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【後編】船で大阪から上海まで行ってみたら、絶景とその代償がすごかった

前編はこちら

以下は、2019年に公開したブログを加筆修正したものである。鑑真号の再開を記念して、再投稿する

2日目 憂鬱な東シナ海と謎の水餃子タイム


一面の海


2日目、船内アナウンスで目を覚ますと、外はもう一面の海。周りには何もなかった。船内も昨日と違って大きく揺れている。大きな揺りかごに乗ってゆっくり揺らされているような動きなので、揺れ方を掴めば転ぶことはないと思うが、なかなかコツがいる。甲板は塩っぱい海風が強くて、目がぱさぱさになる。
見渡す限り全方向、陸地は一切無い。こんな大海原、生まれて初めて見た。

炭水化物責め


朝食は中華式か洋式かどちらかを選択する。中華にしてみた。油条、饅頭、肉まん、粥って炭水化物ばっかじゃん、美味しい。中国を感じる。

私は乗り物酔いには弱い方ではないと思う。バスとか車で気持ち悪くなることはほぼないし、船に乗るは大好きだ。以前かなり揺れる小型漁船に乗った時も、全くもって大丈夫だった。

でも、今日はグロッキー。普通の船酔いみたいな気持ち悪さというよりは、じわじわ無気力になる感じ。酔い止めを飲んでみたけどあまり効かない。とりあえず朝食を食べたらまた寝た。この揺れ、横になっている分には案外心地がいい。

グロッキーなカレー

昼食。憂鬱な気分のままカレーを食べる。学食のカレーって感じで良い。コップに注がれたお茶も、揺れに合わせてゆらゆらしている。

電波がないからネットも繋がらないし、何かする気にもなれなくて、Kindleでこんなときのためにと購入してた安彦良和『ガンダムTHE ORIGIN』を全24巻読破してしまった。面白かった。ランバラル、素敵すぎる。ガルマたん、かわいすぎる。
同室の友人A氏と中国人女子も、ずっとぐったり横になっている。夜ご飯はそこまで食欲がないので、自販機のカップラーメンですませた。

餃子券

そう、なぜなら今日は夜の9時に、お楽しみ「水餃子タイム」があるから!
餃子タイムとは何か? 2日目の夜9時頃になると、チャイム放送で「水餃子ができました。食堂にお集まりください。」と流れる。
この情報は他の人の旅行記で知っていたのであって、船の公式ホームページにもパンフレットにも記されていない、謎の隠しイベントだ。
食堂に行くと、水餃子タイムだから無料だということはなく、300円ほどで謎の水餃子券を得ることができる。

普通の水餃子

不思議なことに、普段からこの食堂には昼食と夕食のメニューに水餃子がある。なぜこの日のこの時間にだけ水餃子が振舞われるのか? 実に謎だ。周りを見ると、そこそこな数の人たちがアナウンスに釣られて集まり、水餃子を食べている。味は普通に美味しい。

その後A氏と風呂にでも入るかということになった。実は昨日はシャワーに入っていない。今日こそは入らないと流石に風呂キャンセルすぎる。シャワールームも普通に清潔で使い勝手がいい。ただ、ドライヤーを受付で借りなければいけないのが面倒臭い。
23時過ぎにシャワーからあがったら、受付はもう閉まっていた……。そうか、ドライヤーを使いたいなら受付時間内に借りないといけなかったようだ。どうしようか?

月と海

困ったA氏と私は甲板に出た。甲板の海風は相変わらず強風で、ドライヤー代わりにできる気がした。8月なのに身体はかなり冷える。周囲には何の人工的な明かりも、何の人工物も見えない。ただただ月明かりだけが異様に光って見え、風の音だけが耳を劈く。周りに陸地のない夜の海ってこんなにも不気味なものなのか……。
ある程度髪が乾いて部屋に戻ると、塩分で髪がべたべたした。

3日目 いきなり揚子江

朝8時ごろ、うるさいアナウンスで目が覚めた。あれ、そういえばあまり船が揺れていない。急いで甲板に出てみる。

えー!
海が茶色い。これよく写真で見る上海の色じゃん!海というか、もう揚子江に入っているのだろう。
ここから意外と上陸までは時間があるので、洋式朝ご飯で腹ごしらえ。

美味しくはない
絵に描いたような上海

10:45頃、上海外灘に到着。天気は快晴。

タラップを降りてバスでターミナルへ向かうように指示される。入国手続きは空港と同じだ。航路の入国検査にも2018年4月から始まった指紋検査が導入されていた。指紋を登録すると「買収ありがとうございました」と謎日本語が表示されるのが気になった。

さいごに

この二泊三日、瀬戸内海から揚子江に至るまで海を眺め放題だった。こんなにも旅情深い移動手段はなかなかない。夕日も夜景も、船内の怪しい日本語表記も完璧だ。船酔いも思っていたよりはひどいものではなかった。
でも、本当の船酔いは陸に上がってから襲って来た。歩いていても、寝ていても、座っていてもとにかく視界が揺れる。気持ち悪いとかではない。明らかに船内にいるような感覚がずっと残る。車に乗った後に降りるともっとひどく、軽くふらつく。
これは陸酔いといって、海上で数日間過ごすと起きる現象らしい。
その後上海観光をしている間も、留学先である武漢に着いて入学手続きをしている間も、結局私は一週間ほど船の中のようなグロッキー気分で過ごすことになったのだった。

上海自体は素敵な街でしたよ


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タカイワ マサ | ライター・イラストレーター 面白いと思ったら応援のほどよろしくおねがいいたします! いただいたチップは執筆活動に使わせていただきます。