「お薬手帳、写真で持ってきます」と言われた日の話
X(旧Twitter)でこんな投稿をした。
「お薬手帳、お持ちですか?」
「持ってきた!」
……スマホのカメラロールを開いてくれた。
ありがとうございます、確かにこれも一つの進化。
▼元の投稿はこちら
https://x.com/iyaku_labo/status/2067216940783857768?s=20
フィクションだが、薬剤師なら似たような場面を経験したことがあると思う。
こちらはお薬手帳本体を想像している。
患者さんは「薬の情報を持ってきた」という意味でスマホを出している。
このズレが、なんとも薬局らしい。
「えっ」となる一瞬でもあるし、なんだかほほえましくもある。
同時に「ちゃんと持ってこようとしてくれたんだ」とも感じる。
今日はそのあるあるから、お薬手帳の話を少し深掘りしてみたい。
「なぜお薬手帳が大事か」患者さんへの説明で使えるポイント
薬局での「お薬手帳をお持ちですか?」には、いくつかの理由がある。
薬局にいた頃、患者さんにはこんなふうに話していた。
今でも使える言い回しだと思う。
■「飲み合わせを確認させてください」
複数の病院から薬をもらっている場合、組み合わせが問題になることがある。
手帳があれば全体を見渡して確認できる。
「他の病院の薬も確認させてもらえますか?」という一言が言いやすくなる。
■「副作用やアレルギーの記録ができますよ」
「以前この薬で発疹が出た」という情報は、他の医療機関と共有されないことが多い。
手帳にその記録があれば、同じ系統の薬を出す前に確認できる。
患者さんが覚えていなくても、手帳が覚えてくれている。
■「救急のときに役立ちます」
意識がない状態で搬送されたとき、何の薬を飲んでいるかの手がかりになることがある。
本人が話せないときでも、手帳が薬の情報を伝えてくれる。
この話をすると患者さんの表情が変わることが多い。
紙・アプリ・カメラロール、薬剤師として何を勧めるか
「どれが一番いいですか?」と聞かれたときの答え:
理想は、紙の手帳+アプリの両持ちだと思っている。
ただ、まずは一か所に情報を集めておくことが大事で、続けやすい形から始めるのが一番だ。
紙の手帳
薬局でシールを貼るたびに、自動的に記録が積み上がる。
副作用歴やアレルギー情報も、薬剤師や医師が記載してくれる。
「持っているだけで情報が蓄積される」という受動的な強みがあり、信頼性は最も高い。
弱点は紛失リスク。
バッグを替えた、たまたま忘れた、それだけで持ってこられなくなる。
お薬手帳アプリ
スマホを持ち歩けば自然と携帯できる。
クラウドでバックアップされているので紛失しても安心で、紙の弱点を補える。
ただ副作用歴やアレルギー情報は自分で追記しないと反映されない。
紙と違い、何もしなくても情報が積み上がるわけではない。
使いこなせている方なら紙に匹敵するが、そこが分かれ目になる。
カメラロール(写真)
おそらく手帳のシールを撮影したもの、というケースが多いと思う。
「撮っておいた」という気持ちは嬉しい。だから私はこう返す。
「写真でも助かります。ありがとうございます。ただ、これが一番新しい内容かだけ一緒に確認させてくださいね」
ただ「いつ撮ったものか」「副作用歴の記録がない」という点では、紙やアプリと同じ役割を果たすのは難しい。
写真は「手がかり」としては使えるが、手帳そのものの代わりにはなりにくい。
これからは、アプリも「本当の意味での手帳」になれる
薬局に来る患者さんの多くは、まだ高齢の方が中心だ。
でも最近、スマホを自然に使いこなしている方の年齢層が、確実に上がってきていると感じる。
今後、アプリが副作用歴・アレルギーも含めた本当の意味でのお薬手帳として機能するようになれば、紙と同等以上の役割を果たせるようになると思っている。
そういう未来は、もう少し先ではないかもしれない。
それでも、持ってきてくれることが一番大事
カメラロールを開いてくれたあの患者さんに、私は「ありがとうございます」と言った。
それは本心だ。
紙でも、アプリでも、写真でも。「持ってきてくれた」という気持ちに薬剤師は助かっている。
そこからまた会話が始まる。
現場のみなさんも、似たような場面、ありませんか?
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所長|薬剤師の医薬研究所
薬剤師目線で、薬局・転職・業界の話を書いています。
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※本記事は薬剤師の個人的な見解です。服薬・薬の管理に関する具体的なご相談は、かかりつけの薬剤師または医師にご相談ください。
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