海の沈黙、静寂の中に響く真実 - そして、永遠に続く美しさ
倉本聰さんの作品は、いつも心に深く響くものばかり。今回は年齢的にも最後の作品になるのでは… と、感慨深く劇場へ向かった。「北の国から」、「昨日、悲別で」、「やすらぎの郷」などなど今でも記憶に残るドラマ、映画だった。
映画館に到着する。他のアニメの映画など人がいっぱい、ポップコーンを買う子供連れなど、、、
今回見る映画は「海の沈黙」。
海の沈黙上映スクリーンは思いもよらず客席はガラガラだった。少し寂しい気もするが、逆にじっくりと観れる。
分からない人、興味ない人には見てもらわなくて良い。そんな感じがした。
静かな空間で映画に没頭したいと思う自分には良い雰囲気だった。
映画の解釈は人それぞれだが、「海の沈黙」は"贋作"を巡るストーリーを通して本物の美とは何かを世の中に問いかけてくるものだった。
贋作(オリジナルとは別の作者によって制作され、本物の作者の名を騙って流通する美術品)という言葉自体、初めて知ったのだが、作品を通して、美しさの本質について深く考えさせられた。
富や名声に囚われず、ただ純粋に美を追求し、最後は描きあげて死んでいく主人公の姿に、自分の仕事や生き方を重ねてしまう。
長年、会社員をやってきて人たちは終盤に何を思うだろう?
同じく自分も人生の答え合わせの時期に入ってきた。
主人公が最後の力を振り絞って血を吐いてまで完成させた絵。それは、彼の魂が込められた、まさに究極の美しさと言える作品を描き終える最後。
主人公が、絵を描き終え、静かに息を引き取るシーンは、彼の生き様、そして、彼が追い求めた美しさ、全てがそこに凝縮されているように感じる。
きっと同様に皆んな考える。組織、会社員、それ以外でも人生の終わりには何か大切なものを残せるだろうか。
そしてそれは偽りのない物だったのだろうかと。
映画が終わる、最後のエンディングが流れ終わるまで余韻に浸り、映画館を出るのも惜しい。
今や映画館にはショッピングモールが併設されている。せっかくの余韻を台無しには出来ない。寄り道せずそっと後にした。
クルマを出す。このクルマTTの魂は何なのか。デザイン、性能は優れていても、旧車になり不人気で見かけないこのクルマ。デザイナーや開発者にはかなりの想いが込められていただろう。
不人気でも良いものは良い。時代を超えて愛される美しさの追求がある。分かる人が乗ればいいのだ。
転売目的で売買されるクルマ達はどこか可哀想にも思える。
「海の沈黙」は、静寂の中に、真実と美しさが光る、そんな印象深い作品。そして、主人公が描き上げた絵は、彼の魂が永遠に生き続ける証しだ。
これからの生き方は真実との答え合わせになりそうだ。
(終わり)
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