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【第14回】ビジネス書との出会い:なぜ、その話は記憶に残るのか?『アイデアのちから』

この**【ビジネス書との出会い】**シリーズでは、私が出会い、人生やビジネスの視点を変えるきっかけとなったビジネス書を、毎回1冊ずつレビュー形式でご紹介していきます。


書籍と著者


本日ご紹介する書籍は、チップ・ハース氏とダン・ハース氏(兄弟)による**『アイデアのちから』**(原題:Made to Stick)です。


導入:なぜ、あなたの「伝えたいこと」は忘れられるのか?


これまでの連載で、私たちは「どう伝えるか(技術)」、例えば「見出しの付け方(ケープルズ)」や「心理トリガー(シュガーマン、ホイットマン)」を学んできました。

しかし、どんなに優れた技術を使っても、伝えるべき「アイデア」そのものが弱ければ、人の心には残りません。読んだそばから忘れられてしまいます。

この『アイデアのちから』は、「なぜ、あるアイデアは人の記憶に粘りつくように残り、あるアイデアはすぐに消えてしまうのか」を科学的に解明し、「記憶に残るアイデアの作り方」を体系化した、まさにコミュニケーションの革命書です。


本書の核:記憶に粘りつくアイデア「SUCCESs」の6原則


本書は、人の記憶に残り、行動を促す強力なアイデアには、共通する6つの原則(SUCCESs:サクセス)があると説きます。


1. Simple(単純明快さ)

  • 原則: 伝えるべきことを、たった一つの「核(コア)」に絞り込むこと。あれもこれも伝えようとすると、何も伝わりません。

  • 教え: 専門用語を捨て、不要な情報を削ぎ落とし、「最も重要なこと」だけをシンプルに伝えましょう。


2. Unexpected(意外性)

  • 原則: 人の「常識」や「予測」を裏切ることで、強力な「驚き」を生み出し、注意を引きつけます。

  • 教え: 読者の知識の「隙間」を意図的に作り出し、「え、どういうこと?」と好奇心を刺激することが重要です。


3. Concrete(具体性)

  • 原則: 抽象的な言葉(「高品質」「革新的」など)ではなく、五感で感じられる具体的な言葉で描くこと。

  • 教え: これはホプキンスやケープルズの教えとも直結します。「世界一」ではなく、「このレモンにストローを刺してそのまま飲める」と表現する。具体性こそが、アイデアをリアルにします。


4. Credible(信頼性)

  • 原則: なぜ、そのアイデアを「信じるべきか」という裏付けを示すこと。

  • 教え: 専門家の言葉、具体的なデータ、そしてロバート・ブライの言う「Proof(証拠)」が、アイデアに信頼性を与えます。


5. Emotional(感情に訴える)

  • 原則: 人は理屈ではなく、感情で動く。

  • 教え: シュガーマンやホイットマンが説いたように、読者の個人的な感情(喜び、恐怖、共感)に火をつけることで、アイデアは単なる情報を超え、「行動」の動機になります。


6. Story(物語性)

  • 原則: 物語は、アイデアを記憶に定着させ、「どう行動すべきか」をシミュレーションさせる最強のツールです。

  • 教え: 単なる事実の羅列ではなく、ストーリーとして語ることで、読者はそのアイデアを「自分ごと」として体験できます。


まとめ


これまでの連載で学んだ「売るための技術」と、この『アイデアのちから』で学ぶ「記憶に残す技術」は、表裏一体です。

もし、あなたのnoteの記事や商品紹介が「読まれているはずなのに、なぜか反応がない」と感じるなら、それは「技術」ではなく、伝えるべき「アイデアの核が弱いのかもしれません。

この「SUCCESs」の6原則は、あなたのコピーライティングやマーケティングの**「核」**を強化し、読者の記憶に粘りつくメッセージを生み出すための、最強のチェックリストとなるでしょう。


▼ 合わせて読みたい(過去の連載より)

『アイデアのちから』で学んだ「SUCCESs(サクセス)の6原則」を、具体的なコピーライティングの技術や、マーケティング戦略へとさらに深掘りするための必読リストです。

【第15回】『アイデアのつくり方』 [選定理由:アイデアの「種」を生み出す] ハース兄弟が「アイデアを記憶に残す方法(SUCCESs)」を説いたのに対し、ジェームス・W・ヤングの本作は「そもそも最初のアイデアをどうやって思いつくか」という発想法の原点です。この2冊を掛け合わせることで、「無から有を生み出し、それを人の心に永遠に刻み込む」最強の思考プロセスが完成します。

【第36回】『ストーリーで伝えるブランド シグネチャーストーリーが人々を惹きつける』 [選定理由:「S(物語性)」の最大化] SUCCESsの最後のピースである「Story(物語性)」。なぜ事実やスペックの羅列ではなく、物語でなければならないのか。それを企業や個人の「ブランド資産」としてどう構築し、顧客の感情(E)に火をつけるかを体系化した、ブランディングの決定版です。

【第22回】『ステーキを売るなシズルを売れ --ホイラーの公式』 [選定理由:「C(具体性)」と「E(感情)」の実践] SUCCESsの「Concrete(具体性)」と「Emotional(感情)」。これをセールスの現場で極限まで研ぎ澄ませたのがホイラーです。「牛の肉」ではなく「肉が焼けるジュージューという音(シズル)」を売れという教えは、五感を刺激して記憶に粘りつかせる技術の究極形です。

【第4回】『現代広告の心理技術101――お客が買わずにいられなくなる心のカラクリとは』 [選定理由:「U(意外性)」と「C(信頼性)」の心理学] なぜ人は「Unexpected(意外性)」に惹きつけられ、「Credible(信頼性)」によって財布を開くのか。その裏側にある人間の「LF8(生命の8つの躍動)」や心理トリガーを、ダイレクト・レスポンス・マーケティングの視点から完全に解き明かした実戦マニュアルです。

▲他にもいろいろビジネス書を紹介しています。


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