子どもたちの健やかな成長を地域のみなさんと一緒に見守っていきたい
小児科には、子ども自身の症状だけでなく、ご家族の不安も一緒に届きます。
「熱が続いているけれど大丈夫だろうか」
「きょうだいにうつるのだろうか」
「週末の行事には参加してもいいのだろうか」
「こんなことで受診してもよかったのだろうか」
診察室に入ってくる子どもたちや保護者の方は、それぞれに不安や迷いを抱えています。
今回は、森本耳鼻咽喉科・小児科で小児科診療を担当する近藤先生に、医師を志したきっかけ、小児科を選んだ理由、そして日々の診療で大切にしていることを聞きました。
チームで力を合わせる仕事がしたかった
近藤先生が医師を志したきっかけは、何かひとつの大きな出来事ではなく、いくつもの偶然やタイミングが重なったものだったといいます。
高校時代の近藤先生は、部活の仲間とワイワイ過ごすのが好きな、どこにでもいるような高校生でした。
その頃から、将来は一人で黙々と打ち込む仕事よりも、チーム全体で力を合わせて取り組むような仕事がしたいと思っていたそうです。
そんな時期に観ていた救命救急系のドラマ。
そこには、チーム医療の現場と、患者さんやご家族との人間模様が濃く描かれていました。
その世界に衝撃を受けたこと。
そして、主人公である女性医師への憧れ。
少し照れくさそうな理由も含めて、それが医師という仕事に心を向けるきっかけのひとつになりました。
人見知りだった子ども時代が、小児科医としての原点に
近藤先生が小児科を選んだ理由には、ご自身の子ども時代の経験も関係しています。
近藤先生は、もともととても人見知りな子どもだったそうです。
大人と上手に会話できる友達を見て、うらやましく思うこともありました。
病院に来る子どもたちの中には、自分の病状や気持ちをうまく言葉にできない子もたくさんいます。
「どこが痛いのか」
「どんなふうにつらいのか」
「何が怖いのか」
大人のように説明できなくても、その子なりに不安を抱えながら診察室に入ってきます。
小さい頃に自分が感じていた、人と話すことへの緊張や、うまく伝えられない感覚。
その経験が、子どもたちの気持ちを想像するうえで、少しでも役に立つのではないか。
そう感じたことが、小児科を選ぶきっかけのひとつになりました。
もちろん、シンプルに「子どもが好き」という気持ちも、近藤先生の中にはあります。
子どもたちの成長に再会できる喜び
小児科医になってよかったと感じる瞬間について、近藤先生はこう話してくれました。
赤ちゃんの頃によく受診に来ていた子が、10年近く経って、偶然ばったり出会った時に、元気なお兄さん・お姉さんになっている。
その姿を見ると、とてもうれしいと感じるそうです。
小児科は、子どもの「今」の体調を診る場所です。
けれど同時に、その子の成長の一部に関わる場所でもあります。
赤ちゃんだった子が歩くようになり、話すようになり、学校に通うようになり、少しずつ大きくなっていく。
日々の診療の積み重ねの先に、そうした成長を感じられることは、小児科医としての大きな喜びなのだと思います。
丁寧に診ることと、長くお待たせしないこと
日々の診療で一番大切にしていることを聞くと、近藤先生は「丁寧な診療でありつつ、予約時間から長くお待たせしないようにすること」と答えてくれました。
小児科の診療では、一人ひとりの話を丁寧に聞くことが大切です。
一方で、体調の悪い子どもたちや、不安を抱えた保護者の方が待合室で長く待つことは、大きな負担にもなります。
丁寧に診ること。
でも、必要以上にお待たせしないこと。
その両方を大切にしながら、診療に向き合っています。
診察室に入ってきた時の表情を見る
子どもと接する時、近藤先生が最初に意識しているのは、診察室に入ってきた時の表情です。
その表情から、病状の具合だけでなく、今日はどんな気持ちで病院に来てくれたのかを察するようにしています。
怖がっているのか。
緊張しているのか。
痛みやつらさが強いのか。
少し不安そうなのか。
それとも、比較的元気に過ごせているのか。
子どもは、自分の状態をうまく説明できないこともあります。
だからこそ、言葉だけではなく、表情や雰囲気からも、その子の状態や気持ちを受け取ろうとしています。
診察が「怖いもの」にならないように
泣いている子や、診察を嫌がる子への関わり方についても、近藤先生はとても大切にしていることがあります。
それは、診察が怖いものだと思われないように声をかけながら、できるだけ素早く診察することです。
もちろん、診察の進め方は、その日の状況によっても変わります。
しっかり診てほしい時。
少し心配で相談に来た時。
症状が強く、きちんと確認が必要な時。
保護者の方の不安が大きい時。
おうちの方が、その日に何を求めて来院されているのかを汲み取りながら、子ども本人にはできるだけ怖さが残らないように関わる。
小児科の診療では、正確に診ることと同じくらい、その子にとっての医療体験をどう残すかも大切です。
保護者の方が質問しやすい雰囲気をつくる
保護者の方が不安そうな時、近藤先生は、ゆっくり、わかりやすく話すことを心がけています。
ただ、不安の理由は病状そのものだけではありません。
「きょうだいにも感染するのかな」
