りました。運転手もいました」と言う人はいない。
(「き」の文法を知らない人でも文脈から読み取れるはずなのに誤訳が多い)
和歌・短歌指導で指摘してきたことが、今後は説得力をもって言えるぞ……。
現代日本人、「き(し)」を「過去」全般に当てはめがちで、
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
完了の助動詞や存続の助動詞の存在を無視してナンチャッテ文語で短歌を詠む人が多すぎる。
なんなら「し」は知っているのにその原型が「き」だと知らず、
「き」であるべき箇所を「し」にする不勉強さんも少なくないから……。#歌の詠み方
×原型
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
○原形
「○○さん」を意味する「○○こそ」という言い方は知らなかった(「右近の君こそ」「北殿こそ」)
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
係助詞でない「こそ」があるのですね。
知らないと、その後の已然形・命令形同形の動詞をうっかり係り結びと解釈してしまいそうだ。
和歌・短歌においては不要な知識だけど、
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
『源氏物語』などを読むうえでは知っておかないとおかしなことになりそう。
前回の「をり」のニュアンスもそうだけど、https://t.co/340KPU4cYK
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
自分なりの感覚としてなんとなく掴んでいたものが、学術のほうでも裏づけられていると知ると、自分の創作や指導に自信が増します。
やはり、勉強はだいじ。
オープンカレッジ、この先も楽しみです。
— 梶間和歌@令和の京極派 (@WakaKajima) June 26, 2026
受講料もなんとか工面できて……皆様の日ごろのご支援に、あらためて感謝。
この先も夏の國學院大學公開講座や、隠岐の表彰式ツアー参加費や交通費など……引き続き応援よろしくお願いいたします。https://t.co/POi7fPfIvX
知らざりし我が恋草やしげるらむ昨日はかかる袖の露かは
今朝までもかかるおもひはなきものをあはれあやしき我が心かな
「六百番歌合」におけるこの番について、
右方申云、左歌「かかりし」とこそ言はまほしけれ。
左方申云、右歌「今朝までもかかりつる」とこそ言はまほしけれ。
と左右の方人が相手方の歌に対して難を述べたそうです(自分方の歌の難は棚に上げて)
・昨日のことは「かかりし(袖の)露」(「き(連体形『し』)」)
・今日のことは「かかりつるおもひ」(「つ(連体形『つる』)」/動詞によっては「ぬ(連体形『ぬる』)」でしょう)
と表すべきであるという中古の常識が、「六百番歌合」のころにも有効であった、
とこの例からもわかるようです。
(その他いくつも例を出していただきましたが、一番わかりやすかったのがこれなので他は割愛します)
和歌は中古語で詠むのが基本なので和歌の人は言うまでもないとして、
短歌のほうでも、
「私は上代語で詠んでいます」
などの特殊なこだわりを持つ人以外、文語文法で短歌を詠むならふつうは中古語で詠んでいるという想定でよいと思うので、
見境なく「き(し)」を使いがちな現代人に、
文法の観点からより説得力をもって「それ、変ですよ」「これは適切です」と、今後は言えそうです。
『源氏物語』学習ノート ~國學院大學オープンカレッジ~
2025年國學院大學夏の集中講義
和歌物語の維持メンバーになる
noteをはじめとした梶間和歌の和歌活動は、
メンバーシップ・チップ・寄付や有料コンテンツの購入などで支えてくださる皆様のお力で成り立っています。
お寄せいただいたご支援で生活を回しながら、和歌(特に京極派和歌)の発信をし、
また和歌にゆかりのある土地を旅してレポートを書いたり、歴史の勉強をしてエッセイを書いたりしてきました。
皆様のご支援があってこそ、多くの記事やコンテンツを無料または低価格で届けてこられましたし、これからも届け続けることができます。
「梶間和歌の活動や生き方に意義を感じている」
そして
「経済的に余裕がある」
という方には、この活動の維持メンバーとしてご参加いただけましたら幸いです。
noteのチップやメンバーシップなど、 ご無理のない形でお力添えください。
寄付という形に躊躇のお気持ちがありましたら、低価格のコンテンツのご購入という形でも等しく有難いです。
もちろん、あなたが作品や記事を読んでくださること、私の発信を受け取ってくださること、それ自体が私にとって大きな力。
経済的に余裕はないが価値や意義を感じている――そんな皆様からのスキやシェアなどにも、あらためて、心より感謝申し上げます。
皆様に頂いた支えを、これからも和歌をはじめとした人文知の発信という形で社会に還元してまいります。
今後とも、あなたはあなたの領分において、私は私の領分において、ともに世界を美しくしてゆきましょう。
この記事を書いた人


いいなと思ったら応援しよう!
応援ありがとうございます。頂いたサポートは、書籍代等、より充実した創作や勉強のために使わせていただきます!