【号外】結縁の塔伝説
この作品の二次創作です。
絵を見た瞬間に話が頭に浮かんだので勝手ながら引用させていただきました。
【結縁の塔伝説】
「藤花さん。あの塔に一緒に行きましょう」
「え、私は行きなくないな」
呼び出された場所に到着するやいなや澤口 恭平に掛けられた言葉を聞いて、有村 藤花は否定の返事を返した。
本日朝目覚めた有村は、いつもの日課である夢の内容をパソコンに入力し、そしてその後でスマホを確認する。
するとスマホの中のLineアプリで澤口から連絡が入っていたのだ。
内容を見ると、見てほしいものがあるから指定の場所に来て欲しいとのことである。
有村は車の運転をしないので、移動手段は公共交通機関になるが、どのバスに乗って、どこで降りるなどの情報も詳しく記載されている。
もちろん軽く断ることもできたのであるが、今日は土曜日で予定もなかったので、付き合ってあげることにしたのだ。
旧熊大前バス停から一旦『サクラマチ』に移動し、そこからは指定のバスに乗って目的地に向かう。
どうも西側方面に進んでいるようであり、有村が普段あまり行かないような場所である。
途中景色をのんびりと楽しみながら移動していくと、いかにも田舎のような風景が広がっていく。
そしてそのまま進むと、海が見える景色となった。
その後、指定の停留場で降りて、目的地へと徒歩で進む。
そして目的地について海側の景色を眺めると何か不思議な光景が広がっていた。
その景色に一瞬心が奪われていたところに澤口から声をかけられたのである。
「えー、行きましょうよー」
わざわざここまでやってきてくれたので断られると思っていなかったのか澤口は駄々をこねはじめる。
だがそれを見て軽くため息を吐いた有村はその理由を口にする。
「あの塔って結縁の塔だよね」
「あ、知ってたんすか。そうですか」
あまり有名ではない場所なので知らないと踏んでいた澤口だったが、この場所のことは知っていたようである。
ということはあの塔の特質も知っているのだろうか。
「あの塔の中で告白された女性は末長くその男性と仲睦まじく生きていけるって伝説だったかな。眉唾ではあるけど。それにしてもあの塔自体があるって思ってなかったから少し驚いた」
以前何かの記事で読んだ記憶を思い出す。
もちろん信じていなかったが実物が目の間に存在するのであれば信じざるを得ない。
全てを知っていた有村を見つめながら澤口は悲しそうな表情を浮かべている。
知っていて断ったということは自分とは今後仲良くなりたくはないということになるからだ。
このことを瞬時に悟った有村は軽くため息をつきながら声をかける。
「あのね、恭平は私のことが好きなんだよね。だったらあの塔の力なんかに頼らずに自分の魅力だけで私を振り向かせて見せなさい。それが出来ない男だとは思ってないよ」
この言葉を聞いて澤口の顔が少し明るくなる。
今すぐにどうのということはないが、将来的には自分を好きなってくれる可能性があるということなのだ。
「わかりました。藤花さん。絶対藤花さんに好きになってもらえるような素敵な男になります。なので、期待して俺の成長を見守ってください」
晴れ晴れとした表情でこう言い放った澤口の言葉を聞いて、有村は笑顔を浮かべて軽く首を縦に振る。
そしてしばらく一緒に塔を眺めた後で、帰りはここまで車で来ていた澤口の車で一緒に黒髪に戻ることにしたのであった。
