STAR WARSマンダロリアン アンド グローグーは、郊外で観ろ。|家族映画館論【芸事002】
1999年、まだ恋人だった妻と『STAR WARS エピソード1 | ファントム・メナス』を観た。あれから26年。今度は子どもたちと、郊外ショッピングセンターの映画館で『マンダロリアン アンド グローグー』を観た。スターウォーズは、私の人生の時間軸を静かに刻んでいる。
郊外の映画館は不便だ、という思い込みがある。都心のシネコンの方が設備が良く、アクセスも良いという都市派の常識。私もどこかでそう思っていた。だが、プライムツリー赤池のTOHOシネマズで家族と過ごした日曜の夜は、その常識をあっさり塗り替えた。
30年分のスターウォーズ
私とスターウォーズの付き合いは、生まれる前から始まっている。エピソード4の公開は1977年、私が生まれた前の年だ。リアルタイムではないが、高校時代にデジタルリマスター版が劇場公開され、初めてスクリーンで体験した。
同じ頃、ファッション誌でデザイナーのNIGOさんが自室にスターウォーズのフィギュアをディスプレイしている写真を見た。オタク気質の高校生だった私には衝撃だった。カッコいい大人が、フィギュアを「インテリア」として部屋に飾っている。週末は大須へ足を運び、フィギュアを買い集めた。ヴィレッジヴァンガードでは初期三部作のポスターも手に入れた。大学進学と同時に始めた一人暮らしの部屋で、その世界観を再現した。
1999年、エピソード1の公開。まだ恋人だった妻と映画館で観た。その後、デアゴスティーニのR2-D2(1/2スケール)を週刊誌を集めながら自作した。息子が幼い頃はレゴスターウォーズでジオラマを一緒に作り、5歳のクリスマスにはヨーダのフィギュアをおねだりされた。スターウォーズ教育は、成功した。ちなみに実家の犬の名前は、ルークという。
そして2025年、子どもたちとプライムツリー赤池へ。
郊外ショッピングセンターの映画館を解剖する
八事の自宅から車でドアツードア約20分。都心のミッドランドスクエアシネマへ向かうより、駐車場を探す手間も時間も圧倒的に少ない。家族連れにとって、これは決定的な差だ。
プライムツリー赤池は、名古屋市と日進市の境界付近、地下鉄鶴舞線・豊田線の終点・赤池駅に直結した郊外型ショッピングセンターだ。TOHOシネマズは4階に入居している。
この映画館の動線設計が秀逸だ。立体駐車場から映画館エントランスへ、ほぼ直結で到達できる独立した入口がある。チケットは事前にネットで購入しておけば、入場はQRコードをかざすだけ。駐車して、エレベーターを降りて、そのままスクリーンへ。余分な待機も館内回遊も発生しない。ドアツーシート、20分かもしれない。
さらに、4階の映画館からエスカレーターを一つ下りると、3階のフードコートが目の前に広がる。映画の前に軽く食事をして、そのままスクリーンへ。この時短導線は、子連れの家族にとって現実的な価値がある。都心の映画館で同じことをしようとすれば、館外のレストランを探し、並び、時間を読み誤るリスクがある。
5スクリーンで分散した、贅沢な孤独
公開3日目の日曜夜、マンダロリアン&グローグーは5スクリーンで同時上映されていた。ドルビー、IMAX、IMAX 3D、通常上映、字幕、吹き替えと、バリエーションを揃えた結果、観客が分散した。私たちのスクリーンの入りは10%にも満たなかった。

映画館側からすれば、決して喜ばしい数字ではないだろう。だが観客としては、広いスクリーンをほぼ貸し切りで、好きな席で、子どもたちと肩を並べて観る体験は、ある種の贅沢だった。スクリーンの「密度」より、体験の「余白」に価値がある場合がある。
コンテンツが都市を動かす
我が家には夢がある。フロリダのウォルト・ディズニー・ワールドへ行き、スターウォーズ:ギャラクシーズ・エッジで自分だけのライトセーバーを作ること。
これは単なる旅行の話ではない。一つのコンテンツが、名古屋圏の郊外SCにある小さなスクリーンから、地球の裏側のテーマパークまで、人を動かす力を持っているという話だ。
どんな都市インフラも、これほど強力な「移動の動機」を生み出すことはできない。スターウォーズという作品の力は、赤池の映画館を、フロリダへの旅への入口にしてしまう。タウンアーキテクトとして、コンテンツの都市的引力には、建物や交通インフラとは異なる次元の力があると感じる。
まちの映画館という選択
都心か郊外か、という二項対立で映画館を語る時代は終わっている。問うべきは「誰と、どんな体験をしたいか」だ。
家族と、時間を効率よく使いながら、好きな作品を余裕のある空間で観たい。その答えが、八事から20分の郊外SCだった日曜の夜を、私は正解だったと思っている。
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