【セルフ・キャリアドック実践事例②】社員の自立と組織を繋ぐキャリア支援の仕組み
シュウです。
8月14日、金曜日。
先週からお届けしている実際の導入事例ベースのセルフ・キャリアドックシリーズ。
現在、キャリアコンサルタントは全国に約8.6万人いますが、直近1年間(1年間で)キャリアコンサルティングを受けたことがある労働者の割合は約 10.5% (正社員では13.5%、正社員以外では5.1%)です。
キャリアコンサルティング経験者にキャリアコンサルティングの有用度をたずねた結果、約6割の方が相談したことにより「キャリアや職業生活が変化したと回答」。
これらの結果からわかる様に、労働者にとってキャリアコンサルティングの経験は、有用でありかがらもまだまだ身近なものになっていません。
そんな中で、会社の中に「セルフ・キャリアドック」は、一気に多くの方に、キャリアコンサルティングの機会に繋がる素晴らしい制度になります。
導入するには難しい問題もあると思いますが、様々な実例を見ながら、この「セルフ・キャリアドック」の制度をどの様に導入していったのか、またその効果などについて、皆さんと見ていきたいと思います。
第2回となる本日は、大阪府の化学製造業・共栄社化学株式会社の取り組みをご紹介します。
「社員一人ひとりが自立して働くことが、会社の成長を支える」という強い信念のもと、試行導入から本格展開へと歩みを進めた同社のリアルな軌跡を紐解いていきましょう。
1. 導入の背景:「キャリアカウンセリング室」の発足と模索
共栄社化学は、金属化学品や機能性化学品、塗料添加剤などを手掛ける、1904年創業の歴史ある化学製造業です。
同社では、社員一人ひとりのキャリアを支援することが組織の成長につながるという考えから、2019年に「キャリアカウンセリング室」を発足させました。
しかし、立ち上げたものの具体的な取り組み方について手探りの状態が続いていました。
そんな中、当時のキャリア形成サポートセンターの事業チラシをきっかけに専門機関へ相談し、セルフ・キャリアドックの導入検討をスタートさせます。
定期的なキャリアコンサルティングを通じて、社員が自己理解を深め、目的意識ややりがいを持って働ける環境をつくること。
それが結果として会社の成長を支える力になるというビジョンが、同社の原点でした。
2. 入社6年目社員を対象にした「試行導入」の工夫
まずは手始めとして、2020年に入社6年目社員12名を対象とした試行導入が実施されました。
なぜ入社6年目なのか?
入社3年目まではフォローアップ研修があるものの4年目以降は途切れてしまうこと、また、仕事に慣れて周囲の環境も変わり始めるこの時期にこそ、一度立ち止まって今後のキャリアを考える機会が必要だと判断したためです。
不安や疑問を解消する丁寧なステップ
突然の取り組みに戸惑いや疑問の声が上がったため、研修の前にガイダンスセミナーを実施。対象者の上司にもオブザーブ参加してもらい、セルフ・キャリアドックの意義を丁寧に共有しました。
自己理解を深めるワーク
キャリア研修では、ジョブ・カードやライフラインチャートを活用してこれまでの経験を振り返り、参加者同士のグループ対話を通じて自分の強みや価値観を整理していきました。
この丁寧なアプローチにより、日々の業務に追われて立ち止まる余裕のなかった社員たちから、
「意識していなかった強みに気づき、仕事に活かしたい」
「新たな自分を発見できて自信につながった」
といった前向きな声が数多く寄せられました。
3. 本格導入への拡大と「キャリアデザインシート」の活用
2020年の試行を経て、同社は2021年にセルフ・キャリアドックの本格導入へと移行し、名称も「キャリアサポート室」へと改めました。
その後は対象層を段階的に広げ、2022年には管理職前のランクになってから2年目の社員まで拡大。
2023年以降は、入社6年目と管理職候補の社員を対象に、研修とカウンセリングを継続的に実施しています。
さらに、取り組みを深化させるために導入されたのが「キャリアデザインシート」です。
① 研修受講時に、5〜10年後のありたい姿や直近1年の行動プランをシートに記入。
② そのシートを本人・上司・キャリアサポート室(キャリアコンサルタント)の三者で共有。
③ 研修後の個別面談や日々のマネジメントに連動させることで、単発のイベントで終わらせず、継続的な支援の土台として機能させています。
4. 社員の意識変化と社内コミュニケーションの活性化
こうした一連の取り組みは、組織に素晴らしい相乗効果をもたらしています。
個人の意識変革
「何となく仕事をしていたが、目的意識を持つようになった」「自信を失いかけた時に自分の持ち味を振り返り直せる拠り所ができた」というように、主体的に働く姿勢が育まれています。
横のつながりの強化
研修を通じて他部署の仕事を知る機会が生まれ、「協力体制が取りやすくなった」「仕事がしやすくなった」と、社内コミュニケーションの促進や一体感の醸成につながっています。
地道な継続が、自律型人材を育てる
セルフ・キャリアドックの効果は、一朝一夕ですぐに見えるものではありません。
だからこそ、地道に継続し、従業員一人ひとりにその意義が浸透していくことで、確実な定着と組織の発展につながっていくことが、今回の事例でしっかりと理解できました。
社員が自分の持ち味や展望を明確にし、自律的にキャリアを描いていく。
その自立心の積み重ねこそが、強い組織を作る最良の近道なのだと教えてくれる素晴らしい事例でした!
更に詳しく知りたい方は以下のサイトからご確認下さい。
今日も最後まで読んで頂きありがとうございました。
