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写真を使って風景スケッチを描く場合に気をつけること(線描における課題)(2):どのように線描したのか


はじめに

 本記事では、前回の記事(下記)で最後に紹介した線描、《郷土の森博物館の滝のある風景》をどのように線描したかを解説します。

 用いた写真を再掲載します。

図1 最終提案の写真
図2 わたなべ・えいいち《郷土の森博物館の滝のある風景》 F6 ペンとインク

風景スケッチ:どのような順番で線描したらよいか(一般論)

 前記事で述べた様に、「線スケッチ」では、原則現場で線描を行います。それは、描きたいと思った対象を自分の目で見て描くのと、写真を撮影したのち、それを見て描くのは、根本的な違いがあるからです。

 別記事でその辺の事情を解説するので、ここでは次のことを指摘するにとどめます。

1)カメラのレンズを通して結んだ像を印刷して見る画像(写真)と、目で見て網膜に結んだ像を脳内で脳が認識する画像は異なる。
2)写真は、隅々までピントが合っており(接写の場合を除く)、また露出も明るい場所に合わせており、暗い場所は真っ黒に近くなる。一方、目から脳に入った像は、見つめた対象にピントが合うが、周囲はピントは合わずぼけて見える。全てをハッキリ見るには首を回し、目も動かす必要がある。一方、カメラは一方向に固定したまま画像を結ぶ。
3)さらに両者の大きな違いは、結ぶ像が与える心理である。写真の場合は、すでに印刷(あるいはディスプレイに映った)された画像を見て描くため、線描は正確に描こうとする心理が働き、描いた線描は写真の模写になる。一方、現場で対象を見ながら描く場合は、目から脳内に入った瞬間に何らかの心理的感動を呼びおこし、その感動を感じたまま脳がペンを持つ手に指令を与えるので、感動が線の表情に現れる。

現場で直接線描する場合

 従って、まず第一に、写真を使わずに現場で描く場合は、まず感動したもの、描きたい対象を大きく描いてから、周囲を描き広げていく方法をとることがお薦めです。
 すなわち、感動したものは大きく見えるという人間の心理状態を、紙面に再現できるからです。

 その方式の場合、比率が一定にならず、構図が破綻しないかという心配をされる方がいるかもしれませんが、描き広げながら構図を整えていくことで解決できます。

 一方、写生を始める前に長方形のフレームを使い、描きたい方向に向けて覗き、切り取る構図を決めるという方法が知られています。私は反対しませんが、生徒さんには薦めていません。

 なぜなら、その方法はカメラのファインダーを覗いて構図を決めることと変わりがないからです。その場合、その人の感動する対象で決めるのではなく、黄金比や白銀比のような理論比、あるいは絵葉書のように誰もが感じる美の構図になります。

写真を元に線描する場合

 今回は、写真を元に線描する場合になります。この場合は、すでに構図を決めているので、基本的はどこから描いても問題ありません。しかし重なりを考えると、全てが見える手前から描くと、描きやすくなります。、

《郷土の森博物館の滝のある風景》の線描手順の解説

 それでは、図2の《郷土の森博物館の滝のある風景》をどのように描いたかを解説します。

 主に、図3を用いて解説します。参考としてその線描順を対応する写真に記入したものを図4に示します。

図3《郷土の森博物館の滝のある風景》と描いた順番(1⃣~8⃣)
図4  線描順の番号(1⃣~8⃣)を記入した最終提案の写真

 前節で述べたように、ここで示した順番は、手前から奥への順に線描する場合を示しました。以下、各順ごとに線描の際に気を付けることを合わせて解説します。

1⃣:一番手前の欅の幹を線描する。大きな樹木の幹の輪郭は太めに。
2⃣:イロハモミジの幹と枝を線描する。末端の小枝は全て描く必要はなく、小枝が多い様子が分かればよい。
  イロハモミジの根元の草を描く。草の曲線の曲率を気を付けて描く。
  草の背後のヤツデの葉を描く。葉の向きに注意して描く。
3⃣:イロハモミジの背後の岩に生えるヤツデ、樹木の葉を描く。
4⃣:滝つぼの手前の敷石および左側の石を描く。人間が乘る平たい部分が坂にならないように描く。
5⃣:全ての岩を描く。
6⃣:岩の上、その背後の一番近い樹木を描く。
7⃣:滝の流れを描く。水しぶきは、紙の白で表現するので、滝の流れを線描する必要はないが、ここでは、線描で滝を示すために、水の流れを線で表した。
8⃣:さらに7⃣の背後の奥の森の樹冠の輪郭を線描する。葉っぱの多さを表すために、点を打つ。

(おしまい)

 前回の記事は、下記をご覧ください。


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