『EXPO 2025 大阪・関西万博』イタリアパビリオン
西ゲート入場で得したことが三つあります。
朝九時の入場ですぐに荷物検査が終了したこと。二つ目は空いているうちにガンダムの写真が撮れたこと。最後の一つはイタリアパビリオンに出会えたことです。もし東ゲートからの入場だったら私はアメリカかフランスパビリオンの列に並んでいたと思います。
入場者って東と西で全然異なる動向をしていると思うんです。見かけたら食べようと思っていた不二家のワンハンドショートケーキ。東ゲートの近くだったので結局食べず終いとなりました。行きも帰りも西ゲートだったので立ち寄る機会がありませんでした。
行きたいパビリオンによってはあえて東ゲートから入場するのは全然アリです。下調べをまったくしてこなかった私が言うのもなんですけど東西の景色はまるで違うので一回限りしか万博へ行かない方は慎重に検討してみてください。
Ⅱ.イタリアパビリオン
「開催四日目」
待ち時間:2分(予約なし)
鑑賞時間:25分ほど
コロッセオエリア
海外は我が強すぎて
日本万博協会の予約システムを
取り入れているところがすくない
先週火曜日のABC放送『おかえり』という番組で万博担当記者の方が予約システムについてこう仰っていました。予約をまったくしていなかった私はそれなら海外パビリオンを中心に見ていこうと決断。
なにげなく目に入ったイタリアパビリオンの列に並びました。左隣のベルギーパビリオンも気になったのですが、開催四日目午前9時30分時点ではイタリアパビリオンのほうが空いていたんですよ。大きな話題となった今ではとても信じられないことです。
海外のご家族がスタッフにスマホ画面を見せているのを少し覗き見をしたところ見慣れない画面が映っていました。やはり万博担当記者が仰られていたように海外パビリオンは独自の予約システムで管理しているようでした。今更そこから予約を取ったところで時間と手間がかかるだけだと判断した私はそのまま"No reservation"の列に並びました。
私の前には十人ほど並んでいました。スタッフの方から「大きなカバンを持っている人は前方に抱えてください」という指示があったので鞄を抱えて入館しました。このような注意を受けたのはたしか妙蓮寺を見学したとき以来です。
新涼の京都観光「妙蓮寺」方丈表書院
|ヤマダナガヲ / 観光記
『航空宇宙、社会、人間』この三つがテーマになっているイタリアパビリオン。ビンテージトランクなどの大航海時代の展示物が比較的多かったのはおそらく航空宇宙へつなげるためだったのでしょうね。
コロッセオを模したパビリオンの外観も大変素晴らしかったですが、私が一番印象に残ったのは入口のすぐ近くに置かれていたデルタ多面体でした。それぞれの三角形にイタリアの紹介映像が流れていてカッコいいと思いました。なかなか三角形の画面ってありませんからね。映像の中身は正直よくわかりませんでしたけれどデザイン性がとても秀逸でした。
展示物を一通り見たあと、コロッセオの客席のようなシアター室に案内される私。立ったまま見るパビリオンが多い中、イタリアパビリオンでは素晴らしい座席が用意されていたのです。ニトリのソファを思い浮かべるとイメージしやすいと思います。座席数は30席ほどだったので予約なしだと長時間外で待たさせるかもしれません。内容はほとんど覚えていません。たしか映像でも大航海時代の映像が流れていた気がします。
美しい映像がすべて流れたあと私は驚愕しました。なんとスクリーンが四つに割れて次の展示スペースが出現したのです。
アトラスエリア
エリア名は皆様に伝わりやすいように私が勝手に名付けました。
四分割したスクリーンの奥にそびえていたのが古代ローマ時代の世界的な文化遺産として知られる「ファルネーゼのアトラス」像だったのでアトラスエリアとしました。
多くの人が像に注目する中、私は落ち着いて撮影したかったので端の展示物から見ていくことにしました。まずは2026年に開かれるミラノオリンピックの聖火リレートーチをパシャリ。黒を貴重とする展示スペースで青色と金色のメタリックが輝いていました。来年開かれる冬季オリンピックはイタリアで開催されるのですね。
次にみたのは中世の衣装を纏う謎の人物。よくわからなかったので一枚しか撮影しませんでした。調べてみたらなんと天正遣欧少年使節「伊東マンショ」の肖像でした。日本各地の美術館で展示されたこともあるスゴいものだったので近くで撮るべきでした。
「人間」がテーマということで心臓のモニュメントがたくさんあったのですが、私は臓器系が大の苦手なのですぐに別の展示物へ移動。
再び左手に進むと、彫刻の森美術館で常設作品のウンベルト・ボッチオーニ「空間の中の一つの連続する形」がありました。なんとなくロボットアニメに出てくるような造形で男の子が好きなデザインをしていました。「人間」がテーマということで選ばれたのでしょうね。
さていよいよパビリオン一番の見どころだと言われている『フォルネーゼのアトラス』像の鑑賞です。
局部丸見えじゃん
SNSに投稿したらBANされるのでは?
