俺、書いてなくね?
AIにベタ褒めされたのに、なんか違和感残ったことあるでしょ。
ホントに?そんなにか?
って。
「書いたのお前じゃん」
って。
最初は、楽するためだった
正直に言う。
AIを使い始めた理由は、楽をするためだった。それだけだった。
ライター専門のプロンプトを入れた。役割分担を設計した。ChatGPTに構成を作らせて、Claudeに書かせて、Geminiに温度を確認させる。人間は最終確認だけすればいい。
そういう絵を描いていた。
システムは、想定通りに動いた。
でも、気づいたらコピペしていた。ずっとコピペしていた。A→B→C、またA。比較して、統合して、また投げる。
手は動いていた。
でも一日の終わりに、こう思った。
「俺、今日何終わらせた……?」
「なんかおかしい」に気づいた
AIに聞いた。なんかおかしくね?こんなハズじゃなかったんだけど。と。
返ってきた答えは
3AI構造の強みは精度を上げる。でも同時に、その弊害も出る。コピペ地獄はシステムの副作用だ。
最初から言えよ!また後出しかよ…
でも違う。コピペ地獄に陥って、初めて「なんかおかしい」と感じた。これは、やらなきゃわからなかったことだ。動かして、初めてわかることだ。
Try&Error。この繰り返しで精度があがるのか…
新たな気付き。
システムの粗は見えた。
でも、作業しているのに、何かが空っぽな感覚は消えない。
それが何なのか、その時はまだわからなかった。
AIにベタ褒めされた日
ある日、出来上がった文章をChatGPTに批評させた。
「構造的にも、戦略的にも、完成している。修正不要。」
珍しいほどのベタ褒めだった。
やることはやっていた。手直しも、エッセンスの注入も、最終判断も。いつも通りの仕事をしていた。
なのに。
「俺的には、そこまでの手応えはないんだけど……」
AIからいくら褒められても、「いや、書いたの俺じゃねーから」という感覚が、どうしても拭えなかった。会心の出来とは言えなかった。
それだけのことだった。
でも、その「それだけ」が、ずっと引っかかっていた。
AIへの丸投げ
何度となく見てきたポストがある。
「AI丸投げはやめろ」
「AI丸投げはすぐわかる」
「信用を失う」
ある時、それを見ながらふと思った。
俺、AIに投げてるよな…
これ、丸投げじゃなくとも、ヤバくねーか!?
だって、俺、書いてねーじゃん!
丸投げじゃない。
でも、書いてはいない。
ずっとあった違和感。
皆頭を悩ませ、時間をかけて書き上げてる。
これでいいんだろうか…
俺じゃなくても成立するなら、俺の役割って何なんだ!?
違和感がどんどん膨らんできた。
一気に背筋が凍った。
俺じゃなくても成立するなら、俺はいらないんじゃないか。そこまで行きかけた。
「執筆者じゃなく、編集者だから」
その違和感をChatGPTに話した。
返ってきた言葉が、腑に落ちた。
「あなたがやっているのは、執筆者ではなく編集者です。構造を作って、回して、チェックして、最終判断を下す。それは編集者の仕事です。」
確かにそうだ。
書いていない。でも、構造を設計しているのは俺だ。どの出力を採用するか決めているのも俺だ。手直しをして、エッセンスを注入して、最終的な形にしているのも俺だ。
執筆者ではなく、編集者。
その言葉で、ずっとぐるぐるしていたものが止まった。
道具が止まれば、仕事は止まる
少し前の話も、ここで繋がった。
NotionAIに制限がかかった日。
「は?」と思った。思考がフリーズした。作業も全部止まった。
何もできない。
AIに伝えたが、ChatGPTは噛み合わない。Geminiは謝るだけ。
「AIがいないと、俺は何も出せないのか?」
あの時は、現実逃避することしかできなかった。
でも今なら、その問いが間違っていたとわかる。
倉庫担当がいなければ素材は出てこない。ライターがいなければ記事は上がってこない。編集者だけでは、出来上がるわけがない。当然だ。
道具が止まれば仕事は止まる。それは編集者として、至極まともな話だった。
恐怖じゃなかった。構造通りの結果だった。
書いてはいない。でも、俺の文章だ。
落ち着いたのは、ここだ。
一次情報は俺のものだ。体験も、感情も、判断も、全部俺から出ている。AIは、それを形にする道具だ。手直しも、採用の決定も、最終的なエッセンスの注入も、俺がやっている。
書いてはいない。でも、俺の文章だ。
「修正不要です」と言われた記事に手応えがなかった理由も、今ならわかる。
ChatGPTの評価は評価として受け取る。
でも、編集者としての手応えは別の話だ。システムが正しく動いていても、自分の中に響くかどうかは、また違う感覚だ。
その違いが、今はわかる。
執筆者として書いていないことへの違和感は、もう消えた。
書いてはいない。でも、俺の文章だ。
それだけは、揺らいでいない。
どうやって回してるかは、ここに置いてある。
