見出し画像

Webサービスには権威性があるという話

ライターの頭を悩ませる問題の一つに「コピペチェックツールの誤判定」があります。

ライターでない方は知らないかもしれませんが、世の中にはネットに公開されているような既存の記事をそのままコピペして納品するような不届きなライターがおり、原稿がコピペではないか検証するためのツールが提供されているのです。

しかしながら、これらのツールの多くは形態素解析と単語一致率のスコアリングなどを組み合わせた比較的シンプルなアルゴリズムで作られており、全体の文脈までは考慮しないため誤判定が発生する場合がまあまああります。

わかりやすく言うと「文中に使われている単語が似ていたらコピペ」みたいな大雑把な判定の仕方をしている感じなのです。

しかし、特に法律や基礎的な学術概念などに関する解説記事は、専門用語をたくさん使う上に、誰が書いても話の内容が似通ってくるため、コピペしてなくても一致率が高く出てしまう場合があります。

そこで言い回しを変えて書き直したりするのですが、これらのツールの多くが変な方向に工夫されてまして、少し言い回しを変えた程度では一致率が低下しないことが多いのです。

さらに、ライターに発注する側の企業の中には、これらのツールをSEOのツールだと勘違いしてしまっている企業があり「一致率を30%以下にして納品してください」などと独自の要件を課している場合があります。

ライターさんは一生懸命文章を変えたり単語を変えたりして30%以下にして納品しますが、不自然な言い換えを多用して無理矢理数値を下げているので文章の品質は劣化します。

言うまでもなくこれらのツールは2つの文章を比較して使用されている単語がどれだけ似ているかを測定するだけのものであり、SEOのツールではありません。低ければ低いほど良いというものでもありませんし、何%以上ならコピペだといった閾値も絶対的な基準ではないです。

ある人気の無料コピペチェックツールは、個人のエンジニアの方が開発して運営していますが、多くの企業がそのツールの出す数値を信じ込んでいます。

個人で開発しているということは出力結果はもとより入力されたデータがどのように使われているかもその個人のさじ加減一つということです。それ自体は悪くないですが、ツールを利用している方は運営主体の信頼性や出力結果の妥当性、入力情報の取扱方法などを調べた上で利用してるのかなとちょっと疑問に思います。

このような光景はChatGPTなどの対話型生成AIの黎明期にも見られました。当時、AIを使った様々なアプリやWebサービスが出てきたのですが、中にはプライバシーポリシーや運営者情報のページすら無いような怪しいアプリもたくさんありました。しかし、そのようなアプリでも多くの人が何の疑いもなく入力フォームに情報を入力して利用したりするのです。

何かWebサービスやアプリ自体に権威性というか、簡単に信じてしまう何らかの効果のようなものがある気がします。「知らない人」は警戒されますが「知らないアプリ」はあまり警戒されないのです。

いいなと思ったら応援しよう!