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東京を走った42.195km|初フルマラソン当日の記録【東京マラソン2026④|動事004】

④ 当日体験談|膝が笑い、足がつり、それでも完走した話


ネットタイム5:13:36。サブ4には遠く及ばなかった。でも、無事完走。


スタート前|西新宿の熱気


朝7時、名鉄イン浜松町を出て大門駅から都営大江戸線に乗り、新宿駅で下車した。

改札を出た瞬間、空気が変わった。ランナーで溢れかえる西新宿。カラフルなウェア、思い思いのストレッチ、緊張と興奮が入り混じった表情。東京マラソンは、スタート前からすでにレースが始まっていた。

スタート地点入場前の混雑


そして驚いたのが、外国人ランナーの多さだ。周囲から聞こえてくる言語が、英語、中国語、韓国語、フランス語……日本語の方が少ないのではないかと思うほどだった。

東京マラソンは世界6大マラソンメジャーズのひとつ。2026年大会の公式速報値によると、マラソン出走者総数は38,472名、完走率は96.9%。そのうち外国籍ランナーは17,502名で全体の約45.2%を占めた。走者の2人に1人近くが外国人という計算だ。2024年大会の13,557名(約36.7%)から大幅に増加し、まさに東京の街が世界に開かれた瞬間を走っていた。

ちなみに居住地別完走者数では、愛知県からの完走者は561名。東京・神奈川・埼玉・千葉に次ぐ規模で、名古屋からも多くのランナーがこのレースに挑んでいた。

都庁前という、普段は行政の場である空間が、完全に「市民のフィールド」に変わっていた。気温は想定通り、やや暖かめ。帽子問題は前日のEXPOで解決済み。準備は整った。


0〜15km|快調、そして最速ラップ


スタートの号砲。イヤホンから音楽が流れ込んでくる。

(今回のレースで実際に使用したプレイリストは別記事「42.195kmをBPMで走る|東京マラソン2026 人生の総括プレイリスト」で公開している。)

大学時代に何度も聴いた曲でスタートを切った。

序盤は抑えるつもりだった。キロ5分40秒を守る。そう決めていた。

しかし東京マラソンのコースは、それを許してくれない。沿道の声援、一緒に走るランナーたちの熱気、そして新宿から飯田橋へと続く見慣れた東京の街並み——建築家として、まちづくりの人間として、このコースは特別だった。普段は車で通り過ぎる場所を、自分の足で踏みしめる感覚。

10〜15kmのラップは29:51。目標ペースを上回っていた。

この区間が最速だったことは、後から記録を見て気づいた。その時は「調子がいい」としか感じていなかった。それが後の伏線になるとは、知る由もなかった。


15〜25km|異変の始まり


15kmを過ぎた頃、右膝に違和感を覚えた。

痛みではない。なんとなく、いつもと違う感触。「まだ大丈夫」と自分に言い聞かせながら、ストレッチを挟みつつ走り続けた。

浅草、スカイツリーが見える景色。沿道の声援が途切れない。こんなにも多くの人が、見知らぬランナーを応援している。その事実だけで、不思議と足が前に出た。

20〜25kmのラップは26:57。データ上は突出して速い数字だが、これは計測ポイント間の距離によるものかもしれない。ただ、この辺りから足の状態と相談しながら走るようになっていた。


25〜30km|崩壊の予兆


30km手前。プレイリストから「走れ」と背中を押すような曲が流れていた。

しかし歌詞とは裏腹に、体が言うことを聞き始めなかった。右膝の違和感が、はっきりとした痛みに変わりつつあった。騙し騙し、立ち止まって膝を伸ばし、また走る。その繰り返し。

25〜30kmのラップは39:46。それまでのペースから大きく落ちた。

「30kmの壁」とはよく言ったものだ。

2週間前の30km走でエネルギー切れを経験し、今回はジェルを潤沢に用意した。補給は問題なかった。問題は、膝と、そしてふくらはぎだった。


30〜42km|歩いた。それでも前へ。


30kmを過ぎ、右腿とふくらはぎがつり始めた。

フルマラソンで足がつる感覚を、初めて経験した。ただ痛いのではない。筋肉が自分の意志とは無関係に収縮し、どうにもならない。立ち止まって伸ばす。少し回復する。また歩く。また走ろうとする。またつる。

その繰り返しだった。

銀座、日本橋——東京の都市空間の核心部を、歩きながら通り過ぎた。悔しかった。設計事務所時代に何度も訪れた場所を、こんな形で通ることになるとは思っていなかった。

でも、不思議と絶望はしなかった。

沿道の声援が続いていた。「頑張れ!」「あと少し!」見知らぬ人たちの言葉が、足を前に出させた。歩いていても、前には進んでいる。42.195kmのゴールは、確実に近づいていた。

ゴール直前、急に道路幅員が狭くなる

ゴール|5:13:36


40kmを過ぎた。プレイリストから、高い壁を登ることを歌った曲が流れていた。

ゴール直前、コースの道が急に狭くなり応援の観客との距離が近くなる。流石に、足の痛さよりそこで歩く恥ずかしさが勝り、不思議と走れた。足がつっていても、膝が痛くても、最後の1キロは走り切った。

ネットタイム:5:13:36。

サブ4には遠く及ばない。目標には届かなかった。

でも、完走した。

ひとりなので自撮り


初フルマラソン、42.195km。アラフィフのタウンアーキテクトが、東京の街を走り抜けた。

今見ると悔しさが残る

あなたが「もう無理だ」と思った瞬間、何が背中を押してくれましたか?

次は、⑤『東京を走ると街が見える』へ続く。

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