ひろしま

私はこの写真集を開くことができるだろうか、と
購入に時間がかかった本

石内都さんが「資料」となってしまったモノ達を
一点一点の衣服を、光にあてピントを合わせた写真



わかりやすい無惨さではなかった
破けた部分よりも、透視光の布地の質、ディテールのうつくしさにそう思っていいのか戸惑う

当時は手作りの衣服
丁寧に縫製され、何度も繕われた跡のある服
この日も色鮮やかでかわいい模様のワンピースを着させていたこと、
着ていたこと

日常が、生活が、愛情や気品が
そこにあったということ
そういう想像が、うつくしいこと自体が
ゆっくりと哀しみ複雑な感情になっていく

纏っていたその人の皮膚や身体を思ってしまう



父は幼い時に長崎のキノコ雲を見たと言っていた
祖父は戦争に行き、上官に殴られ片耳が聞こえなくなった

仕事する中でいくつもの戦争体験を聞いた
極限の状態で「悪いこと」をしてしまった後悔
人間魚雷に乗っていた、捕虜になった
身近な人に暴力を振るうようになった
そして、その体験が染み付くように今の体験となっている方も居られた

起こってしまったら、渦中にいたら
直接自分の手で痛みを伴わないまま
簡単に人を傷つけ命を奪ってしまう事がある

直接自分の手に痛みを伴わない感覚は怖い
そこにいる人の顔を見ることがなく
その後の姿も想像することがなく
もっと遠くから、簡単に操作したり流されていくこと

地震、事故、人の痛みにこれだけ
胸を痛めたり、心を寄せ、想う人々
自分に何ができるのか考えて悩む人
助けようとする人

そうできる人であっても
正義感、身を守ること、で
私利私欲でなくても、流れをつくってしまうことがある

、、やっぱり言葉は、難しい

石内さんのこの写真集には、人の姿は写っていないけれど人の気配が写っている

ひとつひとつの衣服やものに対して
身につけていた人に対して
敬意を持って、撮影されたこと

写真の一枚ずつ、衣服の一枚ずつ

朝、TVで平和式典をみて
今日またこの写真集を開いてみた

熊本に地震が起こってから1週間
少し考えすぎたり、無力感を感じること、きっかけに変化したいと考えていたことで動いたり、呼吸が浅くなって疲れていた

だから、こんな写真集がありますよ、とだけ
誰かに伝えたくなった

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