忍殺TRPGリプレイ【ドリーム・キャッチャー】02
前回のあらすじ:タイクーンことアケチ・ニンジャが君臨する、ニンジャの帝国ネザーキョウ。そこへ潜入したフェイスフルたちは、タイクーンへのムーホンを画策するニーズヘグと奇妙な因縁で同行することになる。そこへ「ドリームキャッチャー」と名乗る存在が現れた。果たして何者なのか?
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「……何か、いる」バンブーエルフはエテルの流れを読み取り、何かを察知した。「何が。どこに」フェイスフルは問い返した。「そこ」バンブーエルフが指差す方向に、茶色い毛むくじゃらの動物が姿を現した。人間よりはやや小柄な、リスに似た動物だ。だが直立二足歩行し、腰には黒帯がある。
「ウルルルルル」それはハンズアップし、ペコペコと頭を下げた。「カラテビーストですね。敵意はなさそうですが」然り、カラテウッドチャックである。大型のリスのたぐいで、地面に巣穴を掘って生活する。基本的には草食性だが、巣穴に侵入されれば、大きな切歯と前足の鉤爪で果敢に戦う。
それがカラテビーストと化したのであれば、人間を殺せるぐらいに強いだろうが、手練れのニンジャチームには到底かなうまい。「食糧でも漁りに来おったか、畜生めが」ニーズヘグは邪眼を向ける。「お待ちください。無駄な殺生は」キィィィン……フェイスフルの胸元から澄んだ音が響いた。
彼女のオマモリ・タリスマンの中に入っている銀色の鍵の共鳴だ。その場の全員の脳内に声が聞こえた。『そう、待ってくれ。あいつは敵じゃねえ』「なんじゃ、貴様」『俺だ。シルバーキーだ。ええと、そういえば初対面だったっけ』「ドーモ」「ドーモ」一行は脳内の声にアイサツを返す。
「で、なんじゃあいつは」ニーズヘグはカラテウッドチャックを指差した。「敵ではないなら、味方か」『そうだ』別の声が脳内に響いた。『ドーモ、初めまして。私はドリームキャッチャーです』
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「……ドーモ、ニーズヘグです」「フェイスフルです」「バンブーエルフです」「マングローブです」ニンジャたちは訝しみながらもアイサツを返す。アイサツは大事だ。「このリスみたいなのが?」『違う。私の肉体は、ここにはない。彼のニューロンと、その銀の鍵を介して、語りかけている』
ドリームキャッチャーはそう答えた。「ユーレイか」『違う。生きてはいるのだ。とにかく……礼を、言おう』カラテウッドチャックが頭を下げた。『そして、協力したい。タイクーンの支配を打倒し、私の協力者たちを助けるために。……ついてきてくれ』カラテウッドチャックは手招きした。
言われるままについていくと、先ほど木に吊るされていた数名のモータルが待っていた。彼らはカラテウッドチャックと合流すると、ニンジャたちに深々とオジギした。首筋には生体LAN端子がある。「大変感謝します。我々はリコナーです。インターネットに接続し、暴君の支配に抗う者たちです」
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サカモト村の南西30㎞、オールドワイヴズ湖。周囲は上空を含めて強い磁気嵐に囲まれているが、カラテウッドチャックが運転するジープの周囲は磁気嵐が避けていく。ドリームキャッチャーが招いているのだ。轍の跡も磁気嵐に洗い流され、追跡されることはない。「リコナーどもの隠れ家か」
ニーズヘグはせせら嗤う。「ワシはさっきまでタイクーンに仕えておった男じゃぞ。不用心な」『信頼だ』ドリームキャッチャーは答えた。『サカモトに潜んでいたリコナーたちを助け、駐屯していたニンジャを殺し、ネザーカラテツリーを破壊したニンジャたちに、協力を申し出た』「そうじゃが」
カラテ判定、難易度UH>H。失敗すると体力に1ダメージを受け、回避ダイスや側転ダイスが1減少する。
フェイスフル/FFは15D6[512364533516216]成功、バンブーエルフ/BEは6D6[534663]成功、マングローブ/MGは12D6[654331513645]成功、ニーズヘグ/NHは14D6[56242245163233]成功。全員問題なく回避。
