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六本木でムットーニと白昼夢はいかが?

「彼女はコーヒーの香りを嗅いでいます。
あなたは、日常の何気ない時、例えばコーヒーの香りを嗅いでいる時に、夢をみたりしませんか?」

入り口の暗幕を通り抜けて最初のアクリル製の青みがかった光る箱からせり上がって現れた、コーヒーを片手にきれいなデコルテの衣装をまとった女性。見入っていたら、武藤さんの声が。
バルバラの歌に合わせて微かに動き、数センチ上昇して彼女が止まった時、確かに羽が、金色の星たちの中に浮かび彼女の背中にはありました。
ハレルヤ。
ほんの1分に満たない夢のあと、歌い手は姿を消したのでした。
『Wings 』は、武藤さんの「カンターテ・ドミノ」を見せていただいて以来の大いなる「謎」。というのは、夢と現の隙間に現れますが、西洋絵画でのように「救済」へと導きはしないのです。

脇では、『Singer 』がせり上がり、青とシルバーに輝く舞台で、本当にパンプスで踊り歌っています。
サルサに乗って艶やかな黒いラメ入りロングドレスから色っぽく足を見せ、軽やかにリズムを刻む姿は、ひとときのまさに夢。

『Temptation』 のリフレインを歌いながら、もう一人が真っ赤なドレス、それもデコルテが凝ったデザインのやはりロングドレスで、パンプスで、シアターの奥から「歩いて」舞台前面に進んできて、マイクを前にジャージーに歌うのです。

『Doll 』は、せり上がってくる彼女に見入っていると、バニーガールもう一人を操っていました。二人で、バルバラの「ゲッティンゲン」の美声に、燕尾服をまとってdanse danse danse。愛らしい。

では『Angel 』は?
若き作曲家が1890年に世に放ったあまりに哀愁溢れる間奏曲「カヴァレリア・ルスティカーナ」の調べに誘われながら、この厚みのある温かくも物悲しい響きとともに、静かに羽を広げて上昇します。

出口に向かうと、2025年作『摩天楼』のロマンチックなふたりと、空間いっぱいに光を放つ彼と彼女のロンドを、まるでそばで眺めるかのひとときを横目に、扉を押し開けて、そして、六本木の日常に戻ります。

MUTTONI ムットーニ
ESSENCE OF MUTTONI 
@KENJI TAKI GALLERY Roppongi 


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今回の六本木での極私的な「白昼夢」とはまた異なるアプローチから、ムットーニ作品の核心へと迫った論考です。

大航海時代から始まる世界の標本化の歴史、植物学者・牧野富太郎の精神、そして高知で出会ったムットーニ劇場『標本の記憶』。社会科学の視点(2025年4月採択・科研費研究)から、からくり人形が紡ぐ「時間のアート」を紐解いたストーリーへはこちらからどうぞ。



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