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#90 2024年秋の受験分析と小学校受験MAP'25

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大変お待たせいたしました。毎年ご好評の受験分析編も今回で4期目となります。

4期目を迎えて改めて感じるのは、「小学校受験の大勢は大きくは変化しない」ということです。

その理由は、初等教育の特性、またマイノリティな市場であることから、不変的な部分が多くを占めるからでしょう。

受験家庭の皆さまにおかれましては、短期的な動向に一喜一憂することなく、腰を据えて臨んでいただきたいと思います。

■はじめに

本noteでは、出願倍率と実質倍率をベースに、小学校受験全体の傾向カテゴリーごとの分析、各校の特色や注目すべき変化を考察しています。

倍率情報はネット上でも得られますが、データをもとに小学校受験全体を俯瞰し、体系的に分析する記事はほとんど見られません

受験戦略を立てる上でも、志望校周辺の変化を把握する上でも、一助となれば幸いです。

また、客観的な指標をもとに私立小学校をマッピングした「小学校受験MAP」も、出願情報がある全校を落とし込んだ最新版をお届けします。

このMAPは、2023年度版をもとに書籍でもご紹介したところ、学校関係者や教室関係者の方々からも高い評価をいただきました。大変励みになっております。

以下、長文となり大変恐縮ですが、データも多いため、21,000字を越える分量となります。

お急ぎの方は、まずは「全体検証」と「総括」からご覧いただくことをお勧めします。

なお、アンケート結果に基づく市場規模分析のパート(約4,000字)は無料で公開しております。
ぜひご一読ください。


第一章 2024年秋の受験分析

※データソースについて
お受験じょうほう」「お受験インディックス」、ならびに学校・教室からのヒアリング情報を基に、首都圏の私立小学校の集計可能な全学校を掲載しております。

■全体検証

1.市場規模と全体倍率 [無料公開]

まずは首都圏の小学校受験全体の市場規模です。

23年秋に引き続き、24年秋についても、Xにて出願アンケートを取らせていただきました。貴重な投票をありがとうございました。

これにより、メディアで使用される総出願数に惑わされることなく、小学校受験の参加家庭数(市場規模)をかなり正確に推測することができます。

余談ですが、このようなデータも24年の受験家庭のご協力あってのことです。
25年以降の皆さまにおかれましても、ぜひ当事者の際には恩送りとしてのご協力をよろしくお願いします

・一家庭あたり出願数の算出

今回は、23年よりさらに細かく、1校から12校以上までの回答を頂戴することで、より正確な数値を算出することができました。

昨年は、1〜2校は1校換算、5校以上は5校換算でしたので、平均値は低く出る傾向となっていました。

このように、一家庭あたりの出願数は平均5校となりました。

アンケートには、634名の方にご協力いただきました。今回は「2024年受験の方に限定」と明記したため、昨年より回答数は減りましたが、より実態に近い結果となったと感じます。

一方で、Xの回答層については、新規参入や保育園家庭も多く、複数校出願が負担になりやすいと考えられます。また、1校のみ出願の数の多さから、都心に限らず郊外の方からも広く回答をいただけていると思われます。

こうした点から見ても、今回の平均出願数は、実態より少ないことはあっても、過大にはなっていないと考えています。

・市場規模と全体倍率(首都圏79校)

この平均出願数を、24年秋受験の首都圏79校の実績に当てはめたのがこちらになります。

ご覧のとおり、平均5校出願で、市場規模は5,300家庭全体倍率は0.88倍と1倍を割り込みます。
昨年のアンケート結果での平均3.9校出願でも、市場規模は6,800家庭全体倍率は1.13倍です。

例年の繰り返しですが、小学校受験は首都圏全体
で見れば「全入状態」とも言えるのです。

一方で、本アンケートはXでの634人の回答に過ぎません。例年年末に行われる大手教室合同での大規模アンケートに、一昨年から出願数を問う項目が増えたそうです。
受験産業におかれましては、アンケート結果を大いに公表して、小学校受験の実態を明らかにしてほしいものです

【図解】出願倍率と全体倍率

ここで、総出願数と一家庭あたりの出願数の関係を図で見てみましょう。

市場規模の真実

極端な例ですが、学校が5つありそれぞれの定員が1名です。そこに6家庭が出願したとします。
図中の赤丸で示したとおり、出願数は合計19件、したがって出願倍率は3.8倍になります。

一方で、青枠のとおり、実際に出願した家庭の数(=市場規模)は6家庭にすぎません。
全体倍率は1.2倍です。

出願倍率では「3.8倍」、すなわち「4人に1人しか受からない」ように思えますが、全体倍率で見れば、「6人中5人がどこかには合格できる」構図です。
複数出願による倍率の実態はこのように紐解けます。

【図解】補欠はなぜ回るのか

さて、上記の図は、こちらのような受験結果となりました。◯は合格、△は補欠です。

小学校受験の縮図

この図は小学校受験の縮図と言えます。様々な「あるある」が散りばめられているからです。

  • A校とB校の高倍率ばかりが騒がれるが、全体倍率は1.2倍にすぎない(6家庭÷定員合計5名)

