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努力と友情と世の中のままならなさと。『長安のライチ』中国、2025年

去年の夏、中国で大ヒットした作品。日本でも少し前に字幕なし(中国語のみ)の上映がありましたが、さすがに古代の話は字幕なしでは辛いだろうと、我慢して字幕版を待ちました。ようやく見れてうれしいです。日本でも人気らしく、「満席」の張り紙が出ていました。

『長安のライチ』は、監督&主演が私の大好きな『熱烈』と同じ大鵬(ダー・ポン)。

しかも、原作も大好きな馬伯庸。期待しかありません。よっぽどの魔改造…例えば、長編ドラマのためにオリジナルエピソード追加するとか、設定を変えるとかしないかぎり、おもしろいこと間違いなし。今回は、映画なのでそのあたり大丈夫。

物語は、しがない下級役人が無理難題を背負わされて奮闘するお話。いわゆる、ミッション・インポッシブルです。命令したのは唐の皇帝玄宗。ライチが好きな楊貴妃を喜ばせるために、彼女の誕生日にあわせて新鮮なライチをもってこいといいます。でも、ライチは数日しか持たず、数千キロ離れた長安に、生のまま運べません。

皇帝の命令が実現できなかったら、命令違反で死刑。役人たちは、無理難題を避けて、押し付けあったため、下っ端で無駄に努力家で、真面目な主人公の李善徳がスケープゴードにされたというわけ。

ところが、算数に強い李善徳。勤勉で誠実なところが信頼されて、南で協力してくれる友人ができます。何度も実験を繰り返すうち、もしかしたら実現できるかも……というところまでこぎつけ、長安に戻ります。

こうなると、都では要注意人物。李善徳の成功は、その他大勢の失敗。ひたすら邪魔されるかと思いきや、権力拡大をねらう右大臣のアンディ・ラウ(劉徳華)が李善徳のバックにつくと、一転して李善徳はヒーローになります。一方、右大臣を蹴落としたい宦官の魚朝恩は、李善徳の妨害を企てます。さあ、李善徳の任務は果たせるのか。

大唐帝国の都・長安の街並みや、中国の官僚制度のえげつない戯画化。美人だけど、きつい奥さん。杜甫の報われない下級役人生活なんかもさり気なく混じって、中国あるあるのオンパレードで、最高でした。エンタメ作品って最高! 映画館の大画面で見れて良かった! って感じです。これは絶対、大画面でみないとダメな映画です。

李善徳の奥さん役の楊冪(ヤン・ミー)は、名前だけは知っていても、バラエティでしかみたことなかったのですが、今回映画で初めて見ました。でも、個人的にはライチ農園の阿僮(アトン)役の庄達菲が好きです。男気があって、強くて、しっかり生活してる感じで。民族衣装も似合ってましたね。

あと、ペルシャ人の商人役の白客(バイ・カー)がとってもいい役です。商人としても、友人としても、情に篤くてチャレンジ精神あって。『唐人街探偵1900』にも出ていましたので、がんばって2本ハシゴした私には、白客祭な1日でした。

そして、そして、何と言ってもアンディ・ラウですよ。似合いますよ、ああいう役。彼は主役もいいけど、こういう役も本当にいいです。映画全体を締めてくれるというか。そんな感じ。

李善徳のミッションや、友人たちはどうなるか? 私たちは、その後の歴史を知っているのですが、それでも見ているうちに圧倒的なこの作品に飲み込まれて、李善徳と彼の家族や仲間たちに幸あれと思わずにはいられません。ラストの余韻もすごい。おすすめです。

邦題:長安のライチ(原題:長安的荔枝,The Lychee Road)
監督・主演:大鵬
原作:馬伯庸『長安的荔枝』
主な出演:白客、庄達菲、劉俊謙(テレンス・ラウ)、劉徳華(アンディ・ラウ)、楊幂ほか
制作:中国(122分)2025年

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