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FIFAワールドカップ2026。アメリカ・メキシコ旅。その8。

6月20日。
この日は、FIFAワールドカップ2026グループステージ第2節、日本代表VSチュニジア代表の試合が行われる。前回のオランダ戦は、ピッチ脇から、SNSでのレポートが主なお仕事だったけど、今回は出演者として中継に携わらせていただく。試合前、ハーフタイム、試合後に、DAZNの中継に出演する形だ。もちろん試合中は、みんなで全力応援。パワーを送り続ける。
前回書いたが、この試合は現地時間の22:00キックオフという、非常に遅い時間になっている。試合が終わるのが24:00頃なので、スタジアムを出る頃には日付が変わっている。日本では無い体験だ。その代わり日本時間では、日曜日の13:00キックオフとなっていて、多くの人が観やすい時間。日本からも沢山パワーが届きそうだ。
何より心配なのは天候だ。天気予報をみんな逐一確認していてたが、キックオフ時間くらいに雷雨が来るの予報もあった。果たしてどうなるのか…。

試合開始時間が遅いので、スタジアムに向かう時間も遅くなる。この日は16:00にホテルを出ることになっていた。その前に予定も入っていなかったので、ホテルで過ごす。体力や食事や睡眠時間を、上手くコントロールする必要があった。僕は早めに起きて朝食を食べて、少し仮眠して、お昼過ぎに例のマクドナルドで遅めの昼食を取ってから向かう事にした。

スタジアムに向かう時間になった。外は晴れている。今のところ大丈夫そうだ。今回試合が行われるのは、モンテレイ・スタジアム。正式名称はエスタディオBBVAだが、ワールドカップでは、モンテレイ・スタジアムとななっている。収容人数は53000人で、メキシコのプロサッカー最上位リーグ、リーガMXのCFモンテレイのホームスタジアムだ。

モンテレイ・スタジアム。

スタジアムが見えてきた。かっこいい。ワールドカップで使われるようなスタジアムは、どれも壮観である。見るだけでテンションが上がる。
敷地内に入り、メディアセンターに行った。諸々確認のため、スタジアムに入る。素晴らしい景色。このスタジアムからは、セロ・デ・ラ・シジャ山が綺麗に見えるのも大きな特徴だ。事前にその情報は調べていたので、どうせなら山が見える側がいいなー、と思っていたら、見事に一望できる場所からの中継、観戦となっていた。テンションは上がったけど、よく考えたらキックオフの頃には暗いので、山は全く見えない。早めに入れて、この景色を見ることができて良かった。

セロ・デ・ラ・シジャ山が一望できる。

中継の確認やリハーサルを、念入りにした。DAZNのスタッフさんが大変そうだったのは、マイク等を扱う技術スタッフさんは、現地の方々なので、とにかくコミュニケーションが難しい。何せ全く英語が通じない。マイクの音が出ていなくても、それを伝えるのも苦労する有り様だった。
その後、多少時間が空いたので、ショップで買い物をすることができた。ここではかなり良い買い物が出来たと思う。ちなみに、この日のメディア向けのケータリングは、ハンバーガーだった。お昼と同じになってしまったけど、このケータリングのハンバーガーはめちゃくちゃ美味しかった。これで試合後までお腹は持ちそう。
そんなことより、気になるのは天気だ。予報を見ていると、キックオフ前くらいの時間から雨予報になっている。確かに、遠くの空は明らかな雨雲も見える。不安を抱えながらも、準備は進めるしかない。

マッチデータオル、キャップ、ユニフォーム等を爆買い。

いよいよキックオフが近づく。ブースに移動して、試合前の中継がスタートした。奇跡的に予報は外れて、雨は降らなかった。日も沈み、多少涼しくなり、良い感じで試合ができそうだ。

ここから中継&観戦。
中継は風景はこんな感じ。

この試合はなんと、1930年ウルグアイ大会の開幕戦から数えて節目の1000試合目、というメモリアルな試合でもあった。それがたまたま日本代表の試合で、それを現地で観れるのは、ありがたい他ない。この日買ったマッチデータオルも、より貴重なものになりそうだ。

中継からの流れで、いよいよキックオフ。
ブースはチュニジア側だったんだけど、チュニジアサポーターの数は極めて少なかった。単純にスタジアム全体として、日本代表サポーターが多かった。ただそれ以上に目を引いたのは、観戦に来ているメキシコの人たちの多くが、日本代表を応援してくれていた事だ。オフィシャルから変わり種のシャツまで、様々なブルーのシャツを着て、日本代表を応援してくれている。本当に嬉しい光景だった。なにより、ワールドカップを、この試合を、全力で楽しんでいるのが伝わってきた。アメリカでの試合が『SHOW』なら、こちらは『お祭り』、という雰囲気だ。沢山ビールを飲んだり、頻繁にスタジアム全体でウェーブを起こしたりして、盛り上がっていた。

