幾重にも折り重なる思惑。映画『教皇選挙』(アメリカ・イギリス、2024年)
かなり前から評判がよかったので、見に行きたいと思っていた映画。小学生の頃、祖母のお友だちが牧師さんだったので、毎週日曜日には教会(という名のオルガンがある普通の家)に通っていた記憶があります。
当時の私はなんのことやらわからなかったのですが、祖母と同年代のおばあさん牧師が聖書の物語を聞かせてくれて、みんなで賛美歌を歌って、終わったらおやつを食べれて、しかも自由に遊んでいい場所で楽しかったです。私は、牧師さんの蔵書らしき、大判のりっぱなハードカバーの聖書物語を借りて読むのが好きでした。
西洋画のような、ものすごく美術的な挿絵に、遠い国の神話がすごく新鮮だった記憶があります。地球を担いでいる巨人のお話とか、英雄らしいダビデ王の話とか、海が割れて道ができる話とか、日本昔ばなしには絶対出てこなそうな物語は、今でも印象に残っているほど。
そういうわけで、なぜかイタリア映画のキリスト教関係は見ている率が高いかも。10年くらい前だと『ローマ教皇の休日』もなぜか見てますし、息子がキリスト教に急に目覚めて慌てる、大病院のがんこ名医(!?)の話もおもしろかったです。
さて、『教皇選挙』ですが2時間があっという間に過ぎました。いろんな人達がいっているように、映像がとてもすばらしいです。映画のセット以上に見入ってしまうような、本物のバチカンの建物の数々。そして、登場する枢機卿たちのクラシックな衣装。1つ1つの場面が、本当に宗教画のようにきれいで、印象的で見ているだけで満足してしまいそうです。
そして、話は予想よりもわかりやすかったです。『教皇選挙』は、特徴的な外見の枢機卿たちが、一癖も二癖もあるんですけど、英語、フランス語、ラテン語、スペイン語…etc. それぞれの言語と信仰、アイデンティティが結びついて言葉をつかって(使い分けて)いるので、理解しやすかったです。
個人的なチェックポイントは、大好きな映画『マーサの幸せレシピ』にイタリア人シェフ役で出ていたセルジオ・カステリットさんが、『教皇選挙』では主人公たちと敵対する保守派の枢機卿で出演していたこと。あの俳優さんをまた見れて、うれしかったし、なんか年月を感じます。
重苦しい選挙の雰囲気の中で、密室ミステリーっぽくもあり、主人公の中間管理職的なお仕事苦労話っぽくもあり。ストーリーの展開もわくわくなエンタメで、ラストも納得。
なにより、ちょうどフランシスコ教皇が亡くなって、選挙が行われるっていうときに映画を見れたので、よけいに印象深くなっています。最近ではネット配信のおかげでいつでも見れるかもしれませんが、やはり映画もライブのようなものですよね。配信されない映画とか、配信終了の映画とかは、見たくてもみれないですし。
そんなわけで、タイムリーすぎた『教皇選挙』。見に行って、本当に良かったと思える映画です。映像のインパクトが全然違うので、気になっている方はぜひ大画面でどうぞ。この映画は本当に大画面がおすすめです。
邦題:教皇選挙(原題:Conclave)
監督:エドワード・ベルガー
主演:レイフ・ファインズ、スタンリー・トゥッチ、ジョン・リスゴー、カルロス・ディエスほか
制作:アメリカ・イギリス(2024年)120分
アメリカのとあるキリスト教については、こちらがすごくおもしろかったです。
