エジソンからの激励
「私は1万回失敗したんじゃない。1万回うまくいかない方法をみつけたんだ!」
これは発明王エジソンの言葉である。
筆者が40歳を過ぎてからアメリカの大学院に挑戦し、2年連続不合格の通知が届いて自暴自棄になっていた頃、ハズバンドがニュージャージー州のウェストオレンジにある博物館、トーマス・エジソン国立歴史公園(Thomas Edison National Historical Park)に連れて行ってくれた。


この博物館は、生前のエジソンが研究所として使っていた建物である。
それまでの筆者は、エジソンのことは、幼少期に伝記で読んだくらいの知識しかなく、彼が小学校を退学になってから、母親が基本的な学習を習得させ、後に独学で発明家の道を歩んだことくらいしか記憶にはなかった。
エジソンの三大発明といえば、電球、蓄音機、そして映写機である。しかし、実際は1,300もの発明や技術改良を行っており、特許も1,000以上取得している。

彼の研究所の中の研究室や図書館は、生前のまま保存されているところが多く、博物館として公開されているのである。

エンジニアのハズバンドは、膨大な科学展示物に大変興味深く見学していた。
博物館マニアな筆者は、撮影自由の館内で写真を撮りまくると、ボランティア学芸員が声をかけてきた。
「君の専攻は電気工学かね?」
「い…いいえ。ミュージシャンです…。」
すると、学芸員はハズバンドの方に声をかけ、
「君こそはエンジニアだろう!」
「ハイ。金属工学が専門です。」
「ではこれを見たまえ。この蝋管の録音機のパーツのニッケルは19世紀のものだよ。」

エンジニアはエンジニア同士で通じるものがあるのだろう。学芸員は嬉しそうに説明をしだした。
そして、思い出したように筆者を振り返り、
「君、ミュージシャンなら、この蝋管のシステムを説明しよう。」
と言って、蝋管を取り外し、説明してくれた。


研究所はガラスの中に入った夥しい数の展示スペ物と、実際に使われた多数の研究室があり、興味がある者ならば見学には数時間はかかる。




研究所内には音楽室もあり、天井が高い広い室内には、大きなステレオが何台あるほか、今でも現役で使用できるという19世紀のスタインウェイピアノもあった。ここで音楽会が開かれていたのであろう。

そして目を見張る空間は、およそ2万冊が展示されているエジソンの私設図書室である。
エジソンは翻訳された文章は翻訳者の解釈が入るとして、原文で書物を読むようにしていた。
最終学歴が小学校中退の彼は、数ヶ国語に精通していたと言われている。
この図書室は研究所で働く職員も無料で利用できたそうだ。

そして、この図書室には彼の仮眠スペースが設けられている。
ワーカホリックで寝る時間も惜しんだ彼が、仮眠をとったベッドがあった。
大好きな本に囲まれて寝るエジソン…。

エジソンほどの偉大な人物でも、その成功の影では、1万回もうまくいかなかったのだ。
筆者がたった2回大学院に落ちたことなど、全く問題ではなかったように思えた。
これから志をもって何かにチャレンジされる方々、1回や2回の失敗で諦めてはなりません。10回目に成功すれば、それまでの失敗はあなたが見つけた「うまくいかない方法」であり、あなたの成功へのプロセスなのです。
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