『ジョジョで学ぶ実存哲学』~カーズ、ディオ、吉良──ラスボスたちの行動原理
<前回記事:吐き気をもよおす邪悪の正体>
前回の記事では、『ジョジョの奇妙な冒険』のラスボスたちには“共通の行動原理”がある、という話をした。
その行動原理とは──
実存の拒否。
すなわち、「不安の排除」である。
そもそも人間とは、何が起こるかわからない“不確実な世界”に放り込まれ、不安を抱えて生きる「現実の存在」──つまり「実存」である。
だが、ディオをはじめとするラスボスたちは、自分がこの“実存”であることに耐えられなかった。だから、不安とともに生きるのではなく、不安そのものを消し去ろうとする。
その結果──彼らは“吐き気をもよおす邪悪”へと堕ちたのである。
まさに、
「こいつはくせえッー!
ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーッ!
こんな悪(ワル)には出会ったことがねえほどなァーーッ!」
というやつだ。
ではここから、第二部以降のラスボスたちのセリフを実際に見ていこう。
ラスボスたちの言葉をたどれば、「不安(不確実性)の排除」こそが、彼らの“共通の行動原理”になっていることが、はっきりとわかるはずだ。
■第二部:カーズ
カーズは、「ラスボスらしいラスボス」である。
人類の敵である吸血鬼ですら“食料”として扱い、不老不死で、しかも圧倒的な戦闘能力を持っている。スペックだけ見れば、まさに“究極の生物”であり、いわゆる「負けてる絵が浮かばない」系の最強クラスのラスボスである。
普通の漫画なら、こういうキャラはもっと不遜で傲慢で、
「フフ……人間ごときが……いま私に何かしたのか?」
「バカな……傷ひとつない……だと!?」
みたいな、どこか無防備な態度を取りそうなものである。
ところが、意外なことに、カーズはそうではない。
作中最強の存在であるにもかかわらず、
彼はなぜか──
リスク(危険)を異様なほど嫌う。
その姿勢は、次のセリフにも、はっきりと表れている。
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