FIFAワールドカップ2026。アメリカ・メキシコ旅。その11。
6月25日。
本日はいよいよ、日本代表VSスウェーデン戦。グループステージ最後の試合だ。そして、僕が現地観戦する最後の試合でもある。日本はまだグループステージ突破を決めてはいなかったが、この試合で勝つか引き分ければ、2位以内が確定して、自力でのグループステージ突破き決められる。仮に敗れてしまった場合、日本代表は3位に後退してしまう。が、勝ち点は4なので、今大会のレギュレーション的に、他組の3位チームとの成績比較で、グループステージ突破の可能性は高い。ざっくりいうと、こんな状況だ。
さらにその先の話をすると、決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)の相手は、1位通過ならモロッコ代表、2位通過ならブラジル代表、3位通過ならフランス代表。どこも優勝を狙う超強豪国だ。特にフランス代表は、この段階では、誰も止められないのでは?と思える圧倒的強さを見せつけいた。移動や日程的なもの含め、3位通過は避けたいところだ。
同じグループのもう1試合は、オランダ代表VSチュニジア代表で、同時刻のキックオフとなる。前にも書いたように、チュニジア代表はかなり状況が悪い。スウェーデン代表に1対5で敗れたあと、日本代表には0対4で敗れている。大方の予想では、優勝候補の一角であるオランダ代表に勝つのはもちろん、引き分けすら難しいだろう、というものだった。
なので、日本代表が勝利しても、オランダ代表がチュニジア代表に勝利して、勝ち点を上回れず、1位通過はできない。そんな空気だった。つまり、勝っても引き分けでも、おそろく2位通過。負けてしまったら3位通過。それが濃厚だった。
これは難しい。初めから引き分けを狙っていると、スウェーデン代表にやられてしまう。スウェーデン代表の攻撃陣は、世界トップクラブのエース各だ。隙を見せたらすぐに確実にゴールを奪ってくる。なにより、スウェーデン代表は勝利を目指して攻めてくる。日本代表に勝てば、2位に上がれる。スウェーデン代表ももちろん、フランス代表とあたる3位通過は避けたい。そのスウェーデン代表相手に、日本代表はどんな戦いを見せてくれるのか。不安より楽しみの方が大きい。今の日本代表は、それだけ自信を持って応援できる。
12:30にホテルを出発し、スタジアムに向かう。この道を通るのも、今日で最後だ。いちいちそんな気持ちになっていた。
スタジアムに着き、メディアセンターへ。今回は、オランダ戦と同様、ピッチ脇から、試合前の熱気を、SNSでリポートをさせてもらう。そして、試合後は、スタジアムでマイライトの撮影。慣れた感じでビブスを着用した。

いつもどおり、確認のため、早めにピッチ脇に向かう。そこで感じたのは、オランダ戦より明らかに、警備が厳しくなっている、ということだ。もちろん、パスはあるんだけど、警備員の方にその確認を慎重にされて、それでも許可が取れず、担当の方を呼んで、さらに確認をされた。ワールドカップだ。警備をしっかりするに越したことはない。それにしても、オランダ戦とは全く違う。
そこで思い出した事がある。オランダ戦のとき、ピッチ脇に向かう通路で、警察に連行されている人を、目の前で見た。手錠をつけられて、警察の車両に乗せられていた。どうしても試合が観たくて、こっそり忍び込んでいたのか、はたまた別の目的があったのか。これは憶測だけど、そんな事があったから、警備をさらに強化しよう、ということになったのかもしれない。やっと許可がおり、ピッチ脇に行くことができた。それでも、今回はこの場所から動かないように、という、オランダ戦より範囲が限られてる中でのレポートとなった。
1度メディアセンターに戻り、実況解説陣はじめ、出演者の方と、今日の試合の展開予想を話したりした。メディアセンターでは、軽食を出してくれるんだけど、偏食過ぎる僕は食べられないものの可能性が高い。メディアセンターの中で、パンやポテトチップスが売っていたので、それを買って食べた。チーズが入っていないパンをください、という事くらいは伝えられて、ここでも一人で買い物できるようになっていた。黙々とポテトチップスを食べる姿は、あまりにも子供過ぎて、みんなから笑われたけど。
いよいよサポーターもスタジアムに入ってきて、キックオフが近づく。リポートするため、再びピッチ脇に向かう。先ほど慎重に確認にしてきた警備員さんが、わざわざ謝ってきてくれた。警備を厳しくするのは当たり前の事だ。わざわざ謝らなくてもいいのに、優しい。こういう一言があるだけでも、気持ちよく仕事ができる。
何度も言うように、ダラススタジアムは、空調が効いている。灼熱の外とは全く違い、めちゃくちゃ涼しい。たが、サポーターの熱気は凄い。これから熱い戦いが始まる。僕と同じように、グループステージ最終戦の、この試合が現地観戦最後という人も多いだろう。皆、試合前から全力で声を出していた。



