ケアプランから計画書を作るのに30分。1分にする仕組みを作りました
介護の仕事をしていると、どうしても後回しになる書類があります。
私のところでは、計画書でした。
計画書は、後回しにしていい書類ではありません。それどころか、これが無い期間はサービスの費用を請求できません。 制度上、計画書は請求の根拠だからです。
それなのに後回しになります。理由は単純で、1件あたり20分から30分かかるからです。
先日、これを1分にする仕組みを作って、社内に配りました。この記事は、その中身の話です。
そもそも計画書とは何か
念のため、外の方にも分かるように書いておきます。
介護のサービスは、まずケアマネジャーが全体の「ケアプラン」を立てます。そのプランに沿って、それぞれの事業所が自分たちの「計画書」を作ります。訪問介護ならサービス提供責任者が作り、他のサービスでは管理者が作るなど、誰が作るかは決まっています。
大事なのは、計画書はケアマネジャーのプランに沿っていなければならないということです。全体の指揮者はケアマネジャーで、そこから外れた計画書というものは存在しません。
そして計画書は、利用者さんが自立するためのものです。関わる全員が同じ方向を向くために要ります。
つまり、形式的な書類ではありません。サービスの手順書であり、請求の根拠でもある。
それでも、後回しになるのです。
20〜30分が、なぜ重くのしかかるか
1件20〜30分と聞くと、たいしたことがないように思えるかもしれません。
ですが、これは利用者さんの数だけ発生します。しかも定期的に更新が必要です。ケアプランが変われば作り直しです。
そして作るのは、サービス提供責任者や管理者です。現場で一番忙しい人たちです。
その人たちが、月に何時間も、書類のために手を止めている。
ここが一番おかしいと思っていました。専門職が専門性を発揮すべきなのは、計画書の清書ではありません。
作ったもの
社内の部門マニュアルの中に「ケアプランから計画書作成くん」というページを作りました。
やることは3つだけです。
部門を選ぶ
ケアマネジャーからもらったケアプランを、そのまま貼り付ける
「AIで解析して計画書を作成する」ボタンを押す
これで約1分です。
出てくるのは、こういうものです。
事業所名、計画作成者名(あとから編集できます。管理者名に変えるなど)
住所、電話番号、FAX番号
利用者名、生年月日、住所、介護度、担当ケアマネジャー名 ← ケアプランから自動で拾います
課題
頻度(定期巡回なら「毎日」など、プランの内容に応じて)
時間帯ごとに必要なサービス内容
そして、利用者さんと代理説明者の署名欄が付いた状態で、1枚に収まるように印刷できます。
文字の大きさを変えたいときのために、Excel形式でのダウンロードもできるようにしました。実際、印刷してみると「もう少し大きくしたい」という声は必ず出るので。
一番作ってよかったのは、この機能でした
ここからが本題かもしれません。
ケアマネジャーのプランが、間に合わないことがあります。
責める話ではありません。ケアマネジャーも人数を抱えていて、どうしても遅れる月があります。でも、こちらは計画書がないとサービスを提供できません。
そこで、日付をずらして作れるようにしました。
前回のプランを読み込んで「6ヶ月後」を指定すると、短期目標の期間が6ヶ月後になった計画書が作れます。逆に6ヶ月前、12ヶ月前に遡って作ることもできます。もちろん、あとから修正もできます。
この機能は、現場を知らないと発想できません。
市販のソフトを触っていて「機能は揃っているのに、うちの困りごとが解決しない」と感じたことはないでしょうか。私は何度もあります。
作り手が現場を見ていないと、一番困っている場面が機能にならないからです。
AIに任せていないところ
念のため書いておきます。この仕組みは、計画書を「完成」させません。
出てくるのは下書きです。人が必ず確認します。特に見るのはこの2点です。
ケアプランの内容と、ちゃんと紐づいているか
課題の欄が、その利用者さんに合っているか
たとえば、定期巡回の計画書を作ったのに、プランに書かれていたデイサービスの内容が混ざって出てくることがあります。そういう行は、削除ボタンで消します。
AIは「ゼロから書く」を「読んで直す」に変えているだけです。責任を持つのは、最後まで人です。
なぜこれを作ったか
うちの法人は「三方良し」を理念にしています。ご利用者良し、スタッフ良し、法人良し。
計画書に30分かけていた人が、1分で済むようになる。浮いた29分は、利用者さんのところに戻ります。
サービス提供責任者や管理者は、専門職です。その専門性は、書類の作成ではなく、利用者さんをどう支えるかに向けられるべきだと思っています。
事務職の方が作れる形にしたのも、同じ理由です。専門職でなくてもできる作業は、専門職がやらなくていい。
同じことをやってみたい方へ
いきなりシステムを作る必要はありません。まず、自分の事業所で一番時間がかかっている書類を1つ特定してください。
1件あたり何分かかっているか
月に何件あるか
誰が作っているか(その人は他に何をすべき人か)
この3つを書き出すと、優先順位が勝手に決まります。「一番忙しい人が、一番時間を取られている書類」から手を付けるのが正解です。
うちの場合、それが計画書でした。
作り方も公開しました
この記事では「何ができるか」だけを書きました。
実際にどう作ったかは、別の記事に全部書いています。 うちで動いているものと同じHTMLを、まるごと載せました。Googleサイトに貼り付ければ、そのまま動きます。
ツールのHTML全文(約800行)
中継サーバー(GAS)のコード全文
設定手順(全4ステップ・10分)
半日つぶした3か所と、その抜け方
プログラムは書けなくて大丈夫です。コピーと貼り付けだけです。
https://note.com/wakiaiai_kaigo/n/na7d2c3989266
介護の現場は、記録も請求も労務も、書類に時間を取られすぎています。ここを軽くしないと、本来やるべき仕事の時間が出てきません。
うちで実際にやったことを、失敗も含めて書いています。
千葉県柏市・我孫子市で介護事業をやっています。
https://note.com/wakiaiai_kaigo
※本noteは個人の発信であり、所属法人の公式見解ではありません。

