「2年前の僕に伝えたい。未来はちゃんと変わるよ」――商業出版決定の絵本作家・よりみちさん、1月17日セミナー開催
「実は言葉が嫌いなんです」――そう語るのは、絵本作家のよりみちさん(@cc25Ca)。発達障害(ADHD、学習障害)の特性を抱えながら、SNSでの発信を続けてきました。代表作『ぬぬのものがたり』はAmazonで高い評価を獲得し、2026年には商業出版も決定。
2年前、未来を信じられず絵を描く自信すら失っていた彼が、2026年1月17日(土)に初の主催セミナー「発達障害と"生き方を言葉にする"セミナー」を開催します。よりみちさんのこれまでとこれからについて、話を伺いました。
「ひょんなこと」から決まった商業出版

――まず、商業出版決定おめでとうございます。どういった経緯で出版が決まったのでしょうか。
よりみち:本当にひょんなことがきっかけだったんです。とあるオフ会で、過去にキャリアコンサルタントの勉強をしていたときの先生と再会しました。
近況を報告したら、その後、先生を介して書籍PR用アニメの作画依頼を受けることになったんです。そのアニメをX(旧Twitter)で見た書籍担当の編集者さんが引用してくださって。それがきっかけで、編集者さんとDMでのやり取りが始まりました。
――そこから出版の話に?
よりみち:最初は出版事情を聞きたくて「最近の出版不況の中で、商業出版ってどうなんですか?」と質問したんです。その流れで、編集者さんが「よりみちさんの企画なら通すよ」と言ってくださって。7月に企画書を提出して、そのあとはトントン拍子で出版が決まりました。
タイトルは『発達障害のよりみちが、それでも生きる理由』。編集者さんと相談して決めました。
――内容はどのようなものですか?
よりみち:子供の頃から、最新の出来事までを綴っています。
続編の構想もあるので、今回のセミナーに参加してくださった方は、もしかしたら第2弾に登場しているかもしれません(笑)。
「絵を描くように言葉を描く」

――「言葉が嫌い」とおっしゃっていましたが、どういうことでしょうか。
よりみち:発達障害の特性で、主語述語やPREP法といった論理的な文章構成がよくわかっていないんです。だから、言葉に対しての劣等感がすごく強くて。
僕は、言葉を「絵を描くように」表現しているんです。
――「絵を描くように」とは?
よりみち:言葉で「熱量」を伝えることが大切だと思っています。伝えるための手順や手法じゃなくて、言葉をデザインするイメージ。
言葉の本質は、技術のよしあしではなく熱を伝えること。
それが、セミナーのテーマでもあるし、書籍のテーマでもあります。
発達障害の特性との向き合い方

――よりみちさんの発達障害の特性について、具体的に教えていただけますか。
よりみち:広汎性発達障害の多動性・衝動性の混合と学習障害です。発達障害の特性の影響で、動作が遅いんですよ。人よりも本当に時間がかかる。たとえば、靴紐を結ぶのも時間がかかる。ケーキを取り分けるのも時間がかかる。周りの人たちと同じようにしようと思っても、できなくて迷惑をかけてしまう。
会話の輪に入るタイミングを掴むのも難しい。人とコミュニケーションをする上で、「整える」作業をしないと会話ができない。
毎回「整える」作業をしているので、コミュニケーションの度に、毎回自転車に空気を入れているような感覚なんです。毎日毎日、すごく疲れますよ。
――それは大変ですね。
よりみち:でも、その困難の中で培われたものもあります。子供の頃に受けたいじめの影響もあって、自分を守るために人間観察能力が上がりました。口も達者になった。この人にこう言うと、こういう反応をするんだっていうのがわかるようになったんです。
――SNSでも「人が怖いのに好き」という矛盾を語られていますよね。
よりみち:そう、「人は嫌い」だけど「人が好き」なんです。コミュニケーションの部分が苦手だから、毎回整えなきゃいけなくて疲れる。でも、人との繋がりは求めている。矛盾してますよね(笑)
ねえ、聞いてくれない?
— よりみち (@cc25Ca) December 12, 2025
人が怖い。でも人が好き。この矛盾、発達障害の私の脳の中はいつもカオス。でも決めた。今日の忘年会で、1月17日のセミナーにかける想いを本気で語る。苦手も矛盾も、全部ひっくるめて進むって決めたから。
そんなセミナーは現地チケットが半分を越えた。
嬉しすぎる。… https://t.co/9nnFA3h7sF
「排熱」としてのX、継続が生んだ価値

――「排熱」という言葉を使われていましたね。
よりみち:ADHDの特性なのですが、頭の中で常に複数の情報が飛び交っているんです。アイデアが次々湧くというよい面もある一方、ネガティブな連想が止まらなくなることも。脳内に「熱」がこもるイメージですね。一般的には、睡眠と食事と運動でリフレッシュできるといわれていますが、それでリセットできないのがADHDの特性なんです。
どうにかして定期的に脳内を「排熱」しないといけない。その手段が、X(旧Twitter)での発信なんです。
――X(旧Twitter)は、noteとは違う?
よりみち:noteは深い思考を整理する、石をしっかり置く感じ。X(旧Twitter)は、河原で拾った石を川にちょこちょこ投げていく感じ。投げるたびに「熱」が逃げていくので、こまめに投げたほうがよいんです。
このセルフケア方法を見つけたことで、活動当初に比べて倒れる頻度が大幅に減りました。
――2年間の活動を振り返って、いかがですか。
よりみち:「価値は自分で作り出す」んだと実感しています。前例がない活動だったので、いろんな人を参考にパーツを組み合わせて、自分でロールモデルを作ってきました。
走りながら改良する「アジャイルプロセス」ですね。オフ会やアート展などのさまざまなイベントを経て、1月17日に初めてのセミナーを開催することになりました。
――「言葉が嫌い」なよりみちさんが、なぜ「言葉にする」セミナーを開くのでしょうか。
よりみち:僕にとって言葉は、脳内の熱を逃がすための「排熱」でした。でも、その「排熱」を続けていたら、いつの間にかそれが誰かの光になっていた。
言葉に救われたのではなく、言葉で自分を整理し続けた先に、今の僕がいるんです。そのプロセスを、共有したいと思っています。
「あなたのために語る」――セミナーへの思い

