【Claude Code×人材紹介】面談レビューを、"うちの型"で返すAIアプリを作った話
はじめに
前回は、サービスサイトをAIと2日で立ち上げた話を書きました。
今回は、また"中の業務"に戻ります。
テーマは、育成の核心——面談レビューです。
※これまでの投稿は、下記のマガジンにまとめています。
先に結論から。
面談の文字起こしをアップロードすると、うちに溜めた全ナレッジ——面談のプレイブックや成功事例——を基準に、
「良かった点」と「次回に向けた改善点」を診断レポートで返してくれる社内アプリを、Claude Codeで作りました。
名前はそのまま、「面談レビューAI」です。
今日はその実録を書きます。
面談レビューは、育成の核心なのに、いちばん重い
CAの育成で、いちばん効くのは面談のレビューだと思っています。
実際の面談を振り返って、何が良くて、どこで会話が浅くなったかを、一つひとつ具体的に直していく。
これに勝る教材はありません。
でも、これがいちばん重い。
同席や録画の確認は、レビューする側の時間をまるごと食う。全面談には、物理的につけられない
レビューの質が、レビューする人のその日の集中力と記憶に左右される
そして出てくるフィードバックが「もっと深掘りしようか」のような抽象論になりがちで、受け取った側は次に何を変えればいいか分からない
うちは社員2名の会社です。私が全部の面談に同席してレビューする、という選択肢は最初からありません。
かといって、レビューなしで面談の数だけこなしても、伸び方は運任せになる。
ここを仕組みで解きたい、とずっと思っていました。
何を作ったか ― 文字起こしを上げると、レポートが返ってくる
作ったのは、シンプルなWebアプリです。使い方は3ステップしかありません。
面談の文字起こしデータ(テキスト)をアップロードする
数分待つ
診断レポートが出てくる(PDFやWordでも保存できる)

文字起こしをアップロード(またはテキスト貼り付け)して、診断を開始するだけ
裏側では、AIが2段階で動いています。
まず、うちのナレッジベース全体の"索引"を読んで、この面談の診断に必要なナレッジはどれかを、AI自身が選ぶ。
初回面談なら面談のプレイブックと認知変容の型、該当する職種の実践ノウハウ、というように。
そのうえで、選んだナレッジと文字起こしの全文を突き合わせて、構造化されたレビューを書く。
つまりこのアプリは、「AIが面談を採点するツール」ではなくて、
「うちの型を全部読み込んだうえで、この面談を型と照らして観るツール」です。ここが肝です。
なお、面談の録音・文字起こしは、候補者の同意を得たうえで、社内の育成目的に限って扱っています。
ここの運用ルールづくりも、仕組みの一部だと思っています。
出てくるレポートが、"一般論"ではない
生成AIに面談の文字起こしを渡してレビューさせること自体は、誰でもできます。
でも、素のAIに渡すと、返ってくるのは「傾聴ができています」「もう少し深掘りしましょう」という、どの会社にも当てはまる一般論です。
それでは人は変わりません。
このアプリのレポートは、こう返してきます。
良かった点は、「どの発言が、うちのどの型どおりだったか」で褒める。 発言のタイムスタンプ付きの引用と、合致するナレッジのパターン名がセットで出てくる。「この場面のこの切り返しは、プレイブックの"抽象語は定義を取りにいく"の実践として非常にレベルが高い」というように
改善点は、「事象 → なぜ重要か → 次回この一言で回収する」まで書く。 指摘で終わらず、次の面談の冒頭でそのまま使える"トーク例"までセットで出てくる

