会社という巨大なインフラの上に、自分専用の「OS」を立ち上げる生存戦略
前回の記事では、連休明けの「会社行きたくない」というモヤモヤは、あなたのモチベーション不足ではなく「組織OS」と「自分OS」の仕様の違いによるシステムエラーだ、というお話をしました。
では、仕様が違うからといってすぐに会社を辞めるべきかというと、そういうわけでもありません。私自身、これまでのキャリアの中で、組織とうまいこと適度なバランスを保ち、巨大なインフラの上に自分の「仮想OS(watarium OS)」を構築してハックしてきました。
今回は、私がどのようにしてその生存戦略に行き着いたのか、少し昔の話をしたいと思います。
私のOSの正体:「アーキテクト思考」という仕様
そもそも「自分専用のOS(watarium OS)」とは何なのか。結論から言えば、それは「アーキテクト思考」という仕様です。
仕事をしていて、人間関係において「言葉での説得」や「感情的な同調」で人を動かすのが得意な人がいます。しかし、私のOSはそうではありません。「言葉でのディフェンス(論争)」を避け、相手と一緒に指差し確認できる「共通の的(モックや設計図)」を現物として提示し、それで場を動かす。これが私の思考です。
誰かが用意したパッケージやルールにそのまま同調するのではなく、自らの思考で「なぜこれが必要か」というロジックを組み上げ、心底「腹落ち」してはじめて、圧倒的な推進力を発揮できる。それが私のOSの基本スペックです。
自分の「バグ」に気づいた社会人1年目
この仕様に気づいたのは、アパレルメーカーで働いていた社会人1年目の頃でした。
私は「ウェットな関係構築」——つまり、カリスマ性で人を引っ張ったり、飲み会的なノリで関係性を築いたりすることが、得意ではありませんでした。全然陽キャラではないですし。
周りの優秀な先輩たちを見て、「自分は営業に向いていないバグだらけの人間だ」と落ち込むこともありました。しかし、そこで無理にノリの良い先輩の真似(別のOSのインストール)をして、自分を偽ることはしませんでした。
代わりに自分のOS(アーキテクト思考)をフル稼働させました。自分の苦手な部分は得意な先輩・同僚に同行してもらってシステム的に補完し、他人が面倒くさがる細かな調整事(こぼれ球)を実務として拾い上げる。感情やノリではなく「設計と実務」という形を見せることで、組織の中で「とりあえず彼に振っておけば何とかしてくれる」という強固なポジションを獲得したのです。
会社は「インフラ」に過ぎない
その後、別の会社へ転職を経験しましたが、会社組織というものには多かれ少なかれ「特有の空気感やしきたり(組織OS)」が存在します。当然、そこでも自分のOSとの摩擦を感じることはありました。
しかし、ここでひとつのブレイクスルーが起きます。「会社の組織OSと無理に融合しようとするから苦しいのだ」と気づいたのです。
会社は、AWSのようなただの「インフラ(ハードウェア)」に過ぎません。その会社特有の空気感やルールは「そういう制約条件(仕様)」として受け入れます。しかし、思考や処理そのものは、自分の「アーキテクト思考(自分OS)」の中だけで独立して回し、腹落ちした結果をフィールドへ返す。
会社のOSで自分を上書きするのではなく、組織というクラウドインフラの上に、自分専用の仮想環境(OS)を立ち上げる。これが、私が組織の中で自分を見失わずに遊ぶための「仮想化」の正体です。
まずは自分の「OSの仕様」を知ることから
自分のOSの仕様(強みや判断基準、どうすれば腹落ちするのか)を正確に把握していれば、どんな会社に行っても自分を上書きされることはありません。
「会社が合わない」「周りとノリが合わない」と嘆く前に、まずは自分のOSの仕様を言語化し、インフラの上で立ち上げてみてはどうでしょうか。
【次回予告】
次回は、自分のOSを立ち上げた状態で、誰もやりたがらない「カオスな環境(全体像すら見えない新規事業など)」に放り込まれた時、具体的にどうやって組織のハブを掌握していくのか?次回の泥臭い実践編(ハック編)に続きます。
