なないろ町へ行きました。 #空想地名祭
芹香は、純白のワンピースの裾をそよ風に揺らしながら、
『なないろ町駅前』に降り立った。
彼女の腕に抱かれて、くるりと周囲を見渡すネコのぬいぐるみ。
「きらきらしてるね、セリカ。この町は、おとぎ話の匂いがするよ」
ぬいぐるみの名は、トムトム。機嫌がよいと芹香と話す。
「おとぎ話なのね。じゃあ、私がお姫様であなたはナイトね」と芹香も笑った。
駅前の商店街を抜け、立ち寄ったのはストリートピアノの前だった。鍵盤は、黒鍵が七色に塗られた特注モデルのようで、その存在自体が、旅人の心に希望の旋律を奏でていた。
芹香はそっと腰掛け、指を鍵盤に乗せる。
♪~ねこふんじゃった。これくらしか弾けないけれど心を込めて弾く。
トムトムが突然「くしゅん」とくしゃみした。
七色の光がふわりと立ち上がり、駅の空に小さな虹が浮かびあがった。
通りがかった老婦人が微笑む。
「あら、ぼんぞ~さんのピアノね。願いがこもった音には、不思議な力が宿るのよ」

その夜、芹香は「希望の丘」に登り、朝焼けを迎える準備をした。
丘の向こうには、漁師の集落がやさしく灯る。
トムトムがぽつりとつぶやいた。
「七色の滝、見たいにゃ。忍者の郷にも行けるかにゃ~」
芹香は笑って、ぬいぐるみの額にキスをした。
「きっと行けるよ。だって私たち、物語の中にいるもの」
星がまたたき始め、町の向こうに歌が流れた。おそらく、町長の歌だった。
「きれいな朝焼けが見られますように~」
恋のバス停・編へつづきます!!
※ この作品は、#空想地名祭に参加しています。今回は、くえす様の
『なないろ町』へ旅してみました。
