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【おすすめ】Tip&Share〈2〉あまざき葉さん[指先の窓]

 こんにちは!山田星彦です。

 今回は、いつの間にか不思議な世界に引き込まれる、短い小説を紹介します。

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あまざき葉さん[指先の窓]


 あまざきさんは、過去にたくさんの小説を書いておられます。そのどれもが奇妙な筋書きなのに、ふしぎと話に引き込まれ、するすると読んでいるうち、また現実にぱっと目覚めさせられるような驚きがあります。

 この『指先の窓』もそんな作品です。

 僕はこの物語の主人公に、深く自己投影しながら読みました。というのも、僕もこの主人公のように、周りのできごとや世の中のできごとにたいして、過敏に反応してしまうときがあるからです。

 それは外界からの情報を遮断しても同じこと。目に映るあらゆるものから、人間の悲しい姿や愚かな姿を連想してしまい、気が塞いでしまうことがよくあります。まさに指先の窓のように、逃れることができないのです。

 考えても仕方ないと思い、あまり気にしないようにしていましたし、『指先の窓』の主人公も似たような考えにいたるのですが、この小説は「気にしなければいい」では終わりません。気にしなくなったその先が描かれているのです。そこに怖さがありました。

 この作品では、世界のさまざまなビジョンが体に現れるのですが、それが手の爪であるところに、すごく納得させられます。

 指先とは、体の末端であり、外界と触れあう場所です。映画『E.T.』の、指先を触れあうシーンが象徴的です。指先というのは、おそらく目と並んで、最も多くの感覚や情報が体内へ流れ込んでくる器官です。しかも、目と違って直に物に触れる指先は、体のどこよりも鋭敏に、外界からの信号を受け取っているように思えます。

 そして、『指先の窓』でもそういう描写がありますが、指先は自分がいちばん見ている自分のパーツでもあります。さらに、自分の体のあちこちに触れることができるのは、手の指先だけです。つまり、指先というのは、目から浴びせられる視線の奥に自身の心を伺い、そして自分の体のあらゆる場所に触れることで、その状態を察知します。まさに指先こそ、自分の心と体を知り尽くしていると言えるでしょう。

 いわば指先というのは、外界からもたらされる感覚や情報と、集中する自意識の交錯点であり、その両者のせめぎあいを受け、つねに緊張している器官です。それはたとえるなら港。外からもたらされるものと、内から発露するものが、この狭い一点に集約されます。

 港に国内外の物資が集まるように、指先はもしかすると、脳よりたくさんのことを知っているのかもしれません。そう考えると、『指先の窓』で、世界が映し出されるのが指先の爪であるというのは、ごく自然なことのように思えます。あまざきさんの作品が、奇想天外なようでリアリティがあり、ふしぎな話に読者を引き込む説得力があるのは、こういうところに理由があるのかもしれません。

 あまざきさんのことはnoteをはじめたころに知り、それからずっと仲良くしていただいています。僕には書くことができない作品ばかりで、いつもたくさんのことを学ばせてもらっています。

 みなさまも、ぜひ、あまざきさんのふしぎな世界を覗いてみてください。

おしらせ

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