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目を閉じれば殻を割るステテコおやじの姿が浮かぶ

ピーナッツではなくて落花生。
うちの父の好物だ。中身は同じだけど殻のある無しで味は全然違うらしい。むきたては香ばしさが段違いで甘味も強い。何より殻をむくのは楽しい。

「パキッ」

新聞紙を広げて、ステテコ姿で阪神のナイター中継を見ながら、落花生の殻をむく父の姿が目に焼き付いている。

今思うと信じられないが、父は休みの日は四六時中何かを食べていた。
普段、客商売で間食なんてできないからなのか、休みの日はほんとにずっと食べていた。

リッツ、横綱あられ、せんべい、よく考えたらしょっぱいお菓子をよく好んでいた。母はルマンド、ホワイトロリータ、バームロール、と完全にブルボン派だったから、結果的にうちには甘いのも辛いのもお菓子であふれていた。

父はとても几帳面で、お菓子の袋は必ずハサミで開ける。そして少し食べては、金色のビニールタイで湿気ないようにしっかりとめる。基本的に家にあるお菓子は毎日一通り食べる。色んな味を少しずつ食べたいなんてグルメである。

そして落花生。おそらく父の中ではエース級のお菓子だ。なぜなら落花生の登場はいつも一日の終わりの方にスケジュールされている。途中柿の種でピーナッツをはさむことはあれど、結局締めは落花生なのだ。

ある日高校の生物の授業で、藤田先生がおもむろにポケットからピーナッツを取りだした。
何をするのかと思ったら、ピーナッツにライターで着火。瞬く間に燃え上がるピーナッツ。
想像を遥かに超える燃えっぷりに非常に驚いた。

あんなに燃えるなんて。ほぼ油やん。

即座に毎晩落花生を食べている父の姿が浮かんで、体に良くないのではないか、と考えた。

その日の夜もやはり落花生を食べる父に、「それ、ほぼ油やからあんまり食べん方がいいよ」とは言えなかった。思春期である。面と向かってそんなこと言えるわけない。でも、心配ではあったので、食べる量を減らしたい。そう思って、自分もこっそり落花生を食べるようになった。無くなったら諦めるんじゃないか。そんなことを思いながら、落花生を食べた。確かにうまかった。そして殻をむくのはとても楽しかった。そのうち父と仲良く二人で食べるようになり、太ったあげく顔中に粘液嚢胞というニキビの親玉みたいなのが死ぬほどできた。父は前よりも大袋の落花生を買ってくるようになった。




凛花さんのこちらのエッセイを読んだら、とろろ昆布が好きな父を思い出しました。
父と言えば落花生だなって🥹
凛花さん、素敵なエッセイと思い出すキッカケをありがとうございます😊

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