私が最初に感じたことをそのまま書き出しました。まさか目の前に国宝級文化財が万博で展示されているなんてね。3Dプリンターで出力したレプリカだと思い込んでいましたよ。これが下調べしていなかった者の恐ろしさというやつです。実際に芸術的な価値よりも肉体美ばかり目が釘付けになっていましたからね。日本の国宝はだいたいが経年劣化していて背景を知らなくてもなんとなく時代を感じさせてくれます。一方のアトラス像は状態がとても良かったので本物にみえませんでした。
そういえば警備員の目がすごく厳しくて抱えていたカバンを持ち直した記憶があります。実は記事を書くまで撮影した記憶はありませんでした。「アトラス像がスゴい」とネットで大きな話題になって初めてその価値を知ることとなりました。
ひょっとしてアトラス像を
一枚も撮っていないのでは?
慌てた私は急いで自分の写真を確認しました。これまで京都の文化財を撮ってきた長年の勘が上手く働いたのでしょうね。無意識に正面と横、後ろ姿のアトラス像をしっかり撮影していました。
いやはや。いつも行き当たりばったり旅の多い私ですけれどイタリアパビリオンに至ってはちゃんと事前に情報を仕入れるべきでしたね。そもそも一番最初に入った海外パビリオンだったのでどう展示物を見ていけばいいのかよくわかっていませんでした。アトラス像を背にして次に進んだエリアは下調べをしなくても重要度が伝わる暗室の特別な狭い空間。そこに一枚の絵画が展示されていました。
カラヴァッジョエリア
カラヴァッジョの名の由来はミラノ近郊の小さな村カラヴァッジョが出身だったことから来ています。
ミラノ工房で修行したあと、ローマに出て静物画を描いていました。のちにローマ教会のために宗教がを制作するようになります。主要人物にスポットライトを当てるという手法を生み出したことで彼の作品は大人気となりました。一見順風満帆な画家人生ですが、元はリアリズムを追求する画風であったことから理想を追求するキリスト教会から拒否されることもあったようです。破天荒ぶりは絵だけにとどまらなかったカラヴァッジョはついに殺人事件を起こして死刑判決を受けます。教皇の恩赦を得ようとローマに向かう最中の海岸で彼は死去しました。カラヴァッジョ『キリストの埋葬』はバロック絵画の傑作と呼ばれている一枚です。
参考サイト:キリストの埋葬 カラヴァッジョ 絵画解説
西洋絵画美術館
とまぁリアリズムを追求した絵なので、キリスト教の世界観を多くの人に広められる一方で人間味溢れる描写に不快感を示したキリスト教会関係者は決して少なくありませんでした。宗教関係者の気持ちはすごくわかります。日本の神様がもしこのような描かれ方をすれば今の時代でも激怒する人が出てくるでしょう。
ただ普通の人ではなくキリストの死だからこその清潔感といいますか、神聖な感じがして死の恐怖とか哀しさとか負の感情を不思議と感じませんでした。カラヴァッジョの画風に協力的だった教会関係者がいたのはそういう面があったのかもしれません。
あと、一番注目させたい部分にスポットライトを浴びせる手法を編み出したのはシンプルにスゴいと思いました。海外パビリオンの展示方法の半分ほどはこの手法が用いられていて暗い部屋の展示物に光を集中させることで幻想的な演出を醸し出すことができます。近年はプロジェクトマッピングが主流になっていますけれどバロック絵画のような背景を黒にする演出が廃れたわけではありません。私はどちらかというと後者のほうが好きかも。
レオナルド・ダ・ヴィンチエリア
カラヴァッジョ『キリストの埋葬』は警備員一名ががっつり見張っているという警戒ぶりでしたが、こちらはガラス張りということでめっちゃ気軽に見ることができました。
レオナルド・ダ・ヴィンチの「アトランティックコード」の素描と「アルトゥーロ・フェラリンの飛行機」です。