  • 高倍率校に挑むとはこういう構図(みんなが受ける)

  • オオカミ家のB校辞退によって、コジカ家が補欠繰り上がり。その玉突きによって黒ヒョウ家の唯一の補欠が繰り上がる

  • 無双してそうなオオカミ家も、C校D校では落ちる小学校受験の相性選考

  • 辞退の多いE校は合格者を多めに出す

  • どうしても私立小学校には行かせたかったペガサス家は、無事にE校の合格は果たせた

  • A校はあくまでチャレンジ。受験当初からD校本命で走っていたヒツジ家は、予定通りD校をしっかりと合格

  • 高倍率校一本勝負のサル家はA校の2次落ちで全滅。覚悟していたなら良いですが、戦略不足なら残念な結果となる

  • A校が慶應横浜初等部や暁星小学校等の場合、1次のペーパーを乗り越えたことで、受験産業は面目躍如となる(2次不合格は家庭の責任と言える)

いかがでしょうか。今のご家庭の戦略に当てはめてみてください。

・市場規模と全体倍率(倍率3倍以上)

さて、市場規模の検証に戻りましょう。

首都圏の全体倍率は0.88倍となりましたが、当然、「都心部などの高倍率校で見れば倍率はもっと高いのでは?」という疑問は残ります。
そこで出願倍率3倍以上の学校に絞った検証は以下の通りです(対象校は後ほどの一覧表をご覧下さい)。

平均5校出願で、市場規模は4,388家庭全体倍率は1.32倍に留まります。
さらに言えば、都心部を中心に、高倍率校を志望する層ほど出願数は多い傾向がありますから、平均が5校より上振れる可能性は高いです。したがって、実際には1.32倍よりももっと低い全体倍率となりそうです。

・市場規模と全体倍率(倍率3倍未満)

書籍にて「地域密着校」と称している出願倍率3倍未満の学校群ですが、こちらは特性上、平均5校は考えにくいので、平均2校と3校で検証してみました。
平均2校で全体倍率は0.86倍平均3校では全体倍率は0.58倍となります。

・市場規模の真実から見えること

以上から、私立小学校受験の市場規模は、首都圏80校でおよそ6,000家庭ほどと見てよいでしょう。
そのうち、倍率3倍以上の学校を志望するご家庭は、4,500家庭程度と推定されます。
これを踏まえると、全体倍率としては「1倍台」にとどまるのが実態です。

つまり、SNSやメディアでたびたび取り上げられる「小学校受験は過熱している!」「倍率10倍超の学校が多数!」といったイメージは、実際の市場全体像とは乖離があります
私立小学校の募集総数と参加する家庭数はほぼ同数、といっても過言ではありません。

ここから導かれるのは、「相性選考の本質を理解し、適切な受験戦略を立てれば、小学校受験は決して過酷な戦いではない」ということです。
中学受験でも、すでに「全体倍率は実質1倍」と言われるようになっていますが、小学校受験も基本構造は同じです。

ただし、知名度や中学受験偏差値をもとに学校を選ぶ場合は、当然ながらハードルは高いままです。もちろん、学校選びの基準はご家庭それぞれであり、どちらが良い悪いの話ではありません。
ただ、繰り返しになりますが、その場合には「全落ちの覚悟」と「子どもへの成功体験」を必ず用意しておいてください。それが、たとえ結果がどうであっても、受験を“実りある経験”として終えるために必要な準備です。

・データの信ぴょう性

Xのアンケート結果とはいえ、全体の10%近く、600ものサンプル数を得られた今回の結果は、統計学的にも非常に信頼性が高いデータになるそうです(世論調査ですら回答数は1,000人ほど)。
今回のアンケートは、誤差は5%未満とのこと。

問題は「Xのアンケート」であることですが、狼侍アカウントは小学校受験に特化しており、外部のフォロワーが少ないこと、部外者が興味を持つような内容ではなく、ノイズになるような回答をする動機も少ないことなどから、回答者が実際の受験家庭である可能性は非常に高いと考えています。

【コラム】なぜ受験産業は全体倍率の真実に触れないのか

前述のとおり、大手教室の手元にも同規模かそれ以上のアンケートデータがあるはずです。しかし、それを基にした分析資料は、ほとんど見かけません。

なぜか?
併願戦略をしっかり立てれば全落ちは避けられる」「有名校も複数出願を前提にすれば、倍率はそれほど高くない」といった事実が明らかになれば、受験産業にとって都合が悪いからではないか?と、思わずにはいられません。

受験のハードルはそこまで高くない」と伝われば、不安を煽る効果は薄れ、重課金勢も減るでしょう。不透明さや情報の非対称性を武器に、我が子の将来を案じる親心に付け込んだ煽り方は通用しなくなります。
「そんなことはない」とおっしゃるなら、ぜひ一度、保有しているアンケート結果を公表していただきたいものです。

無料部分はここまでとなります。アンケートのご協力、本当にありがとうございました。お帰りの際には、スキハートマーク)をお願いします!

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