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「給料、不安なのに辞めない」――なぜ?人が定着する理由

採用に時間・コストをかけて、来てくれた期待できる人。
それでも、数年経つと辞めてしまう。

どうすれば、長く働いてもらえるのか?

人事に関わる人なら、一度は頭を抱えたことのある悩みではないでしょうか?

その答えのヒントが、意外なところにありました。

私のいる、大学業界です。


なぜ、給料に不安があるのに辞めないのか

大学業界は、
「ホワイトで働きやすい」
「勝ち組」
と人気で、離職率が低いと、よく言われます。

実際、現場にいても、他大学の様子をみてもそう感じます。

しかし、ご存じのとおり
大学経営は、かなり厳しい。

先行きが不透明で、収入の面で不安を抱えている人も、少なくありません。
正職員はともかく、契約職員はなおさら低い給与に不安を抱えています。

不安を吐露するのに、
それでも——
なかなか辞めない。

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最初は、不思議でした。
お金の不安がある人は辞めていきますが、
不安があるのに、なぜ辞めずに残る人が圧倒的に多いのか?

人を職場につなぎ止めるものは、本当に給料なんだろうか?

でも、考えるうちに気づきました。

これこそが、 "定着の正体" だったんです。


答えは、「給料」じゃない

ここで、ひとつ前提をひっくり返します。

人を引き止めているのは、そもそも給料ではないんです。

人事の世界に、ハーズバーグの「二要因理論」という考え方があります。
これは、人の働く気持ちを、2つに分けて捉えるものです。

①衛生要因・・・給料、労働条件、人間関係など。 足りないと不満が出る。でも、整えても"満足"までは生まない。

②動機づけ要因 ・・・やりがい、承認、成長、任される実感など。 これがあると、人は「ここで頑張りたい」と思える。

この理論の特徴は、②動機づけ要因が最重要であることを主張しており、①衛生要因を整備しても、②動機づけ要因を満たすことにはならない、というものです。

今回の論点は、給料です。

給料は、"衛生要因"

給料が低ければ不満は出る。けれど、高いからといって「ここにいたい」と残る動機にはならない。 給料は、「辞める理由」にはなっても、「辞めない理由」にはならないんです。

だから「収入に不安があるのに辞めない」のは、矛盾ではない。
引き止めているのは、最初から別のものだった——というだけ。


大学が辞めない、本当の理由

では、大学では何が人を引き止めているのか?

そこには、2つの要素が重なっていますす。

ひとつは、働きやすさ
休みも取りやすく、比較的働き方が安定している。
いわゆる「ホワイト」と呼ばれる部分です。

これは衛生要因——つまり「辞める理由がない」状態をつくります。

でも、それだけではありません。

もうひとつが、やりがい
学生の成長に、関われる。
「自分の仕事が、誰かの未来に効いている」という手応え。

これは動機づけ要因——「ここにいたい」を生みます。

「辞める理由がない」+「ここにいたい」

この二段重ねこそが、大学の定着の正体だと私は感じています。
給料の多い少ないとは、別のところで人は残っているのです。


ただし、「辞めない」には2種類ある

ここは、正直に書きます。

「辞めない」を、手放しで喜んではいけません。

定着には、2つの顔があるからです。

前向きな定着
 やりがいがあって、「残りたい」から残る。

しがみつき定着
 不満はないが、情熱もなく、「なんとなく」残る。

後者は、身体は残っていても、心はもう動いていない。
いわゆる、「静かな退職」に近いですね。

働きやすさという衛生要因だけを整えると、後者に傾いてしまうことがあります。
"不満がない"は、"いきいき働いている"とは、違うんです。

目指したいのは、もちろん前者。
「残りたいから残る」を、どう増やすか?

そこが、本当の定着の課題なのだと思います。


定着の設計図

ここからが、いちばんの希望です。

やりがい、承認、責任——動機づけ要因。
これは、お金をかけなくても、設計できるんです。

たとえば、こんな小さな関わり。

  • 意味づけ:「あなたの仕事は、ここに効いている」と伝える

  • 承認:「あなたがいてくれて、助かっている」と言葉にする

  • 責任:「ここは、任せる」と、ゆだねる

大がかりな制度は、要りません。日々の、ひとことの積み重ねです。

評価制度や面談は、そういう小さな積み重ねのキッカケを提供している機会なんです。だから、形骸化してしまうと効果が生まれません。

「給料は、もう少し欲しいですよね…」
でも、
「卒業式で学生が『ありがとうございました』って言ってくれると、また頑張ろうって思うんですよ」

給料で勝てなくても、人は残ってくれる。
大学業界が、その生きた証拠です。


最後にまとめると、

人が辞めないのは、給料があるからではない。
やりがい・承認・成長という、動機づけ要因があるから。

だから定着は、お金で買うものではない。
日々の関わりで、育てるもの。

給料で勝てなくても、人が「ここにいたい」と思える職場は、つくれるんです。

あなたの職場が、誰かにとっての"いたい場所"になりますように🌸


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