総評・面談概要・良かった点・改善点・標準フロー対照チェックリスト・次回アクションまで、一枚で返ってきます
実例をひとつ、抽象化して紹介します。
先日の、転職するかどうか自体を迷っている低温度の候補者との面談。
レポートは、その面談の進行を型どおりだと具体的に褒めたうえで、「中長期ゴールの質問がまるごと抜けている。この候補者の迷いを解くのは条件比較ではなく未来側からの視点なので、これが最優先の改善点」と指摘し、
次回のセカンド面談の冒頭でそれを回収する質問文まで提案してきました。
正直、私がレビューで言いたかったことと、ほぼ同じでした。
「もっと深掘りして」ではなく、「この場面のこの一言を、次はこう変える」。
抽象的な助言は受け取った瞬間に消えますが、ここまで具体なら、次の面談にそのまま持ち込めます。
なぜ"アプリ"にしたか ― 私に頼まず、自分で回せる形にする
じつはこのレビュー自体は、以前から私の手元ではできていました。
Claude Codeにナレッジと文字起こしを読ませれば、同じことは返ってくる。
でも、それだと「私にレビューを頼む」という形が残ります。
私が詰まれば、レビューも詰まる。育成の仕組みとしては、そこが弱い。
だからWebアプリにしました。ブラウザを開いて、ファイルを置いて、ボタンを押すだけ。
メンバーが、面談のたびに、誰にも頼まず自分でレビューを回せる。面談→レビュー→次の面談で直す、というループが、私の稼働と切り離されて回り始める。
ツールを作ること自体が目的ではなくて、「レビューが、特定の人の時間に依存しない状態」を作ることが目的でした。
ちなみに、このアプリもClaude Codeで作っています。
画面も、裏側の処理も、ナレッジを読み込む仕組みも。
前回のサービスサイトと同じで、「社内ツールを自作する」のコストが、劇的に下がっている実感があります。
人間に残るもの ― レポートは"指導"ではなく"材料"
線引きの話も、いつもどおり書いておきます。
このレポートは、指導そのものではありません。判断の材料です。
レポートを読んで、どの改善点から手をつけるかを決め、次の面談で実際に変えるのは本人。
そして、本人の迷いを受け止めて一緒に考えるのは、マネージャーの仕事です。
むしろレポートが論点を絞ってくれるぶん、マネージャーは「絞られた論点について話す」ことに時間を使えます。
合理はAIに、熱量と伴走は人間に。
面談を型と照らして観察するのはAIに。観察結果をどう受け止め、どう変わるかに並走するのは人間に。
ここを混ぜて「AIの採点で人を評価する」ことにしてしまうと、この仕組みは監視になって、たぶん誰も使わなくなります。
あくまで、本人が自分の面談をうまくなるための道具です。
少人数だからこそ ― 全面談に、レビューがつく
「全部の面談に私が同席する」は不可能です。でも、「全部の面談にレビューがつく」は、仕組みなら可能でした。
トップの背中を何十回も見て、運よく自分で言語化できた人だけが伸びる——そういう育成から、毎回の面談がそのまま教材になり、翌面談までに一つ直す、という育成へ。
少人数の会社ほど、レビューする側の時間が最初に枯れるので、この差は大きいと思っています。

おわりに
面談の文字起こしを上げると、うちの型で赤入れが返ってくる。良かった点はタイムスタンプ付きで具体的に、改善点は次回のトーク例つきで。それを、メンバーが自分で、いつでも回せる。
これも結局、この連載でずっと書いてきたことの続きです。ナレッジを溜める → AIに読ませる → 業務の形にする。今回はそれが「アプリ」という形になっただけで、本体はあいかわらず、何をナレッジとして溜めてきたかのほうにあります。素のAIに文字起こしを渡しても一般論しか返ってこないのは、裏を返せば、型の蓄積こそが差になる、ということなので。
作ったものは、そのままサービスにしています
じつは、こうして自社でやってきた「ナレッジをAIに載せて、業務の形にする」こと自体を、いま人材紹介会社向けのサービスとして提供しはじめました。
この面談レビューアプリのようなものを、御社でも作れる(=内製できる)ようにする、という中身です。
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https://staneer-aikensyu.com/
「うちも面談レビューが回っていない」「AIでどこまで内製できるのか聞いてみたい」という方は、上のサービスからでも、下の壁打ちからでも、気軽に声をかけてください。
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