コーヒーが香るステキなミステリー小説『秘密の多いコーヒー豆』他、コクと深みの名推理シリーズ。クレオ・コイル(小川敏子訳)
読者のしあわせは、ファンの作家が多作なこと(by 西尾維新)
お気に入りの作品が、いい感じにシリーズとして続いてくれるのはうれしすぎます。以下、読書順に感想をメモ。一番最近読んだ本は一番下にあります。
『大統領令嬢のコーヒーブレイク』
ふと目に止まった本。どういう経緯だったか忘れたけれど、忘れた頃に入手。ちょうど、先週の出張の疲れを引きずったまま、次の仕事の疲れも加わって、ヘトヘトの週末にぼーっと読み始めました。
コーヒーを片手に。そうしたら、とまらない、とまらない。コーヒーのうんちくも、ジャズの演奏の描写もとても素敵でし。
パトリシア・コーンウェルの検死官シリーズの初期の頃の、警察内の権力闘争や男女の絡み具合のおもしろさのエッセンスをほどよく薄めて、絶望的にならない程度にハッピーエンドで。
とくに、ジャズ・ライブの場面は圧巻。ジャズを全然知らない私の頭の中にも、素敵な曲がたくさん流れたくらい。どんな曲かはわからないけれど、なんとなく想像できてしまうような不思議な感覚でした。
そして、今はこのエントリを書きながら、小説に出てきたジャズのスタンダードをネットで検索して聴いています。予想に近かった曲や、想像と全然違った曲もあって、読書以外でも新しい発見がたくさんありました。
私は楽器もできないし、歌もうまくありません。でも、音楽が出てくる小説や、音楽家の書いた本は大好きです。
『ア・リトル・ジャズ・エクササイズ』(a little jazz exercise)
『僕の隣人にならないか』
『ブラックコーヒー』(black coffee)
『someone to watch over me』
『わが愛はここに』(Love is here to stay)
『ラブ・バラード』(Love Ballad)
『アメリカ・ザ・ビューティフル』(America the Beautiful)
『live forever』
『fix you』
『It Don't Mean A Thing 』
『エスプレッソと不機嫌な花嫁』
少し余裕ができて、飛行機の長時間読書用に、久しぶりにシリーズを手に取りました。たくさんあって迷ったのですが、順番に読もうか、ランダムでもいいか…。結局、入手しやすそうで評判のよさそうなものから。
『エスプレッソと不機嫌な花嫁』は、主人公のクレア・コージーの過去と、元夫と元姑との関係がよくわかったので、早めに読んでよかったです。しかも、出てくる料理がおいしそうなこと! コーヒーもそうだけど、クッキー! お菓子!! イタリアのとアメリカのでそんなに違うんでしょうか?
なんだかクレアの遍歴が、ヤマザキマリさんみたいで妙にリアルだったり、イタリア系の移民の話とか、愛車のホンダとか、そういうディテールがすごくおもしろいのがこのシリーズの魅力なんですね。
『深煎りローストはやけどのもと』
この作品は、ものすごくエスプレッソが飲みたくなります。余談ですけど、行きつけのカフェで「アメリカーノ」を注文したら、コーヒーにお湯(?)を入れててびっくりしたんですけど、エスプレッソに熱湯を加えたのがアメリカーノなんですね。
このシリーズを読んでいると、本当にコーヒーに詳しくなれそう(すぐ忘れちゃうけど)。レギュラーコーヒーより、エスプレッソの方がカフェインが少ないなんて、全然知りませんでした。今回は、消防士さんのお話が詳しくておもしろかったし、エスプレッソマシンの話もイメージするのが楽しかったです。
この作品を読んで、いつもいくカフェで「アメリカーノ」ばかり注文していたけど、次は「エスプレッソ」試してみようと思ったら…。まさか、つい数日前に閉店してしまったなんて。パンもおいしくて、ゆったりできて、貴重なカフェだったのにな…残念。
『コーヒー・ケーキに消えた誓い』
せっかく素敵なプロポーズが成功したのに、いきなり花嫁が記憶喪失!?
なんだか、あまりアメリカ…というかニューヨークらしくない展開な気がしますが、そこは心配なく、ちゃんといつものミステリーでした。
過去は忘れていても、ちゃんとコーヒーの味や知識は忘れていないっていうのがいいですね。そして、味覚を手がかりに、過去の記憶を取り戻しているっていうところも。
そうそう、主人公の元ダンナさまは、離婚してましたか。予想通り、早いですね。結婚というシステムが、似合わないにも程がある。でも、魅力的。日本人設定だったら、こんなに魅力的に描くのは難しいでしょうね。
『バター・コーヒーの舞台裏』
あこがれのコメディアンのドラマのロケ地に選ばれたカフェ。主人公をはじめ、スタッフみんなが大喜び。そして、事件はおこる。
この作品では、おいしいコーヒーも出てくるけれど、それ以上にドラマや映画世界の理不尽な「常識」も、紹介されてておもしろいです。『押しの子』の「2.5次元舞台編」みたいな、楽屋裏を知ることができる面白さがあって。
そして、紆余曲折あっても、往年のスターが失った初心を取り戻すようなラストがよかった。いつも思うけど、このシリーズは本当にストーリー構成がうまいです。
ストーリーとは全く関係ないですが、私でも知っているシェイク・シャックが出てきてうれしかった。あそこのバーガー、すごくおいしいですよね。
『ハニー・ラテと女王の危機』
ニューヨークの都会でハチミツ!? そして警察にあるミツバチ班!?