『あまり遠隔コトダマ通信を多用すると、ネザーキョウの連中に探知されるんだってよ』シルバーキーが口を挟む。『だから、直接来て面会するのが一番安心だとよ』『そうだ。シルバーキー=サンのおかげで、うまく通信や隠匿ができているが』「オレの脳内で一緒に喋らないでくれ!」『ああ』
マングローブは頭を抱えている。ネザーオヒガンことジゴクを抜けてきた身ではあるが、あまりインターネットと相性がよくないのだ。……ジープが狭く曲がりくねった峡谷を抜け、滝の中に突っ込むと、目の前に美しい湖がひらけた。湖畔には木造家屋が立ち並び、棚田を人々や獣が耕している。
「人間と、カラテビーストが、一緒に!」フェイスフルは目を丸くした。『知性があり、穏やかなカラテビーストも稀にいるのだ。凶暴な部分は私が抑えている』「ジョルリ人形にしておるわけじゃな。この運転手のように。便利なジツじゃ」ニーズヘグは皮肉を口にした。特に反論はない。
エッサイの株から一つの芽が出、その根から一つの若枝が生えて実を結び、その上に主の霊がとどまる。これは知恵と悟りの霊、深慮と才能の霊、主を知る知識と主を恐れる霊である。…おおかみは小羊と共にやどり、ひょうは子やぎと共に伏し、子牛、若じし、肥えたる家畜は共にいて、小さいわらべに導かれ、雌牛と熊とは食い物を共にし、牛の子と熊の子と共に伏し、ししは牛のようにわらを食い、乳のみ子は毒蛇のほらに戯れ、乳離れの子は手をまむしの穴に入れる。彼らはわが聖なる山のどこにおいても、そこなうことなく、やぶることがない。水が海をおおっているように、主を知る知識が地に満ちるからである。
一行は隠れ里のリコナーやカラテビーストたちに迎え入れられたが、武器は一応没収された。特にニーズヘグは強く警戒されている。「まァ、武器はなくてもカラテがあるわい。ヨージンボになったら返せよ」ジープから降りた一行は湖畔の桟橋からエンジン付きのボートに乗り換え、湖の奥へ進む。
ボートは湖上の影に向かう。近づくにつれてその詳細がわかる。水没しかかった、データセンターか研究所じみた建造物だ。最上階部分が湖上に露出しているのだった。……ボートが停止し、一行は廃墟最上階のベランダに飛び移り、屋内へ侵入する。そこは、よく手入れされた神殿めいていた。
「ウォンウォンワワー」カラテウッドチャックが飛び跳ね、先導する。突き当りのエレベーターは生きていた。電力があるのだ。カラテウッドチャックはジャンプして呼び出しボタンを押した。ポーン。電子音とともにドアが開き、一行を誘う。「電気はどうしてんだ」『下にジェネレーターがある』
……エレベーターが底部に到達した。まっすぐ進み、通路を抜けると、数階分が吹き抜けとなった巨大なエントランスホールに出た。建物の外は土砂に埋もれ、足元の床は濡れている。そしてホールの中央に黒い山があった。否、それは巨大な獣だ。『改めてドーモ。ドリームキャッチャーです』

せっかく旧地名がムースジョーなので、マンモスならぬカラテムースを再利用します。「超自然的IRC接続」を持ちますが動けません。A-1/ファストストリームにあたる人物もたぶん存在しますが、めんどいので省きます。あるいはドリームキャッチャーと融合しているのかも知れません。
「アイエエエ!?」マングローブは仰天した。フェイスフルとバンブーエルフには見覚えがある。ドラゴン・ニンジャも戦いを避けた、恐るべきカラテムースだ。ニーズヘグは目を細めた。「ほおう、オオケモノじゃな。親王への手土産にはちょうどよいか」「マッタ」バンブーエルフは制した。
ダンゴウ
……ドリームキャッチャーがコトダマを介して告げたことは、こうであった。彼はネザーの力によりヘラジカが変異して生まれたカラテビーストであるが、高い知性と、超自然的なコトダマ通信能力を持つに至った。巨大な角が文字通りのアンテナ(角)となり、周囲のカラテビーストと会話できた。
やがてカラテビーストの大群を従える「主」となったドリームキャッチャーは、ネザーキョウのセンシたちによる狩猟の対象となった。カラテビーストの肉を食らえばカラテが高まる。人間を襲い、喰らい、そして、より強い戦士の糧となること。それがタイクーンの意図した事であった。