「週末の行事には参加できるかな」
「保育園や学校にはいつから行けるかな」
「家で何に気をつければいいのかな」
保護者の方が本当に気になっていることは、診断名や薬だけではないことも多くあります。
だからこそ、どんなことでも質問しやすいと感じてもらえるような雰囲気づくりを意識しています。
小児科の診察室は、病気を診る場所であると同時に、保護者の不安を一緒に整理する場所でもあります。
「こんなことで受診してすみません」と思わなくて大丈夫です
診療の中で、保護者の方から
「こんなことで病院に来てしまってすみません」
と言われることがあるそうです。
でも、近藤先生はこう伝えたいと話してくれました。
心配な時は、遠慮せず受診してください。
子どもの体調について、迷うのは自然なことです。
心配になるのも当然のことです。
受診した方がいいのか、家で様子を見てもいいのか、判断に迷う場面はたくさんあります。
そんな時に、病院に来て相談してよかったと思ってもらえること。
それが、近藤先生にとってもやりがいにつながっています。
地域の中で、気軽に相談できる場所でありたい
クリニックでの小児科診療において、地域の中での役割をどう感じているか。
その問いに対して、近藤先生は「子どもの健康を、気軽に相談できるような場所でありたい」と答えてくれました。
大きな病院では、生死に関わるような病気と向き合う場面もあります。
その現場には、高い緊張感があります。
一方で、クリニックには、日常の中の不安や困りごとを相談できる場所としての役割があります。
ただし、近藤先生は、大きな病院とクリニックで、患者さんと向き合う姿勢そのものに違いはないと言います。
丁寧に話を聞くこと。
丁寧に診察すること。
それは、どこの医療機関でも変わらず大切なことです。
医師の仕事は、周りのスタッフに助けられてこそ
近藤先生にとって、チーム医療への思いは、医師を志した頃からの根っこにあります。
医師の仕事は、周りのすべてのスタッフに助けられてこそ成り立つもの。
その考え方は、近藤先生の理想の医師像にもつながっています。
日々の診療では、コミュニケーションと感謝の気持ちを大切にしているそうです。
実際に、スタッフの対応に助けられていると感じる場面もたくさんあります。
たとえば、向江先生と曜日ごとに交代で勤務している中で、前回の続きで再度来院された患者さんの様子を、看護師がすぐにわかりやすく伝えてくれることがあります。
その共有があることで、診療がスムーズにつながっていきます。
患者さんにとっても、前回の経過がきちんと共有されていることは安心につながります。
医師だけで診療しているのではなく、スタッフ全員で診療を支えている。
近藤先生の言葉からは、その意識が伝わってきます。
家族の想いにも目を向けるようになった出来事
小児科医として、今でも印象に残っている出来事についても聞きました。
近藤先生が話してくれたのは、研修医の頃の経験です。
幼い弟のために骨髄移植をすると決めた、小学生のお姉ちゃん。
近藤先生は、その骨髄採取に立ち会ったことがありました。
ひとりで手術室に向かうお姉ちゃんを見送った、お母さんの表情。
その表情が、今でも忘れられないそうです。
病気と闘う患者さん本人の辛さ。
そして、その周りにいる家族の想い。
医療は、患者さん本人だけで完結するものではありません。
子どもの病気のそばには、必ず家族の不安や願いがあります。
その出来事は、近藤先生にとって、周りの家族の想いにも目を向けようと強く感じた経験になりました。
情報が多い時代だからこそ、対話を大切にしたい
これから小児科医として、さらに大切にしていきたいこと。
その問いに対して、近藤先生は「正確な医療情報の提供」と「丁寧な傾聴」を挙げました。
今は、医療に関する情報を簡単に調べることができる時代です。
子どもの症状について検索すれば、たくさんの情報が出てきます。
それによって知識を得やすくなった一方で、保護者の方がかえって不安になってしまうこともあります。
だからこそ、クリニックに来て、直接対話することに意味があります。
今の症状をどう見ればいいのか。
何に気をつければいいのか。
どの情報をどう受け止めればいいのか。
正確な情報を伝えながら、保護者の方の不安に丁寧に耳を傾ける。
その積み重ねが、安心につながっていくと近藤先生は考えています。
子どもたちの成長を、地域のみなさんと一緒に見守る
最後に、地域の子どもたちとご家族へのメッセージをいただきました。
子どもたちは、将来を担うとても輝かしい存在です。
その健やかな成長を、地域のみなさんと一緒に見守っていきたい。
近藤先生の言葉には、小児科医として子どもたちを診るだけでなく、その成長を地域全体で支えていきたいという思いが込められていました。
体調が悪い時。
少し心配な時。
受診するか迷った時。
不安な気持ちを誰かに相談したい時。
そんな時に、気軽に相談できる場所でありたい。
森本耳鼻咽喉科・小児科の小児科診療は、子どもたちとご家族の日常に寄り添いながら、地域の中で安心を支えていきます。
医療機関:森本耳鼻咽喉科・小児科
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