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【不登校】⑤娘が初めて「ここに一人で残りたい」と言った日


今回の記事は続きになります。

前回↓

小学校一年生、不登校の娘にとって、新しい居場所になりそうな場所が見つかりました。

近所の小さな地域センターです。

子どもの居場所づくりや定期的な自習支援、遊びのイベントなどを行っていていることを、保育園時代のママ友と話していた時に偶然教えてもらいました。

しかも、保護者はパソコンを持ち込んで仕事をしても大丈夫とのこと。

フリーランスで仕事をしている私にとっては、本当にありがたい環境です。

上記の保育園時代のお友達も定期的に利用していて、一緒に遊べることも娘にとって安心材料になりました。

建物は駅から離れた3LDKほどの一軒家。

利用者も少人数なので、人が多い場所が苦手な娘にも合っていたようです。

「ここなら通えるかも…」
娘が自分からそう言ってくれたので、この2週間ほどはできるだけ通っています。

地域のおばあちゃんとお昼を食べたり、未就学児のちびっこたちとおままごとをしたり、放課後の小学生のお兄さんお姉さんたちとカードゲームをしたり。

少しずつスタッフの方とも打ち解け、ほかの子どもたちとも自然に遊べるようになってきました。


そんな中、小さな出来事がありました。

昼ご飯のお弁当をセンターで食べたあと、1時間ほど遊んで帰る予定でした。

ところが、帰る時間になっても娘は何となく帰りたくなさそうな様子。

「また来るから今日は帰ろうか」

そう声をかけると、娘がぽつりと言いました。

「一人でここに残ろうかな……」

その瞬間、私は心の中で飛び上がるほど嬉しくなりました。

不登校になってから、親と離れて行動する機会はほとんどなかったからです。

でも、あえて顔には出さず、「じゃあ、もう少し一人でいたらいいじゃない!」とはいわないようにしました。

きっと同じような境遇の親御さんなら、そう背中を押したくなる気持ちを分かっていただけると思います。

でも、娘はこれまで、人に合わせたり、周囲の期待を優先したりすることが多い子でした。

不登校になっているのも、小学生としての期待に頑張りすぎてしまったのが原因です。

ここで私が強く勧めてしまったら、「お父さんがそう望んでいるから残る」という選択になってしまうかもしれない。

それでは、「自分がここにいたいからいる」という、一番大切な気持ちが薄れてしまうと思ったのです。

だから私は、

「残ってもいいし、一緒に帰ってもいいよ。どっちでも大丈夫」

と伝えました。

娘は長い時間、考えていました。

「残りたい……」

「でも、お父さんと一緒にいたい……」

「まだ遊びたい……」

「でも帰りたい……」

バイバイ、と手を振りかけ、でもその手ですぐに私の手をつかみ、やっぱりまた手を放す。

気持ちが何度も揺れ動いているのが伝わってきました。

親としては、「じゃあこうしよう」と結論を出したくなります。

迷っている娘を見ているのは、思っていた以上に辛抱が必要でした。

それでも私は、結論を急がず待つことにしました。

娘自身が、自分で決める時間を大切にしたかったからです。

そして最後に、娘は自分でこう決めました。

「一人で残る。」

スタッフの方にお願いして、私は先に帰ることにしました。


帰り道、一人で歩きながら、胸がいっぱいになりました。

すぐに妻にLINEを送りました。

妻からは「嬉しくて泣きそう」と返事が返ってきました。

不登校になってから初めて。

いや、もしかしたら生まれて初めてかもしれません。

娘が、自宅でも友達の家でもない「公共の場所」に、誰の指図を受けるでもなく、自分の意思で「ここにいたい」と言ったのです。

学校へ行けるようになったとか、勉強ができるようになったとか、そんな分かりやすい変化ではありません。

でも、私たち家族にとっては、それ以上に大きな一歩だと思っています。


不登校になると、つい「学校へ戻ること」がゴールのように考えてしまいます。

でも、本当に大切なのは、「自分で選ぶ力」を少しずつ取り戻していくことだと思います。

安心できる場所を見つけ、自分の意思でそこへ向かい、自分の意思で「ここにいたい」と決める。

この日に見せてくれた娘の姿は、その第一歩だったように思います。

そして親である私は、その一歩を急かすのではなく、隣で静かに見守れる人でありたいと思います。

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