私はバリバリの文系なのでそのメカニズムを1mmも理解することはできません。しかし16世紀の人物がこれを書いたことのスゴさはわかっているつもりです。日本にも天才はたくさんいますけれど芸術の分野だけでなく科学者としても超一流な人物は存在しません。日本でダ・ヴィンチに一番近い人物といえば現在大河ドラマで放送されている「べらぼう」に出ている平賀源内でしょうか。しかし彼は18世紀の人物です。
なんの前知識もないのにその精密さに驚いたレオナルド・ダ・ヴィンチの描画でした。
奥の展示エリア
「ヴェネツィアの獅子」「黄金の橈漕船」「フェラーリの部品」などたくさんの展示物があったのですが、説明板に日本語の記載はなくQRコードが付されているだけだったので詳しいことは何一つわかりませんでした。でもどれも見応えがあってとても良かったですよ。
イタリアンガーデンエリア
イタリアパビリオンで唯一ガッカリしたのは三階の庭園エリアでした。
個性的なアートの世界で幾何学模様にデザインされた庭園という紹介だったのですが、実際はクネクネと見通しの悪い生け垣の狭間をただ歩くだけ。アートは学生が工作の時間で作ったようなドデカいキャベツが三点配置されているのだけ見ることができました。おそらく大屋根リングからの眺望を意識して作られた庭園だったのでしょう。イタリアンガーデンということで期待していたんですけどもね。
キッチンカーエリア
まだ終わりではありません。
パビリオンの外に出るとホットサンドやピンサを提供しているイタリアのキッチンカーが出展していました。ピンサとはイタリア発祥のピザに似た料理のことです。パビリオン内にある公式レストランだけでなくキッチンカーという形でもグルメが提供されていたのですね。
前回の記事で話したように食べるところは有料フードコートだけではありませんので、いいなと感じた海外パビリオンでお食事をするのも楽しみ方の一つだと思います。かなりお高めの値段ではありますが余裕のある方はぜひ。
Ⅲ.ベルギーパビリオン
「開催四日目」
待ち時間:5分(予約なし)
鑑賞時間:20分
次に向かったのはモノトーンの近代デザインを特徴とするベルギー館。
入口付近に池が配置されていたので逆さに映る大屋根リングが美しく揺らめいていました。九時半時点では長い行列ができていましたが、私が並んだ十時ごろはだいぶ人が減っていて十人程度しか並んでいませんでした。
五分ほど待ったでしょうか。ベルギー人らしきスタッフの人からロータス「ビスコフ」と書かれたクッキーを頂きました。まさか食べ物を貰えるなんて思ってもみなかったのでめっちゃ喜ぶ私。のちに物販コーナーでそれが販売されていたのを見てガッカリしました。あぁ試食品だったのね。
ベルギーは水の三態「固体」「気体」「液体」を体現したパビリオンということでいきなり緑に囲まれた水の芸術作品が眼前に出現しました。いきなりクライマックスです。
展示物については解像度の高い映像作品やプロジェクトマッピングが大変見ごたえがあって良かったのですが、まぁ無難だったといいますかベルギーならではの特色が薄かったといいますか。最初の立体的な水の庭園と比べると尻窄み感が拭えなかったです。
結び
開幕券4,000円分楽しめれば大満足だなんて宣言していた私。
イタリアとベルギーパビリオンで十分元を取りました。特にイタリアパビリオンは単独で入場料2,000円取っても行列ができるぐらいスゴいモノがたくさんあってたった数分待っただけで見れたのは本当に幸運でした。「早起きは三文の徳」ではないけれど暑くない時期に万博に行ったのは大正解で行くなら今のうちに行くべきです。
すでに消化試合となった私は行く宛もなく自由にのんびりと次のパビリオンへ足を運びました。次回に続きます。
【告知】
こちらは『EXPO 2025 大阪・関西万博』閉幕までの期間限定記事です。
10月13日以降は一部を除きメンバーシップ限定に変更する予定ですので見逃しを防ぎたい方はnoteフォローやnoteアプリの通知機能をぜひご活用ください。
あとがき
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