水面心理相談室#7「嫉妬してしまう自分が、嫌になる夜」|心理学|HSP|人間関係



この番組は、読むラジオをテーマに、皆様からお寄せいただいたお便りの中から、ひとつの心の悩みを取り上げ、朝倉と相馬が心理学の視点を交えながら、静かに言葉を交わしていく相談室です。
すぐに答えを出すためではなく、心の奥に沈んだ言葉を、少しだけ水面まで浮かべるための時間。
今夜も、ひとつのお便りから始めます。
朝倉
「それでは、本日のお便りです。」
“好きな人や恋人が、ほかの異性と楽しそうにしているだけで、胸がざわざわしてしまいます。
そんな自分が嫌で、気にしないふりをしようとするのですが、うまくできません。
嫉妬してしまう私は、心が狭いのでしょうか。
もっと穏やかに恋ができたらいいのに、と苦しくなります。”
朝倉は、便箋を置いて、少しだけ間を取った。
短いお便りだった。
けれど、短いぶんだけ、隠しきれなかったものが見えた気がした。
朝倉
「嫉妬は、見せたくない気持ちのひとつかもしれませんね。」
相馬
「うん。だからこそ、感じた瞬間に自分で自分を責めやすいのかもしれないね。」
相馬
「嫉妬って、相手を困らせたいとか、縛りたいとか、そういう気持ちだけで起きるわけじゃないんだ。」
本当は、取られたくない。
見えないところで、誰かに負けたくない。
自分の知らない場所で、特別じゃなくなるのが怖い。
嫉妬の奥には、そういう不安が隠れていることが多い。
相馬
「だから、ただの意地悪な感情、とは言い切れないんだよね。」
朝倉
「では、嫉妬してしまうのは、自分に自信がないからなのでしょうか。」
相馬
「それもあるかもしれないけど、それだけじゃないと思う。」
人は、大切なものほど失うのが怖くなる。
どうでもいい相手には、そこまで心は揺れない。
でも、好きな人だからこそ、小さな変化にも敏感になる。
あの人には見せる笑顔。
自分にはなかった会話。
そんな些細な違いが、心をざわつかせてしまう。

相馬
「それは、弱いからというより、ちゃんとその恋に気持ちがあるからなんだと思う。」
朝倉
「嫉妬している時、人は何を見ているんでしょうね。」
相馬
「相手を見ているようで、本当は自分の価値まで比べ始めているのかもしれない。」
あの人のほうが魅力的なのかな。
自分より一緒にいて楽しいのかな。
私じゃ足りないのかな。
嫉妬は、相手への感情であると同時に、自分自身への不安にも触れてしまう。

相馬
「だから苦しいんだ。ただ拗ねているわけじゃない。“自分は大丈夫なのか”という不安まで、一緒に揺れてしまうから。」
朝倉
「では、嫉妬しないように頑張ることが大切なのでしょうか。」
相馬
「無理に消そうとすると、かえって苦しくなることもあると思う。」
嫉妬している。
それは事実。
でもその奥には、失いたくない気持ちや、大切にされたい願いがあるのかもしれない。
相馬
「感情そのものを悪者にすると、本当に見つめたい気持ちまで置き去りになってしまう。」
だからまずは、
私は何が怖かったんだろう。
何を比べてしまったんだろう。
本当はどうしてほしかったんだろう。
そこを静かに見てあげるだけでいい。
朝倉
「嫉妬そのものは悪くないとしても、それを相手にぶつけてしまいそうになることもありますよね。」
相馬
「あると思う。だからこそ、嫉妬している自分に気づくことが大事なんだ。」
嫉妬を感じることと、
そのまま相手を責めることは、同じではない。
不安になることと、
相手を縛ることも、同じではない。
心が揺れるのは自然なこと。
でも、その揺れをどんな言葉にするかは、少しだけ選ぶことができる。
相馬
「“なんであの人と話してたの”と責める前に、“私は少し不安になったんだ”と、自分の気持ちとして見つめ直せるといい。」
朝倉
「相手を責める言葉ではなく、自分の不安を知る言葉にする。」
相馬
「そう。嫉妬は、相手を縛るための感情ではなく、自分が何を大切にしているかを教えてくれる感情でもある。」

朝倉
「嫉妬してしまう自分を、どう扱えばいいのでしょう。」
相馬
「すぐに嫌いにならなくていいんだよ。」
嫉妬は、きれいな感情ではないかもしれない。
でも、汚れた感情とも限らない。
それは、自分の中にある不安や願いが、少し不器用な形で浮かび上がったものなのかもしれない。
誰かを好きになると、心は思った以上に揺れる。
穏やかでいたいのに、穏やかでいられないこともある。
相馬
「でもそれは、未熟だからではなく、それだけ大切に思っているからだよ。」
朝倉は、窓の外に目をやった。
夜の水面が、小さく揺れていた。
風は、ほとんどないのに。
嫉妬してしまった自分を、責めすぎなくていい。
その感情の奥にある本当の気持ちを、静かに拾ってあげられたら、それで十分。
水面は、守りたいものがある時ほど、小さな風にも揺れやすくなる。
揺れたのは、心が狭いからではない。
そこに、守りたいものがあったからだ。
だから今夜は、嫉妬してしまった自分を責める前に、
その奥で小さく震えていた願いのほうを、
そっと見つめてあげてね。

第8話につづく▼



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