世の中広くて、すごくおもしろいなあと思うのは、こういう知識を知ることができたとき。そして、馬がラストに大活躍(!?)。驚きました。
世の中には、いろんなビジネスがあって、いろんな食べ物があって、いろんな歴史があって。だからこそ、いろんなミステリーを楽しめるんですね。
私の中のマダムのイメージは、マギー・スミスさん。国籍は違いますけど。『ダウントン・アビー』の先代伯爵夫人のあのイメージ。あと、『天使にラブソングを』の修道院長も素敵でしたっけ。

このシリーズは、順不同で読んでもおもしろいように構成されていますが、できるならやはり最初から読みたくなってきます。古い本なので、最初の1冊が見つからない!? とりあえず、シリーズ2作目からスタートです。
『事件の後はカプチーノ』
私にはコーヒーがらみのウンチクはわかりませんが、パソコン周りの話ならそれなりに。ヒューレット・パッカードのプリンターとか、時代を感じますね。
私は、てっきり主人公の再婚相手がシリーズ途中から登場するものとばかり思っていましたが、なんとシリーズ1作目から登場していて、しかも2作目では主人公をデートに誘っていることにびっくり。だって、そこからプロポーズまで、15冊以上かかるなんて想像もできなかったので。
『秋のカフェ・ラテ事件』
シリーズ第3作目。ここでもびっくり事案多数。まず、毒殺らしい事件があったカフェに、興味本位のお客さんが殺到するニューヨーク。病んでいる…。日本だったら、絶対閑古鳥なのに。なんだか、らしすぎて、いっそすがすがしいほど。
そして、主人公の元夫の恋人が、すでに3巻から登場すること。今後、10巻以上ひきずって、主人公とあーだこーだとトラブルを起こしつつ、結婚して、即離婚!? なんだか、いろんな意味ですごい。
ともあれ、イタリアのお菓子とか、カプチーノに関する知識が楽しめる、素敵なミステリーは、今回ファッション面でも楽しかったです。私には縁のない世界だけに。ネットで検索して、「こんな感じかな?」と想像しながら。
『危ない夏のコーヒー・カクテル』
シリーズ4作目は、アメリカ的なサマー・バカンス。
あまりにも享楽的でいつもの地に足のついたニューヨーク物語じゃないなあと思っていたけれど、途中から少しづつおもしろくなってきました。バカンスの場所として有名な場所が、著名人のいざこざにあふれているのも笑えます。
「ふだん、他人からお金をかすめ取るようなことをして成り上がったやつらが、週末だけ(ここに来て)紳士的に振る舞えるとおもうか?」(意訳)
かなり後半になって、いつもの刑事さんじゃなくて、元シールズの退役軍人が出てくると、いい感じにアクションも盛り上がります。やっぱり、バリスタの女性だけでは冒険的要素は限界がありますから。
『名探偵のコーヒーのいれ方』
ようやく、シリーズ第1作を読むことができました。なんというか、シリーズのすべてがつまっている感じで、すごく楽しかったです。なるほど、こういう物語のスタートだったんですね。
ヒロインと元夫、そして気になる刑事の登場。かわいい娘がいて、おちゃめな義母がいて。突然の仕事のオファーと、思わぬ落とし穴。古い本ですし、電子化していません。
でも、このシリーズが好きで、細部まで知りたいなら、手間ひまかけて、読むかいはあります。すべての作品は、処女作に向けて収斂する…らしいですから。
『秘密の多いコーヒー豆』
カフェインレスのコーヒー豆をめぐるお話。中南米の島国が、いきなり社会主義体制になってしまったとか、せっかく丹精込めた農園が政府のものになったとか、歴史的な話としては知っているけれど、小説で読むとまた辛いものがありますね。社会主義革命って、一体なんだったのか。
そして、カフェインレスのコーヒーには、妊娠中にお世話になったし、なんなら鬱っぽいときにもカフェインレスしか飲めなかったので、私も消極的だけど、あったらうれしい派だったりします。
できることなら、いつも元気で、カフェインのある普通のコーヒーをおいしく飲む生活をしたいですが。
