見出し画像

歩いているだけで疲れる人が無意識にやっているクセ


前回の記事「同じ距離を歩いているのに、なぜ疲れ方が違うのか」の続きです。
前回は、歩くときの「重心のブレ」や「全身の連動」についてお話ししました。
今回は、そこからもう一歩踏み込んで、なぜ「脚を前に出そう」とすると疲れやすくなるのかを詳しく掘り下げていきます。

歩いているだけで疲れる人には、ある共通したクセがあります。
それは、意外にも「脚を前に出そう」として歩いていることです。
「え、歩くんだから脚を前に出すのは普通じゃない?」
そう思われたかもしれません。

同じ道を歩いて、同じ距離を移動しているのに、なぜかいつもへとへとになってしまう。
前回の記事では、歩くときの「重心のブレ」や「全身の連動」についてお話ししました。

では、実際に疲れやすい人は、歩くときに身体の中で何をやっているのでしょうか。

今回は、その無意識のクセを深掘りしていきます。

「脚を前に出す」は、本当にいけないこと?

歩くとき、「前へ進もう」と思えば、当然脚を前に出します。
だから、それ自体が悪いわけではありません。
ただ、意識が「脚を前に出すこと」に強く偏ると、身体全体の動きが少しずつ変わってきます。

私たちは無意識のうちに、
「足を前に出す → そこへ身体を運ぶ」
という順番で歩いてしまいがちです。
一方で、スイスイ歩ける人は、
「身体が前へ進む → 脚が自然についてくる」
という感覚で動いています。
この「順序の違い」が、疲れ方に大きな差を生みます。

「脚を前に出そう」とすると、何が起きるのか

脚を前に出そうとする意識が強くなると、足が身体よりも前に出て、着地しやすくなります。
すると、何が起きるでしょうか。
足が身体より前に着くことで、前へ進んでいる身体に対して、着いた足がブレーキのように働いてしまうことがあります。
「前へ進みたいのに、着地したところで一度ブレーキがかかり、そこからまた身体を前へ進める。」
これを毎歩ごとに繰り返していたら、どうなるでしょうか。
身体には、余計な力と負担が少しずつ積み重なっていきます。

前回お伝えした、「自分で自分にブレーキをかけている状態」とは、まさにこのことです。

では、どう歩けばいいのか?
「脚を前に出そう」としないなら、私たちはどうやって歩けばいいのでしょうか。
ここで思い出してほしいのが、前回の記事でご紹介したこのイメージです。
「脚は、みぞおちから生えている。」
脚を前へ「出す」のではなく、身体の中心から前へ進んでいく。
足先や膝だけで歩こうとすると上半身が揺れて力が逃げてしまいますが、「みぞおちから脚が生えている」とイメージすると、自然と体幹から脚までを一つのつながりとして使いやすくなります。
すると、胴体の中心に一本の軸が通り、上下の無駄なブレが消えていきます。
その結果、脚は「無理に前に出すもの」ではなく、「前へ進む身体についてくるもの」として感じられるようになるのです。

歩くとき、少しだけ意識を変えてみる

脚を前へ出そうとするのではなく、
「身体全体が前へ進んでいく」
そんな感覚で歩いてみてください。
そして、前回お伝えした
「脚は、みぞおちから生えている」
というイメージを重ねてみます。
脚を頑張って前へ出さなくても、身体が前へ進めば、脚は自然についてきます。
いつもの歩き方と比べて、身体がスッと前へ運ばれる感覚があるか。
ぜひ、自分の身体で確かめてみてください。
歩き方は、ほんの少し意識を変えるだけでも、身体の使い方が変わります。

次回は、今回お話しした「脚を前に出そうとするクセ」をさらに減らし、疲れにくく歩くための具体的な方法についてお話しします。

参考文献
David A. Winter
Biomechanics and Motor Control of Human Movement
Jacquelin Perry / Judith M. Burnfield
Gait Analysis: Normal and Pathological Function
Donald A. Neumann
Kinesiology of the Musculoskeletal System

――――――――――――――――
元トレーナー。現在は整体師として、施術現場や自身のトレーニングで得た気づきをもとに、「疲れにくく、動きやすい身体」をテーマに発信しています。


いいなと思ったら応援しよう!