リポートをしていると、おそらくアメリカの取材陣の方に声をかけられた。なんとなく聞き取った感じだと、『日本代表は誰が注目なんだ?』『誰が良い選手なんだ?』と聞かれた。僕は拙い英語で、鈴木彩艶選手と堂安律選手と伝えたら、『背番号は何番だ?』『どのポジションだ?』と聞かれた。なんかアメリカって感じだった。注目して観るよ、と言ってくれた。
カカロニと、どの席にいるかの連絡をとり、ピッチ脇からスマホのズームで探してみた。全力で声を出して、応援している2人を見つけられた。すがやはまだ残るけど、栗谷はこれが最後の現地観戦。全てを出しきるだろう。カカロニの2人は、YouTubeのスタッフさんと来ていて、ほぼ毎日動画を上げたり、生配信をして、現地の熱量を伝えていた。サッカーファンはかなり観ていたんじゃないだろうか。そのYouTubeを観て、急遽スウェーデン戦を観るために、ダラスに来た方もいたらしい。芸人にも出来ることはある。現地からだからこそ、発信できる事もある。2人の活動は、間違いなく意味のあるものだった。

リポートを終え、試合を観戦するメディアのエリアへ移動。オランダ戦同様、ゴール裏からの観戦だ。いよいよキックオフ。



前半は、膠着した静かな立ち上がりとなった。勝利が欲しいスウェーデン代表は、徐々に攻撃に出てくるが、日本代表は集中していた。ボールを奪われても、すぐに切り替えて、相手に決定的なチャンスは作らせない。ただ、日本代表も、なかなか決定的なチャンスを作ることはできなかった。やはり勝負は後半になりそうだ。
後半キックオフ。日本代表は積極的にシュートを放って、徐々に流れを掴んでいく。そしてついに試合が動く。堂安選手、上田選手の絡みで見事に相手ディフェンスを崩し、抜け出した前田大然選手がしっかりと、ゴールに流し込んだ。最高に綺麗な崩しだ。このゴールは、大会最優秀ゴールの、最終候補12選に選ばれた。結局、最優秀ゴール受賞は逃したけど、FIFAから、『崩しのスームズなパス回しと、素晴らしい動き出しによる、今大会屈指のチームゴール』と、いう評価された。全員で戦う日本代表を体現した、本当に素晴らしいゴールだ。
先制されたスウェーデン代表は、さらに攻撃に出てくる。しっかり守りたい日本代表だったが、左サイドからカットインして、ミドルシュートを打たれる。これが決まってしまった。こちらも、スーパーゴールだ。すぐに追いつかれてしまった。
時間は経過していく。スウェーデン代表は、勝たなけらば、2位浮上はない。ここから、さらに攻めてくる。ロングボールを使って、ゴール前に放り込んだり、セットプレーでも、チャンスを作る。日本代表として、ピンチが続くが、ここは、鈴木彩艶選手が何度もシュートストップ。ホントに凄いゴールキーパーだ。頼もしすぎる。
そして、スタジアムが一際盛り上がる瞬間が。長友選手の投入だ。これで、5大会連続で、ワールドカップのピッチに立った事になる。右腕には、5大会以上の出場。果たして選手だけがつけられる、レガシーパッチが輝いている。他にレガシーパッチをつけている選手は、長友選手の他、メッシ、クリスティアーノ・ロナウド他、6人のみ。素晴らしい快挙だ。日本サポーターの盛り上がりも凄かったし、僕たちも興奮しまくって、歓声を送り続けた。
長友選手がピッチに入り、さらに集中力を増した日本代表は、スウェーデン代表の攻撃をしっかり守りきり、1対1で、この試合を終えた。これでグループステージ2位が確定し、自力での決勝トーナメント進出を決めた。そして、相手はブラジル代表に決まった。いわずとしれたサッカー王国。ただ、今の日本代表なら、やってくれるはず!そんな会話をみんなでした。おそらくサポーターも、同じような会話をしながら、帰路についたと思う。

そのワクワクと同時に、寂しさが、一気に押し寄せてきた。現地観戦はこれが最後。そして、この旅もいよいよ終わりを迎える。明後日には日本帰る。ブラジル代表との試合を、現地で観たい。現地で応援したい。まだまだアメリカにいて、ワールドカップを楽しみたい。そんな気持ちでいっぱいだった。
日本代表は本当に強くなった。もちろん油断はできないけど、今のレギュレーションなら、決勝トーナメントに進出する可能性は高い。サポーターもメディアも、日本代表を信じて、トーナメントに向けて、動く事も、これからは必要かもしれない。そんな事を思わせてくれるのは、日本代表の成長の証だ。
