でんぐりがえしのだいぼうけん|夏のおとぎばなしーな
あるところに、マミちゃんという女の子がいました。マミちゃんはぼうけんが大好きです。いつもお気に入りのうさぎのぬいぐるみ、ラビをつれてこうえんへ行っては、ひとりといっぴきでぼうけんごっこをしてあそんでいました。
ある日のこと。マミちゃんのお母さんが言いました。
「マミちゃん、ごめんね。お父さんもお母さんもごようじがあるの。ちょっとだけひとりであそんでてくれる?」
マミちゃんはええー? と声を上げましたが、お母さんはかなしそうなかおをして「ごめんね」というばかりでした。
「つまんないの」
おえかきをしても、ブロックをしても、マミちゃんはちっともたのしくありませんでした。
「つまんない、つまんない。ああ、このままどこかしらないところへあそびに行けたらいいのに」
おもちゃをぜんぶ片づけて、マミちゃんはおへやでひとり、でんぐりがえしをしました。
すると、マミちゃんの目のまえがぐるんぐるんと回り出し、マミちゃんはあわてて目をとじました。
「うわぁ、いったいどうなってるの!?」
――しばらくして、マミちゃんが目をあけてみると、あたりいちめん砂だらけでした。
おどろいたマミちゃんが一歩ふみ出すと、ふわり、と体がうきました。
「ここはどこ? どうしてわたし、ういてるの?」
あたりを見まわすと、お空のとおく向こうに青い大きな星が見えました。
「あれ、ちきゅう? もしかしてわたし、うちゅうにきちゃったの?」
そう、マミちゃんはでんぐりがえしで、月に来てしまったのです。
「うわぁ、体がふわふわしておもしろい!」
マミちゃんは楽しくなって、ぴょんぴょんとびはねたり、くるくる回ってみたりしました。
そのうちにマミちゃんは、なにかが空からふってくるのに気づきました。
「わあ、おほしさまの雨だ」
空からきらきらと、雨つぶのように星がふってきていました。マミちゃんはそのうちのひとつを手にのせると「きれいだなあ」とポケットにしまいました。
ひとりであそんでいたマミちゃんでしたが、まわりにはだれもいません。マミちゃんは心ぼそくなって、おうちにかえりたくなりました。
「お父さん、お母さん、あいたいよう」
マミちゃんがさびしくて泣きそうになったとき、あたまの中でラビの声がしました。
「マミちゃん、でんぐりがえしをして、かえっておいで」
マミちゃんはでんぐりがえしをしようとしましたが、体がふわふわしてうまくいきません。
なんどもなんどもちょうせんして、さいごにえいっとじめんをけると、マミちゃんの体がぐるんと回って、マミちゃんはまた目をとじました。
気がついたら、マミちゃんはおへやの中で横になっていました。ねむってしまっていたようです。
「あれは、ゆめだったのかな。たのしかったから、ゆめならまた、うちゅうに行きたいな」
「マミちゃん、ごはんよ。いらっしゃい」
マミちゃんは立ち上がり、お母さんのよぶ方へ行きました。
マミちゃんのポケットの中で、星がひとつ、きらりと光っていました。
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