『……私はこの湖に身を潜め、リコナーたちに匿われた。能力を利用して知性カラテビーストを呼び寄せ、小さな村を作った。だが、もはや動くこともできぬ。私が生きているうちに、彼らを逃がしてやりたい』「要はまあ、人助けのヨージンボじゃな。その代価は?」ニーズヘグは腕組みをした。
『君たちは、仲間とはぐれたと聞く。ネザーキョウではインターネットが禁止されている。私がインターネットで仲間との通信を確立しよう』「あまり使うと嗅ぎ取られるのではないか?」『そうだ。だから、人々をUCA領内の安全な領域へ逃がしてからにしてほしい』「後払いか。虫がいいのう」
ニーズヘグは意地悪く笑いながら交渉する。フェイスフルたちは顔を見合わせる。『まあ実際、ドリームキャッチャー=サンのコトダマ通信能力はなかなかだぜ。ネザーキョウに入ってから、俺でさえあまり遠くまでコトダマを飛ばすことができねえ。なんか封印がされてンだ。必要だと思うが』
シルバーキーは助言する。バンブーエルフは大地のエテルの流れを感知することは得意だが、インターネットは得意ではない。コトダマ通信の専門家のシルバーキーがそう言うのなら、ここは受けるしかあるまい。ユカノ、フジキド、ヘヴンリイ、ディプロマット、ガンドー、ナンシーに連絡せねば。
頷くフェイスフルの胸元で、シルバーキーは思案する。彼女たちやニーズヘグがここの近くに漂着したのは、ひょっとしてドリームキャッチャーが助けを呼んでいたためではないか。とすれば、いわばマッチポンプだ。しかし確たる証拠もないわけだし、それを指摘するのは奥ゆかしくあるまい。
代表者が知識判定2回、難易度UH。BEが挑む。
12+2=14D6[62323161543462]3成功、[43133143132654]1成功。
全員に即応ダイス+4、緊急回避ダイス+2。
「……まあ、お人よしばかりよなァ」ニーズヘグはため息をついた。裏表のない善人との対話は逆に面倒なのだ。「この場の全員を皆殺しにし、首を持ってジョウゴ親王に会いにいってもいいが、そうもいくまい」「そうだよ。インターネットで仲間たちに連絡される」バンブーエルフは微笑んだ。
ニーズヘグは鼻を鳴らし頷く。「せっかく面白いイクサの絵が描けるんじゃ。敵を増やすのはうまくない。よかろう、受けてやる」『よろしく頼む』ドリームキャッチャーは巨大な頭部を下げてオジギした。かくして、一行はリコナーの隠れ里を守るヨージンボとなったのである。
???
サカモトから70㎞ほど東、カメヤマ。天守閣、ジョウゴ親王の居室。

例の彼です。「痩せて青褪めた顔に鋭く燃える三白眼を持ち、荒々しい黒い顎髭を蓄えている」とあるのでそうしましたが、烏帽子はBingが理解しなかったので甲冑姿としました。
「それで、おめおめ逃げて来たと申すか」「ハイ」フレースヴェルグは親王の前に平伏している。「テウチにしてくれるわ」親王はコショウの差し出すカタナを鞘ごと掴んだ。「お待ちを」親王の傍らに立つ不気味なニンジャが制した。「お怒りごもっとも。ですが、彼女は情報を持ち帰りました」

「クセツゥ……」親王は額に青筋を立てて彼を睨んだ。「イサオシある者を斬り捨てれば、家来はついてまいりませぬぞ。ここは彼女に報復の機会を与え、侵入者らを探し出させるのがよいかと」「侵入者は3人。さらに、あのニーズヘグめもムーホンしたという。こやつ1人では返り討ちぞ!」
「このあたりに、ちょうどテツバ・ドラグーンが来ております。数は6人。フレースヴェルグ=サンも加えれば、まず充分かと」「テツバだと」親王は眉根を寄せた。タイクーン直属の精鋭斥候部隊。強力なニンジャのセンシで構成され、インターネットを探知して惰弱者を根絶する恐るべき集団だ。
親王直属のセンシたちは、東のウィニペグに出現した敵対ニンジャ集団や暴走中のザンマ・ニンジャへの対処、UCAとの戦いに手いっぱいだ。気には食わぬが、テツバ部隊に手柄を持たせればよかろう。このクセツもタイクーン直属の「アケチ・シテンノ」の一人であり、親王の家来ではないのだ。
「……よかろう。是非もなし。よきにはからえ」親王はカタナから手を離すと、不満げに座り込んだ。「仰せの通りに」クセツは深々とオジギし、コショウを睨んだ。コショウは震え上がり、深々とドゲザした。
【続く】
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