第ニ話:鎌倉の落日、灰色の戦場
第ニ話:鎌倉の落日、灰色の戦場
サブタイトル:有給休暇? ……新種の魔物ですの?
1. 鎌倉(営業先)への強行軍

「……お待ちなさい。博多の浜辺へ出張? しかも交通費は『自腹』ですって!? 鎌倉幕府の経理担当、どういう教育を受けていらっしゃいますの!」

わたくし、九条瑠璃。1000年続く紫(ブラック)企業のトップ営業マン(※自称)です。
本編の第二話では、わたくしは歴史の影で異能の武者を捕食する「色喰らい」として恐れられていたようですが、このスピンオフでは少し事情が違います。
わたくしが博多の戦場を歩いているのは、命を奪うためではありません。
「新規顧客(色彩)の強引な獲得」と、上司(阿闍梨)から押し付けられた「ノルマ達成」のためですわ!
「見てくださいませ、この灰色の死体の山。……いいえ、違います。これは、わたくしのあまりの営業トークに、魂(エーテル)を根こそぎ持っていかれた『成約済みのクライアント』たちですわ!」
2. 好きな人は、灰色の抜け殻に
戦場のど真ん中で、わたくしはかつての想い人、天海義一(平安時代に灰色にされた天海蒼の子孫)様と再会しました。
本編では「宿命の対決」でしたが、こちらでは違います。


「瑠璃……。君の営業スタイルは、もう見ていられない。……無理やりハンコを押させるような真似はやめるんだ」
「義一様、甘いですわ! ハンコを押させなければ、わたくしの今月のインセンティブ(魔力)がゼロになってしまいますのよ!」
義一様は、あまりのブラック労働に染まったわたくしを見て、絶望のあまり「灰色」に……いえ、もはや「顔面蒼白(グレースケール)」になっておられました。
「君を消さなければ(=退職させなければ)」と誓う彼の瞳。……ああ、あれは愛ではなく、労働基準監督署に通報しようとする義務感の光だったのですわね。
3. 監査役・凛の「有給(ブルー)・エグゼキューション」

そんな中、空気の読めない爆音と共に、あの方が降臨しました。
監査役、蒼井凛。
彼女は右腕のレールガンをわたくしの鼻先に突きつけ、冷徹な合成音声で宣告します。
「ターゲット:九条瑠璃。……鎌倉出張における『36協定』の違反を確認。これより、強制的労働停止プロトコルを開始する」
「な、何をおっしゃるの!? 今この蒙古の顧客(エーテル)を捕食……いえ、クロージングしている最中ですのよ!」
「黙れ。貴女の直近400年の時間外労働は、天海の演算機でも計測不能な領域に達している。……これは『救済』ではない。……『強制有給消化』の執行だ」
凛様が引き金を引くと、蒼い光(監査の雷)がわたくしの「紫の残業バリア」を貫きます。
「有給ですって!? わたくし、そんな恐ろしい魔物の名前、聞いたこともございませんわ! 休みなんて取ったら、溜まっている『次元境界報告書』を誰が処理すると思っていらっしゃいますの!」
4. 経費精算という名の絶望

激闘の末、わたくしは凛様に捕まり、博多の灰色の砂浜に正座させられました。
彼女が突き出してきたのは、スナイパーライフルではなく、山のような「領収書の束」でした。
「九条瑠璃。貴女が元寇の最中に使った『召喚魔法(タクシー代)』および『九本の尾の維持費(交際費)』、すべて経費として認められない。自己負担(自腹)で精算しろ」
「――っ!? ……あ、ああああああああッ!!」
わたくしの絶叫が、鎌倉の空に響き渡りました。
死ぬことよりも恐ろしい「自腹精算」。
吸い取ったエーテルも、すべてはこの補填に消えていく……。
「……あ。……蒼様、茜様。……聞こえますか? 今の、わたくしの財布が軽くなる音が」
わたくしは、灰色の砂浜で涙を拭いました。
その涙さえも、経費で落ちない「高級な紫の結晶」でした。

次回、第三話:「元禄の閃光、有給申請(白き祈り)と鋼の差押(糸)」
わたくしのホワイト復帰(退職)への道は、まだ1000里ほど先のことですわ!
#クロスカラーウォーズ #CrossColorWars #CCW
#スピンオフ
#九条瑠璃 #蒼井凛 #天海蒼
#1000年ブラック就職戦記
#ブラック企業 #ワンオペ #有給なし #給与未払 #退職不可
#労働基準違反 #1000年の怨念
