同時通訳者の知られざるバトル|ナニのはなしですか
午後の情報番組の報道フロア。
待機していた同時通訳者・童実約子は、急に慌てだしていた。
「ノーベル物理学賞の受賞者決定」、
ニュース自体は、発表次第に番組内で差し入れられることがあらかじめ決まっていた。
だが受賞者が決まり、海外ニュースのV(映像)を流す直前、報道ディレクターが彼女にこう聞いた。
「うわ、名前……うまいことやって!」
「え?」
「名前ェ!このままお茶の間流しちゃ駄目って」
今年の受賞者は、在野の研究者。
国際的に全くノーマークの超伏兵。
……彼の出身国や言語圏の自然な発音に従うならば、彼の姓は絶対に絶対に
チ⚪︎チ⚪︎ブラブーラ
以外、呼びえない。
ファーストネーム「ボブ博士」呼びもおかしい。
下手なアレンジ……「ティンティン」や「チムチム」へのは、これ即ち不能。
約子の通訳者プライドに賭けて許されない。
仮にもノンゆる言語学者、ハードコアローカル主義言語道を往く、そう自認している。
母国語の発音には忠実でいなければ。
そうだ。へんちくりんなアレンジ加味は、改変というより、はっきりと改悪。
そのローカル言語様、ひいては言語神様に、失礼極まりないンゴ!
言葉や文化を扱う仕事の端くれとして……、いや、使徒として、彼女には矜持も意地もある。
だが現実問題、Vはもう流れ始めていた。

(どうしよどうしよ!)
そこはもう瞬時に選択、同時に口を開く。
「チ……ソーセージ氏の略歴をお伝えします…」
(博士口調で)
「私のチ、ソーセージ座流星群の特徴とは……」
かくして、お茶の間の平和は守られた。
しかして、約子的にはありえない改悪をやらかした。
神への懺悔は不可避。
とりあえずこの後、飲んだくれんだ。
(了)
①マスメディアの過度なクレーム未然防止想定、「世間様」想定。
そいつをチクリやる前に、まず自分が
「これ出してたらはさんに怒られないかな(怒られるな……)」
って思っチャイティーラテ、毎ショとしては出せず!
最終処分場としてアラさんに持ち込む笑
②ボブ・チ⚪︎チ⚪︎ブラブーラ博士。
存在が世界的にノーマークすぎて、NHKや大手新聞でも報道の前例すらなかったのでしょうね。
「前例はない」との闘い。
でもこういう人がノーベル賞を受賞したりすると、なんかスカッとしますやね(約子はまだもやってますけどね)。
③葉月さんのこの記事コメ欄で、
「しょーもなクリエイター」の称号を目指す宣言後、それ目的で最初にブッ込む記事です。
「しょーもな」の発想が、50代にして永遠の小学生(悪い意味)。
嗚呼、しょーもな。
毎週ショートショートno+eンンンーセージThe流星群
#ナニのはなしですか
#ショートショート #掌編小説
