【第66回】ビジネス書との出会い:誰をバスに乗せるか?『ビジョナリー・カンパニー 2 飛躍の法則』
この**【ビジネス書との出会い】**シリーズでは、私が出会い、人生やビジネスの視点を変えるきっかけとなったビジネス書を、毎回1冊ずつレビュー形式でご紹介していきます。
書籍と著者
本日ご紹介する書籍は、経営コンサルタントであり、世界で最も影響力のある経営思想家の一人、ジム・コリンズ氏による**『ビジョナリー・カンパニー 2 飛躍の法則』**(原題:Good to Great: Why Some Companies Make the Leap... and Others Don't)です。
導入:「良好(Good)」は、「偉大(Great)」の敵である
「ウチの会社はそこそこ利益が出ているし、まあ順調だ」 そう思っているなら、危険です。
ジム・コリンズは言います。 「良好(Good)は、偉大(Great)の敵である」
ほとんどの企業が「偉大」になれないのは、失敗するからではありません。「そこそこ良い状態」に満足して、そこで止まってしまうからです。 この本は、ごく普通の企業が、ある時点から急激に成長し、15年以上にわたって市場平均の3倍以上の実績を出し続けた「飛躍した企業」の共通項を抽出した研究レポートです。
本書の核:誰をバスに乗せるか(First Who, Then What)
本書で最も有名、かつ衝撃的な教えがこれです。 「何をなすべきか(戦略)の前に、誰を選ぶか(人)を決めよ」
1.バスの目的地を決めるな
間違い: カリスマ社長が「よし、あそこに行くぞ!」と目的地(戦略)を決め、それに合う人を集める。
これだと、目的地が変わった(市場が変化した)時に、誰もついていけず組織が崩壊します。
正解: まず目的地を決めずに、「適切な人」をバスに乗せ、「不適切な人」をバスから降ろす。
適切な人たちが集まれば、「さて、どこへ行こうか?」と話し合い、どんな変化にも対応できる偉大な戦略が生まれます。
これは【第62回】『NO RULES』の「能力密度を高める」という考えと完全に一致します。
2.第五水準のリーダーシップ
飛躍した企業のリーダーは、派手なカリスマではありませんでした。 彼らは一様に、「謙虚さ」と「職業人としての意志(不屈の精神)」という、矛盾する二つの性質を兼ね備えていました。
成功したときは「運が良かった」「部下のおかげだ(窓を見る)」と言い、
失敗したときは「私の責任だ(鏡を見る)」と言います。
自分のエゴではなく、会社の成功を第一に考える、【第42回】で学んだ「謙虚なリーダー」の完成形です。
実践:ハリネズミの概念
では、バスに乗った優秀な人たちは、何を目指せばいいのか? キツネのようにあれこれ手を出すのではなく、ハリネズミのように**「ひとつのこと」**を極めるべきです。
以下の「3つの円」が重なる部分だけに集中してください。
情熱: 自分たちが情熱を持って取り組めること。
世界一: 自分たちが「世界一」になれる能力があること(なりたい、ではなく、なれること)。
経済的原動力: 利益が出る(キャッシュフローを生む)こと。
この3つが重ならない事業(例えば、儲かるけど情熱がない、好きだけど世界一になれない)は、勇気を持って切り捨てる。 【第53回】『焦点の法則』や【第65回】『ブルー・オーシャン』の引き算の思考が、ここで統合されます。
まとめ:規律の文化を作れ
偉大な企業への道に、魔法の瞬間はありません。 巨大なフライホイール(弾み車)を、全員で毎日押し続けるだけです。
規律ある人材: 適切な人をバスに乗せる。
規律ある思考: ハリネズミの概念で、やるべきことを絞る。
規律ある行動: 決めたことを徹底的にやり抜く。
この「規律」が揃ったとき、管理職による管理はいらなくなります。 「そこそこの成功」で満足して一生を終えるか、それとも「偉大さ」を目指すか。それは能力の問題ではなく、選択の問題なのです。
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