――セミナーには、募集開始から短期間で40人もの方が申し込まれたそうですね。
よりみち:気づけば40人も集まっていて、現地チケットが定員の半分を超えたことが嬉しすぎて!
X(旧Twitter)上で「安心して。未来はちゃんと変わるよ」と書いたんですが、本当にそう思います。2年前は未来を信じられず、絵を描く自信すら失っていました。それが今、こうして人が集まるなんて。
2年前、未来なんて信じられなかった。
— よりみち (@cc25Ca) December 14, 2025
でも、あの日の私に伝えたい。
安心して。未来はちゃんと変わるよ。
朗読会、オフ会、講演、アート展…
ご縁が連鎖した2025年を経て、
今、12月の師走。
私が主催する
2026年最初のイベント
セミナーに 気づけば38人 が集まっている。… pic.twitter.com/Sa2DZGwLNB
――セミナーのテーマは「発達障害と"生き方を言葉にする"」ですが、どんな内容を予定されていますか。
よりみち:僕の活動は「無価値」から始まったんです。でも、「無価値」から2年間発信を続けてきて、ここまで人が集まるようになった。なぜ人が集まるのか、その歴史を見てもらいたい。
「無価値を有価値にする方法」のヒントを、参加者それぞれが持ち帰ってほしいと考えています。
――発達障害当事者以外も、参加対象でしょうか。
よりみち:もちろんです。「なんとなく」で済ませていることを言語化すると、自分の輪郭が見えてくる。それは障害の有無に関わらず、発信に自信がない人にとってヒントになるはずです。
「欠けたピースがあったとしても前へ向かおう」とX(旧Twitter)に投稿しましたが、参加者に希望や勇気を届けたいという思いが強いです。
「ミライって変えれない」
— よりみち (@cc25Ca) November 24, 2025
そう思っていた。
でも、今はちがう。
欠けたピースがあったとしても
前へ向かおう。
当日、そんな話します。
ありがたいことに
チケット23名
スポンサー5名
メルマガ先行案内のみでここまできました。
しかし、目標は今月内で50名
ワガママな夢
それでも今日も… https://t.co/AHICdH9B4U
――第2部の交流会についても教えてください。
よりみち:「よりみちさんのところは心地いい」という声をいただいて、交流会を企画しました。いろんな業種の人が集まって、何かが生まれたら楽しいなと思っています。
ーー私も運営に携わらせていただいていますが、「心地いい」というのは、すごくわかります。
セミナー開催に向けて
――最後に、セミナーに参加される方や、参加を迷っている方へメッセージをお願いします。
よりみち:「無価値を有価値にする方法のヒントを伝えたい」とお話ししましたが、無理に有価値する必要はありません。無理して苦しくなるよりも、自分なりの生きやすさを見つけられるきっかけになればいいなと思っています。
商業出版が決まって、活動がさらに広がっていく今だからこそ、この距離感で会える貴重な機会です。2年前の僕が見たかった「未来」が、ここにあります。
おわりに
インタビューの間、よりみちさんは一つひとつの質問に対して、まるで絵の具を丁寧に重ねるように言葉を選んでくれました。
「言葉が嫌い」だと笑う彼が、誰よりも言葉を大切に扱い、自分の弱ささえも「排熱」という名の表現に変えていく姿。それは、AIが実用化し、効率や論理が優先される現代において、私たちが忘れかけていた「人間らしい熱量」そのものです。
2年前、真っ暗な場所にいた彼は、歩みを止めなかったことで「商業出版」という未来を手繰り寄せました。今回のセミナーは、そんな彼の「歴史」に触れ、自分自身を見つめ直す時間になるはずです。
「未来はちゃんと変わる」――その言葉の本当の意味を、ぜひ会場で、よりみちさんと同じ空気を吸いながら受け取ってみてください。
よりみち(心の画家/絵本作家)@cc25Ca
SNSでの共感をきっかけに、絵本出版・イベント事業・講演を通して「自分らしさをテーマに」活動を展開。代表作『ぬぬのものがたり』(Kindle版・紙版ともに★5評価)
発達障害の当事者として、NPO法人での講演、他セミナー登壇、教育や自己表現の分野で多くの共感を集めている。現在は「自己理解」をテーマに、創作・講義・出版を横断する活動を続けている。
【イベント詳細】
発達障害当事者が語る “生き方を言葉にする”セミナー
日時:2026/1/17 (土) 14:00 - 16:00
場所:東京都渋谷区代々木2-4-9【R3C貸会議室】野村不動産新宿南口ビル
チケット購入サイト:https://peatix.com/event/4676564/view
note:https://note.com/detour2022/n/n36e57e9cb1b6
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