【進化思考×米】コシヒカリの先へ—在来種「銀坊主」とマリアージュが拓く新しい食
話し手:山田崇さん(nanoda代表 / 信州大学キャリア教育・サポートセンター)
ゲスト:菅井慎吾さん(NOTO Naorai株式会社/中能登町)、吉竹華乃さん(信州大学繊維学部3年/オンラインかばん持ち)
書き手:山田崇
日時:2026年5月1日(金)午前6時30分から7時10分まで
Check In
山田崇さん:
はい。では山田孝ラジオをスタートしていきたいと思います。パーソナリティの山田崇です。本日もオンラインかばん持ちの吉竹華乃さん、よろしくお願いします。
吉竹華乃さん:
よろしくお願いします。
山田崇さん:
おはようございます。菅井慎吾さん、今日ゲストにお越しいただいてます。菅井さん、おはようございます。よろしくお願いいたします。
菅井慎吾さん:
よろしくお願いいたします。おはようございます。
山田崇さん:
最初に菅井さんから自己紹介をお願いします。
菅井慎吾さん:
今、私は石川県の鹿島郡中能登町に住んでいます。能登半島の中腹部で、七尾や羽咋に挟まれた地域です。NOTO Naoraiという会社で、日本酒を蒸留したスピリッツ「浄酎」を生産・販売しています。今回の2026年1月期「進化の学校」は、「浄酎」のボトルデザインをしていただいた太刀川英輔さんのご紹介で参加しました。
進化思考との出会いと学び
山田崇さん:
進化の学校に参加してみてどうでしたか?
菅井慎吾さん:
日曜朝7時から頭をフル回転させるのがまず新鮮でした。実際に学んでみて、イノベーションの法則、創造性ってかなり完成形に近いものなんだなと感じました。大学時代にイノベーション創出のカードゲームを作っていたんですが、そのときは掛け合わせ中心でした。でも進化思考は足し算だけじゃなくて引き算や極端化など、多様な発想ができる。無限通りの考え方があると実感しました。
山田崇さん:
シュンペーターの新結合の考え方ともつながりますよね。
菅井慎吾さん:
はい、まさにそれです。
テーマは「お米」
山田崇さん:
今回の進化の学校でのテーマは何にされたんですか?
菅井慎吾さん:
お米です。最初はお酒でしたが、もっと自分にしっくりくるテーマとして選びました。中能登に来てから農家さんの手伝いをしていて、実体験があったので。
山田崇さん:
お米って難しくなかったですか?
菅井慎吾さん:
めちゃくちゃ難しいです。深掘るほど終わらない。生産、加工、流通、用途と全部つながっていて、どこに焦点を当てるか悩みました。
在来種との出会い
山田崇さん:
最終的にどこに着目したんですか?
菅井慎吾さん:
お米の品種です。特に在来種との出会いが衝撃でした。コシヒカリしか知らなかったんですが、昔の品種を食べたら、おかずが美味しくなるんです。漬物や味噌汁がすごく美味しく感じました。
山田崇さん:
それは面白いですね。
菅井慎吾さん:
あと品種によっては、GI値が低くて、食後に眠くならないんです。今食べているのは日本晴れや銀坊主という品種です。
山田崇さん:
銀坊主ってすごい名前ですね。
菅井慎吾さん:
銀坊主は明治時代の品種で、すごくあっさりしていて食べやすい。コシヒカリだとそこまで量が食べられなかったのに、銀坊主に変えたら、一食で一合食べられるぐらいになりました。
お米は“単体”ではなく“関係性”で考える
菅井慎吾さん:
進化思考を受講、ワークする中で、お米の生態や歴史を調べていくと、さらに面白いことが見えてきました。例えば、銀坊主のような品種って、そもそも漬物と一緒に食べることを前提に作られていた可能性があるんですよね。当時の食文化の中で、どういう役割を持っていたのかを考えると、単に「美味しいお米」というよりも、「食事全体の中でどう機能するか」という視点で設計されていたんじゃないかと思えてきます。
そう考えると、今のコシヒカリ中心の価値観って、「お米単体で美味しいこと」に寄りすぎているのかもしれないなとも感じました。もちろんそれはそれで素晴らしい進化なんですけど、その結果として、食事全体のバランスや、多様な品種の存在が見えにくくなっている側面もあるんじゃないかと。
だからこそ、自分は今回「品種」という切り口で、お米の価値をもう一度再定義したいと思いました。料理との組み合わせ、いわゆるマリアージュの観点で考えたときに、品種ごとに役割が違うという世界がもっと広がっていくんじゃないかと感じています。
お米とマリアージュ
山田崇さん:
コシヒカリは単体で美味しいですが、そこじゃない価値に注目しているのが面白いですね。
菅井慎吾さん:
そうなんです。食事はご飯単体じゃなくて、おかずとの組み合わせです。だからお米もマリアージュで考えるべきだと思いました。
山田崇さん:
ワインと料理の関係に近いですね。
菅井慎吾さん:
はい。お米にも多様性があると、新しい食体験が生まれると思います。
家庭にあるお米はなぜ一種類なのか
山田崇さん:
家にあるお米って一種類ですよね。本当は複数あってもいいはずなのに。
菅井慎吾さん:
確かにそうですね。
山田崇さん:
パンにはバターやジャムがあるのに、お米は一種類。炊飯器が複数同時に炊ければ変わるかもしれないですね。
菅井慎吾さん:
それは面白いですね。普及にもつながります。
Check Out
吉竹華乃さん:
お米は身近だけど知らないことが多いと感じました。以前いろんな品種の詰め合わせを食べたことがあって、確かに味が違いました。ただ保管や炊飯の課題もあるので、そこが解決すると面白いと思いました。
山田崇さん:
同時に複数炊ける炊飯器があれば、お米の多様性が広がると思いました。それとネーミングも重要ですね。コシヒカリは美味しそうですが、銀坊主はちょっと躊躇する。この違いは大きいです。
菅井慎吾さん:
今感じていることをお話しすると、やっぱり一番は「知ってもらうことの重要性」です。今回自分が体験してきたように、お米って本当に多様で、品種によって全然違う特徴があるんですけど、それがほとんど知られていない。コシヒカリ一択みたいな状態になっているのは、すごくもったいないなと思っています。
例えば、朝日とか巾着とか、農林番号で呼ばれる品種とか、本当にキリがないぐらい種類があるんですよね。それぞれに歴史があって、背景があって、役割がある。そういうものを知っていくことで、食の楽しみ方そのものが変わると思うんです。
さらに言うと、料理との組み合わせという視点が入ってくると、単に「美味しいお米」ではなく、「この料理にはこのお米」という発想が生まれてきます。そうなると、和食の体験そのものが変わってくる可能性がある。ガストロノミーの文脈でも、お米の役割はもっと広がるんじゃないかと感じています。
そして将来的には、こうした在来種の特徴を活かしながら、現代の課題に対応した新しい品種が生まれていくといいなと思っています。例えば、病気に強いとか、より健康に寄与するとか、特定の料理と相性がいいとか。そういった多様な価値を持つお米が増えていけば、日本の食文化自体がさらに豊かになるんじゃないかと。
自分自身としては、農家ではない立場だからこそできることもあると思っていて、例えば今回話に出たような炊飯器のアイデアだったり、品種の魅力を伝える仕組みづくりだったり、そういうところに関わっていけたら面白いなと思いました。
山田崇さん:
今日はありがとうございました。ではみなさん、良い金曜日をお過ごしください。
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