四半世紀ぶりにテニスを再開した|アラフィフからの生涯スポーツとして勧める理由【動事008】
動事008|身体と脳に、テニスが効く。
アガシとサンプラスが激突し、グラフとヒンギスが世界を席巻していた頃、私はラケットを握っていた。
テニスは、アラフィフから始めるのに最適なスポーツだ。
3年前、四半世紀ぶりにテニスコートに立った。
25年ぶりのラケット。身体は、想像以上に覚えていた。そして今、土曜日の朝はテニスから始まる生活が定着している。妻と息子も入会させた。
なぜ今、テニスなのか。そこには、科学的な理由がある。
テニスとの出会い
中学・高校とテニス部に所属していた。大学はサークルで軽く続けた。
あの頃、テニスは熱かった。アガシとサンプラスがグランドスラムを分け合い、グラフが圧倒的な強さで君臨し、10代のヒンギスが彗星のように現れた。世界のコートで繰り広げられるドラマを、中高生だった私はテレビで食い入るように見ていた。日本でも松岡修造がウィンブルドンでベスト8に入り、伊達公子が世界4位まで駆け上がった時代だ。
正直、学業中心で部活は体作り目的だった。競技性にこだわりはなく、ストイックな練習もしていなかった。強豪校でもなく指導者もいない環境で、基礎が出来ていないまま、ただ楽しみながらやっていた。
それが良かったのかもしれない。テニスが「楽しいもの」として記憶に残ったから、25年後に戻ってこられた。
四半世紀ぶりの復活
3年前、テニスラウンジに入会した。
理由はシンプルだった。
何歳になっても続けられる健康維持のためのスポーツが欲しかった。
フィットネスジムも検討した。しかし、ジムのトレーニングは脳科学的に単調になりやすい。同じ動作を繰り返すだけでは、脳への刺激が少ない。自分の性格上、単調なことは続かないと判断した。
テニスのようにゲーム性があれば、都度判断が求められる。相手のボールは毎回違う。コースも速さも回転も変わる。考えながら動くから飽きない。そして脳にも良い。この気づきが、テニスを選んだ決め手だった。
マラソンは身体への負担が大きい。筋トレは継続が難しい。その点テニスは、強度を自分で調整でき、仲間と楽しみながら続けられる。生涯スポーツとしての条件を満たしていた。
25年のブランクがあっても、身体は、想像以上に覚えていた。ラケットを握った瞬間、感覚が戻ってきた。脳と身体の記憶は、思った以上に長持ちする。
道具とウェアにも、自分なりのこだわりがある。
ちなみに学生時代のラケットは、アルペンのセールで買ったPrinceのシナジーオーバーサイズだった。サンプラスに憧れながら、手にしていたのは全然違うラケットだった。あの頃の自分に教えてあげたい。
今はWilson Pro Staff 97 v13。初代Pro Staffの佇まいを残す、シンプルなデザインが潔い。学生時代、サンプラスの片手バックハンドに憧れて、フォームまで真似した。当時のモデルそのものではなく、その面影を持つ一本を、25年越しにようやく手にした。ウェアとシューズはナイキで統一している。アガシとサンプラス——あの頃のヒーローたちが纏っていたブランドを、アラフィフになった今も身につける。テニスバッグはSettinを愛用している。テニス再開と同時に注目し始めたブランドで、コートに立つ自分のテンションを上げてくれる存在だ。
道具やウェアへのこだわりは、単なるファッションではない。青春時代のヒーローたちとの記憶を、身体ごと呼び起こす装置だと思っている。
アラフィフにテニスを勧める理由
① 認知症リスクを38%下げる
週3回以上の運動習慣を持っていた高齢者は、そうでない高齢者と比べて認知症になるリスクがハザード比で0.62に減少したという研究がある。約38%の低下だ。
テニスは視覚処理、注意力、決断力など複数の認知機能を同時に使う。特に高齢者において、認知機能の低下を遅らせる効果があるとされている。
② 脳の神経可塑性を高める
テニスのような複雑なスポーツは、脳の神経回路を強化し、神経可塑性を促進する。相手のボールを読み、瞬時に判断し、身体を動かす。この一連の動作が脳全体を刺激する。
ランニングや水泳と違い、「考えながら動く」という点がテニスの最大の特徴だ。
③ 幸せホルモンが分泌される
定期的なテニスは、エンドルフィンやセロトニンといった「幸せホルモン」の分泌を促進する。ストレスホルモンであるコルチゾールを低下させ、気分が向上し、精神的なリフレッシュが図られる。
仕事や育児のストレスを、土曜日の朝のテニスでリセットする。この習慣が、週全体のコンディションを整えてくれている。
屋内テニスラウンジという選択
私が通うのは屋内のテニスラウンジだ。
天候に左右されない。夏も空調が効いていて直射日光を避けられる。これが継続の鍵だと思っている。
「雨だから行かない」「暑いから行かない」という言い訳が生まれない環境を選ぶことが、習慣化の最大のコツだ。
家族を巻き込む
妻と息子も入会させた。
家族でテニスができる環境は、スポーツの継続をさらに強固にする。週末の朝をテニスで始める習慣が、家族の共通の時間になっている。
始めるなら今だ
10代に活動量が低くても、その後に活動量が高まっている人では、活動量が低いままの人よりも認知機能障害のリスクは低かった。始めるのに遅すぎることはない。ただし、始めるなら早い方がいい。
アガシとサンプラスが激突し、グラフとヒンギスが世界を席巻していたあの頃からラケットを握り続けている人も、25年ぶりに再開した人も、今日初めてコートに立つ人も——テニスは、何歳からでも始められる生涯スポーツだ。
ラケットを握る理由は、もう十分にある。あとはコートに立つだけだ。
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