沢山のブルーのシャツ。
最高の空間過ぎる。
かっこいい。
日本代表は強い。

試合前からチュニジア代表は、バタバタだった。初戦のスウェーデン戦を1対5という点差で敗れ、日本代表戦を前に、監督交代という事態になってしまった。新たに就任した監督が、こんな短期間で戦術を落とし込めるはずもなく、明らかにチームは動揺していた。それでも、ワールドカップは何があるかわからない。油断は全くできない。日本代表が過去にワールドカップの2戦目で勝利したのは、2002年の日韓大会、ロシア代表に勝ったのみだった。前回大会も、ドイツ代表とスペイン代表には勝ったが、2戦目のコスタリカ代表には敗れている。ワールドカップに気が抜ける試合等、1試合たりともない。今の日本代表の選手は誰よりもそれをわかっていた。
試合の結果は皆さん知ってのとおり。4対0で日本代表が、チュニジア代表に勝利した。安心して観られる内容だったし、素晴らし過ぎる結果だ。ワールドカップで日本代表が4点取る事も初めての事だった(4点差の勝利はアジア勢初)。ワールドカップで、4点差の勝利。日本代表もそういう時代が来たんだ。これで1勝1分け。前回のオランダ戦の引き分けを、より意味のあるものにした。

スタジアムの外には馬に乗った警備隊も。

試合後の中継を終え、ようやくホテルに戻る。もう時間は深夜1時を過ぎていた。DAZNチームの皆さんは祝杯で一杯飲むという事だったけど、僕は疲れていたのもあったし、その熱量のうちに自分のYouTubeを撮りたかったので、お断りして部屋に戻った。


6月21日。
昨日は遅くまでだったので、少し遅めの朝。今日はダラスに戻る移動日だ。飛行機が飛ぶのは夕方なので、空港に向かうまでの時間で、近くのショッピングモールに向かった。以前書いたH-E-Bというスーパーではなく、いろんなお店の入った、さらに大きなショッピングモール。こちらも歩いて行ける距離だ。道中、何度もトラクションを鳴らされた。怒られているのではない。メキシコの方が、昨日の勝利をお祝いしてくれているのだ。中には窓をあけて、Japón!と声をかけてくれる人もいる。みんな陽気だし、本当に日本は愛されている。
ショッピングモールには、なん店舗もスポーツショップが入っていた。見て回るだけでも、めちゃくちゃ楽しい。FIFAのオフィシャルショップでの買い物もいいけど、こうやって地元のスポーツショップに行くのも、ワールドカップ観戦の醍醐味だということに、気づいた。僕はいろんな店舗を回り、CFモンテレイのユニフォーム、同じメキシコリーグの強豪、クラブアメリカのTシャツ、メキシコカラーのadidasのキャップ等を買った。実は昨日のスタジアムで、メキシコ代表のアウェイユニフォームも購入していた。すっかりメキシコが大好きになっていた。

メキシコにかぶれまくっている。

お昼過ぎに空港に向かう。ここで、メキシコともお別れだ。正直、なかなか来ることの無い国だと思う。もう2度と来ることはないかもしれない。そう思うと、めちゃくちゃ寂しくなった。メキシコの方は、とにかくみんな優しくて、いい人ばかりだった。日本の事が大好きでいてくれてるのが伝わってきて嬉しかった。サッカーの事も大好きで、ワールドカップも全力で楽しんでいた。僕が体験したメキシコは、ごくごくわずか一部の事で、しかもワールドカップ期間という非日常だ。メキシコには、大変な問題も沢山あるだろうし、危険な事も沢山あるだろう。たかだか3泊4日の滞在。それでも、僕はメキシコが大好きになった、と言わせてもらいたい。僕は帰国してから、スペイン語を少しずつ勉強し始めた。だ。無理のない範囲で続けていきたいと思っている。それだけ影響を与えてくれた。いや、初海外の僕をかぶれさせてくれた。ありがとうモンテレイ。ありがとうメキシコ。

空港に着くと、案の定飛行機が飛ぶ飛ばないで、バタバタしていた。毎回こんな感じでヒヤヒヤする。空港内に、日本食のお店を見つけたので、そこでサーモン丼を頼んだ。ご飯の上にサーモンときゅうりが乗っていて、致死量のマヨネーズで和えられていた。メキシコが嫌いになりかけるくらい不味かった。
口直しにスタバに行ったら、『井口さーん…』と、弱々しい声が聞こえてきた。そこには弱りきったカカロニの2人がいた。成田空港で会ったあと、ダラスのレトロユニフォーム屋さんで軽く顔を合わせて以来の再会だ。カカロニは、特にすがやは、日本が勝ち続ける限り滞在する事にしていたので、かなり節約旅行をしていたらしく、その日は何も飲み食いしていなかった。夜をジャーキーだけで過ごす、みたいな日々を送っていたので、かなり弱っていた。さすがにみかねて、スタバでコーヒーでも飲ませてあげようと思ったが、2人は水と大きいパンをねだってきて、その場でむさぼっていた。それくらい追い込まれていたみたいだ。

かなり追い込まれていた。

これまで大切な事に触れていなかったが、アメリカの物価はとにかく高い。円安の影響もモロにある。アメリカに長期滞在するには、かなりの覚悟と予算が必要になる。なにより、ワールドカップのチケット代はとんでもない金額になっているし、スタジアム内での買い物も大変な事になっている(ハイボール1杯4000円なんてことも!)。そんなこともあり、カカロニはカリカリになっていたのだった。どこかのタイミングで食事に行く約束をして、ダラスに戻った(遅れはしたけど、無事に飛行機は飛んだ)。

結局ホテルに着いたのは、かなり遅い時間だったので、その日は、モンテレイでできていなかった洗濯をして、そのまま終えた。再びダラスでの生活。いよいよこの旅の、ラストスパートに入った。



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