【エッセイ✖️連作短編】無人島に、なにかひとつ持っていくとしたら 第2話
〜ゴリラと幻のフルーツ〜
翌朝。
目を覚ますと、
目の前に巨大な影があった。
「……でかい」
ゴリラだった。
人生で見たこともないくらい、
大きなゴリラだった。
帽子は隣で、のんきにカメラを構えている。

「撮っとく?」
「今じゃない」
ゴリラは、ーーーじっとこちらを見ていた。
怒っているわけでもない。
喜んでいるわけでもない。
ただ、
ーーー見ている。
「……こんにちは」
返事はなかった。
でも、どこかへ行こうともしなかった。
帽子が、
小さな声で耳打ちする。
「相手に興味はあるけど、特に自分から仲良くなろうとしないタイプだな、きっと」
「……いるよね、そういう人」
「ゴリラだけどね、へへ」
「……うん」
しばらくすると、
ゴリラは突然立ち上がり、
ジャングルの奥へ消えていった……
戻ってきたゴリラの手には、
なんだか見たこともないようなフルーツ。
黄色くて、丸くて、少し光っている。

ゴリラはそれを、
ドスン、と僕たちの前へ置いた。
僕たちがお礼を言うと、
ゴリラは、そっぽを向いた。
帽子が、フルーツを持ち上げる。
「なんか光ってますけど……笑」
僕たちは顔を見合わせる。
帽子が、小さくひと口かじった。
「シャリ……うん、甘い。あと、なんか——」
「え?」
「このゴリラのこと、見つけた時から実はちょっとカッコいいと思ってるんだーーっ!」
帽子は、急に大きな声で叫んだ。
「……え?」
「あっ💦」
帽子が、ハッとした顔になる。
顔を真っ赤にして、あわてて口を押さえた。
ーーーーーゴリラは、
ゆっくりとこちらを向いた。。

「そのフルーツはね、"幻のフルーツ"だホ。この島にしかないって、前に会ったおじいさんが言ってたよ。それを食べると、思ったことを素直に口にしてしまうんだって。美味しいけど、気をつけて食べるんだホ」
ゴリラは、
かいつまんで丁寧に説明してくれた……
なるほど。そういうことか〜♪
いろいろ教えてくれて、親切なゴリラだな〜
……会釈して、
僕たちはゴリラと別れた。
ーーーイヤイヤ。
ゴリラ喋ってましたけど!!
僕と帽子は、そんなこと、
思っても言わないタイプの2人だった……
つづく
✅第3話 よかったら、こちらもどうぞ〜
